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水曜日のカンパネラ、初ワンマンで賛否両論ーーOTOTOYライヴ・レポート

水曜日のカンパネラ、初ワンマンで賛否両論ーーOTOTOYライヴ・レポート

2015年3月29日、恵比寿リキッドルームにて、水曜日のカンパネラにとって初のワンマン・ライヴ〈鬼ヶ島の逆襲〉が開催された。

全国11カ所を巡るツアーを経て到着したワンマン・ライヴのチケットは、一般発売からわずか2時間でSOLD OUT。関係者含め1,000人以上が集まった注目のライヴは、結果から言えば「相撲に勝って勝負に負けた」ような内容となった。

いつもとは違い、この日のためにPA、照明、衣装、映像、ダンサー、内装と各クリエイティヴ・チームが結成され、事前打ち合わせ、そしてスタジオでのゲネプロを経て臨んだ水カン・チーム。ヴォーカルのコムアイも、発声練習やダンスはもちろんのこと、ひとつひとつの動きも入念のチェックしていた。気合いは十分だった。しかし、それがかえって水曜日のカンパネラの持ち味のストッパーにもなることになってしまった。

これまでに水曜日のカンパネラのライヴで評判がよかったライヴは、たいていの場合、アウェイ感の強い場所でのものが多かった。わかりやすいのは2014年の〈水曜日の視聴覚室 Vol.2〉と、そのすぐ直後に出演した〈BAYCAMP〉。自主企画イベントである前者は、かつてないほどに準備をして臨んだが、やりたいことが多すぎて持ち味を出し切れなかった。それに対し、後者では夜の野外ステージにて初見のお客さんたちのなか、自由奔放なパフォーマンスを見せ自信を得た。この違いは期待値の有無によるところが大きい。要するに、これまでの水曜日のカンパネラは、期待されていない場所でこそ真価を発揮し続けてきたわけだ。

初めてのワンマンとなるこの日は完全なるホーム。もちろん、それに対して万全な準備はほどこしたものの、それが本来好き勝手動くコムアイに枠組みを作ってしまったことは最初の数曲を見れば明らかだった。「千利休」「デーメーテール」「二階堂マリ」の3曲は、全国11カ所を回るツアーでの修行もあり及第点を叩き出していたものの、残念ながら観客たちの想像の枠を越える部分はなかった。なによりも、楽曲を聴いて初めて会場を訪れたであろうお客さんに対し、最初の「楽曲」におけるパフォーマンスで想像を越えることがなによりも必要だった。

前半でもっとも光ったのは「インカ」。この曲でコムアイはマイクを置き、ダンサーたちとともにストーリー仕立てのコンテンポラリーな演劇仕立てのダンスを披露。MVにも使用されている高速道路の光をあしらった映像と照明の明暗を組み合わせ、主役と敵といった対立構造を描きながら、最終的にコムアイが銃で相手を打ち抜くといったパフォーマンスを見せた。会場の広さ、クリエイティブ・チームとの連携で、水曜日のカンパネラが、歌をうたうユニットというだけではない総合性が垣間見える瞬間だった。

オオルタイチによる20分弱のライヴを経ての後半は、全曲新曲によるセットリスト。4月15日リリースの新作EP『トライアスロン』収録の3曲、北海道限定でリリースされる100円デモCD収録の「シャクシャイン」、そして完全新曲の「カーネル」を、ほぼ初めてライヴで披露した。サウンド・プロデュースをしたオオルタイチ、OBKRとの共演も果たし、水曜日のカンパネラの第2章の幕開けを感じさせるようなバラエティ豊かな印象を与えた。

最後の楽曲へいく前、ステージと物販会場を映像中継でつないだ物販紹介で機材トラブルでグダグダする場面がみられた。これまでは水曜日のカンパネラ「らしさ」として許容されていた節はあったが、明らかに会場の雰囲気はクールダウンしていた。お客さんが増えて、より大きな「ホーム」で公演していくうえで、水曜日のカンパネラの大きな課題といえるだろう。Twitterなどの反応でも、このグダグダを残念に思う声は多かった。

と、かなり厳しめなことばかりになってしまったが、安心したことも多い。クリエイティブ・チームを組み、お客さんも1000人を越えるなか、満を持してのライヴを行なうも、安全策を取らずに新しいことに挑戦しようとする探究心。もともと、水曜日のカンパネラは挑戦と反省を繰り返しながら大きくなってきたユニットだ。後半でみせたバラエティにとんだ楽曲たちと、自分のヴォーカル、パフォーマンスに自覚的になってきているコムアイ。あと必要なのは、「ホーム」「アウェイ」問わずにコムアイがコムアイ自身を解放できるかという点だ。それが解放されたときのことが楽しみになるライヴであった。まだまだ水曜日のカンパネラのポテンシャルはこんなものではない。そう信じている。(ねるねるね〜るね西澤)

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