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「60歳からの農業」のススメ 直売所仕掛け人が提唱、村上龍も「考えよう」とつぶやく

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愛媛県今治市の「さいさいきて屋」は、地元の農協「JAおちいまばり」が運営する全国最大級の農産物直売所。豊富な品ぞろえと鮮度や安さが魅力で、全国から泊まりがけで訪れるファンがいるほどの盛況ぶりだ。

2015年3月26日の「カンブリア宮殿」は、年間120万人を集客するさいさいきて屋を運営する、さいさいグループ代表の西坂文秀さんを紹介した。
規格外でも生産者が持ち込み自分で価格を付けられる

農家が農協を通じて生産物を流通させるには、量や大きさなどの厳しい規格があり、高齢化と後継者不足で規格通りに農作物を出せる農家は年々減少している。

しかし、さいさいきて屋では、通常農協では市場に出してもらえない規格外の大きさや量でも、生産者が直接持ち込み自分で価格を付けることができる。高齢で沢山の量を作れなくなった農家でも「作って、売る」喜びが得られるのだ。

直売所の生みの親で農協職員の西坂さんは、「生産量が少ない小規模農家の受け皿が、農協でできれば」と、この方法を思い付いた。JAおちいまばりでは、農協を通じて市場に農産物を出せる専業農家が、この15年で半分以下になっていたのだ。

集荷を担当していた西坂さんが、上層部に掛け合い直売所をオープンしたのが15年前。いまや出荷農家は1300人にもなる。出荷者のひとり武田徹太郎さん(72歳)は高校教師を定年退職後、第二の人生として農業を始めた。

早朝から直売所にキャベツを並べて、午後の畑仕事をしながら売り上げデータがメールで届くのを心待ちにしている。届いたメールの売り上げに、奥さんと一喜一憂しながら本当に楽しそうだ。武田さんは笑顔でこう語る。

「初心者でも良いものを持っていけば、不特定多数のお客さんが評価してくれます。そこが魅力なんです」

「若いうちはサラリーマン、定年後は身の丈農業を」

野菜の売れ残りは農家が持ち帰るが、定価のままできるだけ農協が買い取り、加工品にして菓子作りなどに生かす。イチゴタルトを試食した村上龍は、「スタジオで食べたお菓子の中で一番うまい」と感想を漏らした。

さいさいきて屋は、新人農家の支援にも力を注いでいる。去年8月から農家を始めたばかりという小池絵里さん(25歳)は、レストラン向けの珍しい野菜を育ててみるように、営農指導員の武内さんにアドバイスされた。経済的に成立しなければ若者も離れてしまうため、どんな作物を育てれば収入を得やすいかまで指南しているのだ。

出荷者は年間10~30万円の利益という人が半数だが、800~900万の利益を得る人もいる。西坂さんは、村上龍の「直売所は農家の救世主ですか?」という質問に、「僕にはわかりません」としながらも、このように語った。

「若いうちは兼業農家で、サラリーマンでいいと思う。55歳から60歳の定年を迎えた人に第2の人生として、やりがい生きがいの意味での、死ぬまで自分の身の丈でできる農業をやる。それが地域の活性化や、右肩下がりの農業の落ち込みを、少しでも緩める方法になるのでは」

村上龍は「僕63になりましたが、僕ぐらいからでもできますかね?」と訊ね、西坂さんの「できます」の答えに、笑いながら「考えよう」とまんざら冗談でもなさそうな口調でつぶやいた。この直売所のやり方を見ていると、第2の人生として農業を選ぶことも悪くない選択に思えた。(ライター:okei)

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