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パナソニック「IoT関連特許」公開の行く末

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パナソニックは、IoT関連の特許を無償提供することを発表

最近は、パソコンや情報端末以外の「モノ」がインターネットに接続される時代となってきました。人間を介さずにモノに取り付けられたセンサがデータを入力する「モノのインターネット(Internet of Things : IoT)」の技術が進展し始めているのです。IoTを用いることにより、各種センサを介して温度、湿度などの環境データや、ドア、窓などの開閉状態のデータがインターネットを介して伝達されます。

このような背景のもと、2015年3月23日にパナソニックは、IoT関連の特許を無償提供することを発表しました。太陽光発電、ホームモニターシステム、電力小売り用のアプリケーションなどにおいて、「モノ」とクラウドを結ぶソフトウェア技術を無償提供する計画なのだそうです。

あの松下幸之助も。特許無償提供の成功事例

実はパナソニックを創業した松下幸之助が、今から83年前に特許の無償提供の離れ業をしています。安藤博の4極真空管(多極真空管)に関する3つの特許を松下幸之助が買収し、1932年にラジオメーカに無償で解放して、ラジオの国内産業を活発化させたのです。

また、1980年の国際電信電話諮問委員会(CCITT)総会ではグループ3(G3)ファクシミリとして、READ方式を修正したModified READ(MR)方式を採択しました。このとき日本としてREAD特許を無償で提供する旨を宣言し、G3ファクシミリが全世界に普及した成功事例もあります。

ナイキは特許の開放の試みに失敗

一方、2010年、ナイキは、靴底に使用する環境配慮型ゴムの製法など400件以上の特許を開放し、「みどりの交換」というウェブ上の交換市場で他社に参画を促しました。ナイキは自社の特許を解放することにより、外部の企業がそのイノベーションを改善することを期待したようですが、賛同する企業は増えず、残念ながらこの特許の開放の試みは失敗しました。

2015年1月にはトヨタ自動車が燃料電池車(FCV)関連の特許の無償提供が話題となりましたが、その前の2014年6月に米国のテスラ(Tesla )モーターズが、同社の保有する約200件の特許と、さらには現在出願中の280件の特許出願を無償提供しています。トヨタ自動車もテスラモーターズも、世界全体が内燃機関(エンジン)の産業構造に対抗可能な新たな共有技術のプラットフォームの作成を目的としていると思われます。もう少し様子を見る必要があるでしょう。

インターネット関連業界は他社と共生することが可能な技術分野

また、最近では、2005年1月にIBMが基本的なソフトウェア特許500件を、オープンソースソフトウェア開発に従事している個人および団体に対して無償提供すると発表。IBMは、IT業界全体で「特許共有」を行う仕組みの基礎固めをしたいとのことです。

オープンソフトウェアが一般的であり、トレンドが急速に変化するパナソニックやIBMの場合は、競合各社が敵対せず、できるだけ協力しあう方が最大の成功を掴める傾向にあります。すなわち、特許権は単に独占的に囲い込めば良いのではなく、技術分野の傾向を熟知し、特許権をどのように有効に使うかの工夫が重要です。インターネット関連業界は、関連業界の技術の発展や普及のためには、関連特許を開放して、他社と共生することが可能な技術分野でしょう。

最後に注意点として、「特許の無償提供」とは、特許権の放棄ではなく、一定の範囲内において、無償での利用を認めているということ。つまり、やろうと思えばいつでも特許権を行使できる、ということです。

(鈴木 壯兵衞/弁理士)

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