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神田昌典「時代の本流を読み解く」

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経営コンサルタントであり、作家。全国で開催される読書会「リード・フォー・アクション」の発起人でもある神田昌典さん。時代が大きく変わるとき、新しい価値観は常に「本」を起点として広まったと語る彼が、ここ数年でもっとも衝撃を受けた書籍とは?

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──『流れとかたち』は自然物の造形の話かと思いきや、情報や文化にまで話が及ぶんですね。

そうなんです。この本に書かれている「コンストラクタル法則」を僕なりに言い換えると、「すべてはよりスムーズに流れるようデザインされていく」。始まりは熱力学ですが、これを読んで世の中のあらゆる現象がシンプルに理解できました。

──物事を「流動体」として捉えれば共通法則が見えてくる、と。

地形や生き物の形だけでなく、全員がフラットなネット社会でさえ、情報がピラミッド型で流れるのはなぜかといったことまで説明されています。マーケッターの僕がこの理論に注目したのは、すべてがスムーズに流れるよう進化するなら、本流さえ押さえておけば、支流に関心を払わなくてもよくなるからです。

──でも、その本流を見極めることこそが難しいのでは?

僕はわりとロジカルに考えています。明治維新の転機になった西南戦争(1877年)や、第二次世界大戦終戦(1945年)など、歴史上のパラダイム転換は、だいたい70年周期で起こっています。そのサイクルで考えると時流を捉えやすい。

──となると、終戦から70年を迎えた今年は転換の年ですね。

ええ。今年は、ひとつ前の価値観では英雄だった人が戦犯になるような、価値の逆転が起こると思いますよ。たとえば戦後の高度経済成長の原動力にもなった拝金主義のような考え方は、これから先の70年では本流にならないでしょう。

──それは流れが変わったから?

そう。そして、新しい価値観に影響を与えるのは、これまでの社会からは外れていた思想や哲学です。明治維新後の価値をつくったのは幕末の私塾に通った若者たち。戦後間もない頃には、哲学者・西田幾多郎の全集を買うために長蛇の列ができました。ここ数年、30代くらいの書き手がクレイジーな本を次々に出しています。そういうものに影響を受けた若者が、次の時代の本流をつくっていくんだと思います。

【神田昌典の読み方】

▼最先端の思想やアイデアに一番早く触れられるのが「本」

「ネットやテレビ、新聞の方が情報は速いと思われていますが、そういうメディアもネタ元は書籍であることが多い。文脈を切り取らず、曲解もさせずに新しいアイデアを発信するには、本に勝るメディアはないと思います」

▼インプットのためではなく、アウトプットするために読む

「『バカになるほど、本を読め!』にも書きましたが、読書の目的は正解を見つけることではなく、自分の意見を形成して価値を創造すること。本から得た知識を別のコンテクストで表現しないなら、検索とコピペで済むわけですから」

▼1冊の本の背景には、数千冊分の知見が隠れている

「読んだ本が直接インパクトを与えてくれなくても、そのなかで1行2行引用された別の本から、ものすごく大きなヒントを得られるケースもあります。そういう意味では、1冊の本の背景には数千冊分の知見があるんですよね」

(宇野浩志=取材・文)
(R25編集部)

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