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【日本初】『女一匹シベリア鉄道の旅』のオダヒロコさんに突撃取材 [前編]

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旅のルート

TRiPORTライターのレティです。

電車好きなら誰でも知っている、シベリア鉄道。ロシアを東西に横断する、全長9,297kmの世界一長い鉄道です。

一生に一度は乗ってみたい、と思う方もいるのではないでしょうか。でも、「ロシア語がわからないし…」「なんだかロシアって怖そう…」と思ったりして、実際に行くのは難しそうです。

そんな中、2015年1月にシベリア鉄道旅行記の『女一匹シベリア鉄道の旅』が出版されました。
日本で初めてのロシア・シベリア鉄道の旅のコミックエッセイだそうです。
女性一人で行く、サンクトペテルブルクから北京までのシベリア鉄道の旅です。今日はこの本の作者である織田博子さんに話を伺いました。

世界の家庭をまわる旅

—まず織田さんの旅のスタートについてお聞かせください。

もともとは日本で働いていた普通のOLでしたが、仕事に就いてから3年経ったとき、ずっと行きたいと思っていた場所へ行くことを決心しました。会社を辞めて、ユーラシア大陸を7ヶ月間一人で旅をしました。出発の前に自分の旅のテーマを考え、世界の家庭料理を巡る旅にしようと決めました。

—なぜそのテーマを選んだのですか?

旅へ出る前は、海外の方と話すたびに言葉の壁が大きいと感じていました。「どうやって言葉以外でコミュニケーションを取ればいいのか?」と、考えはじめました。
そこで「料理を一緒に食べる」というアイディアを思いついたんです。海外の方と一緒にその国の料理を食べたり、その国の言葉で「おいしい」と伝えたりすると、相手はすごく喜んでくれます。「一緒に料理を食べることは、世界一簡単で楽しいコミュニケーション方法だ!」と気づきました。
「料理」の中でも「家庭料理」を選んだ理由は、私は特別な料理よりも、毎日の食卓で普通にみんなで食べるものに興味があったからです。

旅の途中で発行していたフリーペーパー「世界家庭料理の旅」

そのテーマを選んで旅行を始め、50軒ほどの家庭を訪れました。今も1年に1回は旅に出て、世界の家庭を訪れ続けています。
そして、日本にいるときも、家庭料理を食べたい人と、食べさせたい人をマッチングさせるWebサービス「KitchHike(キッチハイク)」を使ったり、友人に紹介してもらったりして東京に住んでいる外国の方の家で料理を習っています。
その人と買い物をして、家やキッチンにお邪魔し、料理して、いただいて、後片付けをします。そうすることで、相手の考え方やライフスタイルに深く触れる体験ができるわけです!

中央アジアのウズベキスタン・ブハラで、タジク人一家と食後の団らん(前列右が織田さん)

誰かと一緒ならインスタントラーメンもおいしい!

—『女一匹シベリア鉄道の旅』の中でも「旅・食べ物・人」の関係が印象的です。織田さんにとってそれらの関係性に、特別な意味などありますか?

女一匹シベリア鉄道の旅』を描く前に『世界のおじちゃん』と『世界のおばちゃん』の絵を描いていました。
最初はおじちゃんばかり描いていましたが、世界の家庭をまわったときに料理を作ってくれたのは、おばちゃんが多かったです。
そういうこともあって、おばちゃんと料理は必ず一緒というイメージで描いています。
おじちゃんのイラストは食べ物なしで描くこともあれば、食べ物と一緒に描くこともあります。例えば、ドイツのビール祭り「オクトーバーフェスト」では、ビールを飲み、肉を食べているおじちゃんがたくさんいました。
食べ物のイメージと人が自分の頭の中でセットになっているので、それがそのまま描かれているんです。

また、シベリア鉄道に乗ったときも「旅」「人」「食べ物」の密接な関係を実感できました。シベリア鉄道の中には食堂車があるのですが、高くてあまりおいしくないんです。だからほとんどの人がインスタントラーメンを売店で買って、部屋の中で食べています。
私も車両の中でインスタントラーメンを食べていたのですが、同じ車両にいる人と一緒に食べると、インスタントラーメンでも、よりおいしく感じるんです。

シベリア鉄道の旅は7泊8日。そのあいだはずっと同じ人と同じ車両にいるので、とてもアットホームで家族のような雰囲気になります。
一緒に何かを食べると、知らない人同士でもお互いに受け入れることができるようになる気がします。そして、誰かと一緒に食べると何でもおいしく感じます。
また、現地の人と同じ車両で食べるからこそ、普段あまり食べないものを口にするチャンスがあるので、おいしい料理に巡り会うこともあります。

—食べ物を通して偏見をなくすことができるということですね?

そうですね。本の中でも描いたんですが、例えば私がサンクトペテルブルクで「ホット・寿司」(!)を食べた時にそれを感じました。
私は「寿司があったかいなんて、まずそう!」と思いました。でもこのホット・寿司、ちょっとびっくりしたけど、けっこう美味しかったんです。
食べてみて、自分の中の偏見や思いこみの壁に気づきました。
これは食べ物に限ることではなく、私が持っている、他の国に対する偏見や思いこみについても同じ事が言えると思います。
実際に行ってみて、偏見や思いこみの壁が壊れて、自分の心の中にある地図が広がっていく感じがするんです。
日本にいた時の私は、その壁自体に気づいていなかったと思います。

(次回に続く…)

インド・アフメダバードの床屋で髪を切ってもらう

[食を旅するイラストレーター織田博子(オダヒロコ)。世界各国の食卓にお邪魔し、その体験をマンガやイラストで紹介しています。
連載:ハフィントン・ポスト・ジャパンキッチハイクマガジン
書籍:『女一匹シベリア鉄道の旅』(イースト・プレス)
織田博子さんの公式ページはこちら]

(ライター: Letizia Guarini)

ロシアの旅行記はこちら

*Sakura Tanaka「モスクワ公国の歴史を感じる 〜ロシア・モスクワ1泊2日の旅〜
*Mayu「魅惑のロシア

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