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ぼったくられてもOK!旅人5人を虜にした南の島の伝説ババア

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kiki「晴れのち梅雨 那覇&座間味の旅」

kiki「晴れのち梅雨 那覇&座間味の旅

こんにちは。TRiPORTライターのマリアです。

皆さんの中に残っている旅先での出会いは、どんなものですか?
「秘境へ旅路にて、偶然出会った同じ日本人が生涯の親友になった」
「偶然レストランで隣に座った現地の夫婦に、その国の歴史を教えてもらった」
「列車の中で話しかけられた青年と会話が弾み盛り上がっていたら、財布を盗まれたことに気が付いた!」

旅の最中に出会った人々とのちょっとした交流は、とても思い出深いものです。日常生活や住み慣れた土地から脱線することでもたらされた旅先での出会いで、人生観が変わったという人もいれば、結婚まで至ったという運命の出会いを果たした人もいるでしょう。

そして、そんな皆さんがそれぞれ持っている出会いのストーリー、それは「良い出会い」ですか? それとも「悪い出会い」ですか? 私の中で最も深く印象に残っている旅の出会いは、良き思い出であり、悪い思い出でもある、少し変わった出会いでした。

何かを取られ、何かをもらった夜

kiki「晴れのち梅雨 那覇&座間味の旅」

kiki「晴れのち梅雨 那覇&座間味の旅

その舞台は沖縄のとある離島。絵の具をひっくりかえしたような鮮やかなミントグリーンの浅瀬とコバルトブルーの深瀬のコントラストが美しい、本島から船を乗り継ぎようやく辿り着ける小さな離島でのこと。

オフシーズンのため、観光客やダイバーはめったに見かけず、南の島と言えども長袖のパーカーが手放せないくらい肌寒い初春の季節でした。そんな人影少ないシーズンに、安宿で出会った私を含む旅人たちは、「何でこんな時期に一人でここへ来たの?」「この時期にこの小さな島で出会ったのも何かの縁だ」と、お互い打ち解け合い、毎晩一緒に飲みに繰り出すほどの仲になりました。

ある日、そんな酒豪旅人集団が見つけたオンボロ民家のような古い飲み屋。「面白そう!」という直感の赴くままに、皆で入ってみることにしたのです。わずかお6席ほどの窮屈な空間、カウンターの向こうでは、おばあさんがひとりで切り盛りしていました。

このおばあさんこそ「島の伝説のおばぁ」。元気100%という言葉がぴったりな、明るくチャキチャキとした話上手な美魔女ならぬ、美人おばぁでした。とにかくこのおばぁ、話が面白く、聞き上手。私たちはそのトークに乗せられ踊らされ、大いに盛り上がり、皆いい気分で酔っぱらってしまいました。

おばぁの不思議な魅力や話術の巧みさは、途中で一緒に飲んでいた旅仲間の一人が、涙をこぼし始めるほど。おばぁの壮絶なこれまでの半生に皆で耳を傾け、人生相談をしているうちに、一人の旅人が話に感動して、不意にポロポロと涙を滴らせていたのです。

謎の男、現る

Satoko Nishiyama Fujioka「まるでめがねのワンシーンのよう。同じ太陽に朝はみとれ、夕に黄昏れる。石垣・竹富島。6年前と変わらない春の浜辺は変わらず美しい。」

Satoko Nishiyama Fujioka「まるでめがねのワンシーンのよう。同じ太陽に朝はみとれ、夕に黄昏れる。石垣・竹富島。6年前と変わらない春の浜辺は変わらず美しい。

そんな素敵な出会いを堪能していたとき、新たな人物が登場しました。それが、おばぁの「恋人」を名乗る男性。既に別の場所で飲んでから来たのか、こちらもかなりご機嫌な様子。恋人も加わり、「皆で飲もう!」と、おばぁがお酒をさらに注いでくれます。この日は大いに盛り上がり、私たちは大満足で飲み屋を去りました。

しかし後日、地元に住む人から聞いた話に耳を疑いました。実はおばぁの恋人を名乗る男性は、おばぁがいつもお客が酔っぱらった頃合いに手配する「サクラ」だと言うのです! 「途中から宴に参加して盛り上げ、さらに皆で飲み、自分もボトルを空ける」という役割の仕込み人。そして、いつも最終的にその男性が開けた分のボトルなども全てお会計に乗っかっているということだそうです。

言われてみれば確かに「こんなに飲んだっけ?」という金額だったような…。いずれにせよ、どんどんお酌をしてくるおばぁを拒まなかったのも、散々のせられ、いい気分で飲まされたのも事実。私たちは「また来るね!」とおあばぁと固い握手を交わし、千鳥足で帰り道を上機嫌で歩いて帰ったのも事実です。

後日、地元の人に「あそこ、有名なぼったくり飲み屋だよ」と呆れられときには、皆で顔を見合わせ、一瞬キョトンとしてしまいました。しかしすぐに、「いやいやあのおばぁは最高だったよ!」「あれは良い出会いだった!」「問題ナシ!」となぜか全員、おばぁを必死で擁護。夢のように楽しかったあの晩に、私たちは「おばぁマジックにかかったね」と笑い合いました。

強烈なまでに個性的で魅力的な、南の島の伝説おばぁ。「ぼったくられてもいいから、またもう一度、話を聞きに行ってみたいかも…」と、今でもふと思い出し笑いをしてしまう、そんな最悪のようで最高な出会いだったと思います。

最悪でも最高でも、後から笑い話にできるならば、その出会い自体が儲けモノ。素敵な出会いが、きっと今日も世界のどこかで起きているはずです。

(ライター:マリア

Photo by kiki「晴れのち梅雨 那覇&座間味の旅

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