公示地価が三大都市圏で2年連続上昇。今後も上がり続ける?

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公示地価が三大都市圏で2年連続上昇。今後も上がり続ける?(写真:Photodisc / thinkstock)

今年も公示地価が発表された。今年のポイントを解説していこう。大都市中心部などで2ケタ上昇の地点が続出

国土交通省のHPを見ると、いきなり近代的なオフィスビルの画像が大きく掲げられているのが目を引く。2014年6月に開業した虎ノ門ヒルズの写真だ。「平成27年地価公示で特徴的な動きを示した地点の紹介」として、前年比9.8%上昇した虎ノ門地区を取り上げている。調査地点は虎ノ門ヒルズからやや離れた場所だが、同省によると「今後も多数の大規模再開発事業が予定されているなど、オフィス・店舗の収益向上が見込めることから、地価が大きく上昇」しているとのことだ。

虎ノ門地区に象徴されるように、今年の公示地価では地価が大きく上昇した地点が続出した。商業地で最も変動率が高かったのは、北陸新幹線開業で注目度が高まる金沢駅前で17.1%の上昇だった。ほかにも名古屋駅前や東京の銀座4丁目、広島の堀川町など、大都市の中心地といえる地点で軒並み2ケタの上昇となった。

住宅地はというと、上昇率の全国トップ10をすべて福島県いわき市の調査地点が占める。これは帰還困難区域からの避難者が、同市内に移り住むために不動産を購入する動きが活発化しているためだ。消費税増税の影響で住宅地の地価上昇は伸び悩み

全国の平均では、住宅地は0.4%の下落だったが、商業地は7年ぶりに下げ止まって横ばいとなった。また三大都市圏の平均は住宅地、商業地ともに2年連続で上昇している。

住宅地については下落率の縮小や地価上昇の動きが広がっているが、その背景として同省では「低金利や住宅ローン減税などの施策による住宅需要の下支え」「株価上昇による資産効果や相続対策による共同住宅等への需要」などがあるとしている。大都市圏では住宅地の地価が順調に回復しつつあるとの見解のようだが、圏域ごとに少し詳しくみると状況がやや異なることが分かる。

例えば東京圏では半数以上の住宅地が上昇しているが、上昇率は前年の0.7%から0.5%に縮小している。さらに半年ごとの地価動向は前半が0.5%、後半が0.4%と縮小傾向だ。また大阪圏と名古屋圏では住宅地の上昇地点が増え、大阪圏では変動率が下げ止まって横ばいに転じているが、半年ごとの動きでは両圏とも上昇幅が縮小した。

2014年の後半に上昇率が縮小していることについて、同省では詳しく触れていないが、消費税増税の影響があるとみられる。増税で住宅需要が低迷し、住宅着工戸数が全国で前年比マイナス9.0%に落ち込んだことにより、住宅地の上昇傾向にブレーキがかかった形だ。商業地では国内外からの投資が増えて地価が続伸

一方で商業地は上昇地点が増え、上昇率も伸びているエリアが目立つ。東京圏では8割弱の地点が上昇し、半年ごとの動向では前半・後半ともに1.2%上昇している。大阪圏と名古屋圏は上昇地点の割合が6割弱にとどまるが、名古屋圏では前半(0.9%)より後半(1.0%)のほうが上昇率は高い。ただ、大阪圏は前半1.2%、後半1.1%と上昇率がやや鈍化した。また地方中核都市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では8割近くの地点が上昇し、前半が1.5%、後半が1.9%と上昇率が伸びている。

商業地の地価が回復しつつある背景について、同省では低金利で資金調達がしやすくなっていることや、緩やかな景気回復が続いていることを挙げている。商業地をマンション用地として利用する動きも広がっているという。オフィスの空室率は低下傾向が続き、一部で賃料の改善も見られるようだ。

このところの円安で、海外からの不動産投資が活発化していることも、商業地の地価を押し上げているらしい。特に台湾やシンガポールなど東南アジアから、割安な東京の不動産を買いにくるケースが目立つという。海外企業やファンドによる投資も伸びているようだ。東京都心部では住宅地・商業地とも高い上昇率を維持

東京圏の動きを少し詳しくみると、住宅地は東京23区で上昇率が前年より0.1ポイント伸びて1.9%となったが、その他のエリアはおおむね上昇率が低下した。23区の中でも千代田区・中央区・港区の都心3区はいずれも6%台の高い上昇率となったが、中央区は前年の8%台から縮小している。

東京都心部では湾岸エリアを中心にタワーマンションの売れ行きが好調だ。だが、人手不足などに伴って工事費が高騰しているため、物件価格が上昇しつつある。郊外などでは需要が落ち込み、採算悪化からデベロッパーが供給を手控える動きも広がった。

商業地は東京圏全体で上昇率がアップしたが、神奈川県と埼玉県は前年より縮小している。上昇率が高いのは東京都心部など大規模な再開発が進行しているエリアが中心だ。上昇率7.2%の東京都中央区では外国人観光客の増加で銀座などの店舗需要が高まっている。また5.7%上昇した千代田区では大手町などでオフィス需要が強まって空室率が低下し、賃料が上昇する動きがみられるという。

このように東京都心部では住宅地・商業地ともに活発な不動産需要から地価が上昇気味だが、周辺エリアでは必ずしも需要が回復しているわけではない。とはいえ、このところの大企業を中心とした賃金引き上げや株高の動きから、実需だけでなく投資マネーも不動産に向かう流れが強まりつつあるようだ。2015年は地価上昇の勢いが再び強まることも期待できるだろう。
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/03/20/80540/

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