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[植田真梨恵]インタビュー – 一緒に同じ闇を見ながら、それより外を目指す

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待望のメジャー1stアルバムが完成! “はなしはそれからだ”というタイトルが物語るように、まずは聴いていただきたい。歌が強く、言葉がリアルで、ロックでポップ…そんな楽曲たちには彼女の“嘘のない”想いが詰まっている。

──“まずは聴け! 話しはそれからだ!”と言わんばかりに、いろんな意志を感じるアルバムですが、どんな作品を作りたいと思っていました? 闇と光、それも闇から見る光を感じるアルバムでした。

 まさに、そうですね。何かを乗り越えようとしている人…私自身もそうですけど、何かを始めようとしている時って不安があったりして、100パーセント希望があるわけではないじゃないですか。なので、頑張っていこうとしている人たちのために、アルバムを作りたいなと思っていたんです。実際に私もここから頑張っていくべき人間なので、一緒にそういう気持ちで、変に肩の力を入れすぎずに、楽しみながら頑張っていけたらと思って作った一枚ですね。

──それは楽曲のセレクトはもちろん、ジャケットなどのアートワークも含めて?

 はい。それぞれがそれぞれの部屋に住んでいると思うんですけど、その中から飛び出していくこと…窓の外に宇宙があるかもしれないって想像することとか、現実的じゃないことでもまずは想像していって、何かを信じたり、何かを夢見たりすることっていうのを始められるといいなと思って、アートワークも含めて考えました。

──ちなみに部屋の中に蜘蛛がいるのは?

 私がたまたま蜘蛛に惹かれた時期だったというのもあるんですけど(笑)、このアルバムは物事の移り変わりというものを意識して作っていて…冬から春になるところとか、夜から朝になっていくところとか。何か状況が変わっていく時に、その状況次第で捉えられ方が変わってくるものってあるじゃないですか。蜘蛛ってそうだなと思っていて。“朝の蜘蛛は殺すな。夜の蜘蛛は殺せ”って。だから、そのもの自体は変わらないけど、物事の移り変わりの中で捉えられ方が変わってしまうものもあれば、ずっと想いとして大切にしていくべきこと…自分の中で芯として持っているべきものとか、そういうところをなんとなくニュアンスとして入れたくて蜘蛛を入れました。

──なるほど。では、楽曲のセレクトについては?

 そもそもアルバムを作る際に「彼に守ってほしい10のこと」と「ザクロの実」という2曲のシングルを入れるのは決まっていて、メジャーに行くタイミングで書いた「FRIDAY」と「カルカテレパシー」は、アルバムの軸として入れたいと思っていたんです。そこに「プリーズプリーズ」「a girl」「さよならのかわりに記憶を消した」っていうインディーズ時代からライヴでやってきた曲も入れたいなと思って。そうやってある程度全体が見えてきてから、フルアルバムとして全体を通して気持ち良く聴けるようにバランスを取りながら書き足していって、全13曲になったという感じです。

──以前にデビューを機に曲の作り方を変えたと言ってましたが、インディーズの頃の曲は入れたかった?

 ちゃんとかたちにしてみなさんに届けたい曲が何曲かあったので。テーマとしても言いたいこととか、歌の持っているパワーという意味では、どの曲もアルバムに合っているなと思ったので入れました。

──音作りの部分でこだわったこととか意識したことはありますか? バンド感というか、生感を感じるアルバムでもあったのですが。

 そこはすごくこだわりましたね。本当に鳴っているものだけを録って出すというか、それ以上にカッコ良く加工して出すということをなるべくしたくなかったので、言い換えれば素朴で、ナチュラルに鳴っているイメージでレコーディングを進めていきました。そもそもライヴを見越してアレンジを“いっせーのーせ”でしている段階から無駄がないし、嘘のない音で勝負したいなぁと思いながら、あえて緻密に作り込まないということを意識してアルバムにしていきました。生モノに関してはですけど。

──でも、プログラミングで構成された楽曲も生感がありますよね。

 そうですね。そもそも“いっせーのーせ”の形態でアレンジしていることもそうなんですけど、聴いた時に生きている人が奏でている感じとか、より生身の温度感で伝わるような音楽に今の時代だからこそそういうものにしたいなというのが、私の中ですごく強くて。なるべくライヴ感が出るようなものでありたいなと、今の段階では私自身思っていますね。

──そういう体温のある音だからこそ、歌詞がより人間味を増してリアルというか、どの曲も自分に自信が持てない主人公の像が浮かんでくるんですよね。

 なるほど(笑)。それは私自身がそうだからだと思いますし…パワーの強いものを!と思いながら曲を作っているんですけど、パワーが出ないという人にこそパワーを届けたいと思っているんですよ。なので、私はなるべく同じところに立って歌いたいと思っていて。一緒に同じ闇を見ながら、それより外を目指していけたらいいなって。そもそも私自身にネガな部分があるからというのもあるんですけど。でも、思っているよりは結構楽観的な人間だなというのも、自分自身に対しては思っているんですよ。

──それは「hanamoge」に出ていますよね(笑)。

 出てますね(笑)。

──さっき音作りのところで“嘘のない音”とおっしゃってましたが、言葉は“嘘のない自分”という感じですか?

 言葉に関して、そこは超大前提ですね、私の中では。嘘のない言葉を使おうと思っています。

──歌詞の部分では「支配者」が印象的でした。未来は信じられないかもしれないけど、自分の人生の支配者は自分だと、不安を蹴散らすような力強さを感じましたよ。

 そうですね。何のせいにもせずに自分自身の思いで自分自身が動くことで、何かを動かすというか、動かしていきたいなと思っているので。なので、《私だけ》というふうに歌ってるんですけど。何にしても自分のせいで、責任を持ってって言うと重いですけど、そうやって動いていこうねという気持ちを込めています。

──《待ち受けている正解》と歌っているのも未来に対しての希望なのかもしれないですけど、そういう気持ちが言葉として出ているのかなと。

 何かひとつ自分の中で思っていたいものってあると思うので、そこを外してしまったらどんなものを手に入れたとしても、それは違うというか。“これだけは外せない!”っていうものをちゃんと持っておいてほしいなと思っているんですよ。そういう気持ちです。

──そういった意思を持った曲だけにギターソロでは道を切り裂いていく感じがあって、歌詞とサウンドがマッチしていますよね。

 デモができたタイミングでアレンジャーの麻井(寛史)さんにお会いして、ギターを触っただけでガッて音が鳴っちゃうくらいの爆音で、大きいロックバラードを作りたいと思っているとお話を先にさせてもらったんですね。そこからギターのレコーディングにも立ち会っていただいて。よりロックに!って思いながら作っていった曲なので、レコーディングも濃くて楽しかったです。

──ロックしてますよね。ドラムの音は乾いてるし、ギターの音は歪んでるし。

 そうですね(笑)。これまでで一番そういうところを意識した一曲ですね。

──あと、「FRIDAY」の《プライドは時にブレーキだ》というフレーズも印象的でした。

 それ、すごい思っているんですよ。プライドがなくなるといいなと思いながら過ごしてきたんですけど、人に対してやさしくいたいとかっていう、逆にそういうプライドもあるのかもしれないと最近思うようになったんですね。自分を保っているためのプライドだったらいらないとは思っているんですけど。

──この曲もサウンドが開けていくようなロックな感じで、“闇から光へ”みたいな力強さがありますよね。

 「彼に守ってほしい10のこと」を出したタイミングから思っていたんですけど、歌が強くて真ん中にある楽曲にしたいという想いがあって、「FRIDAY」はその一曲でもあるので、こういうライヴが目に浮かぶような曲を届けていきたいなと今は思っていますね。「FRIDAY」は車谷(啓介)さんにめっちゃ頑張ってもらって、超デカいアメリカ人がドラムを壊しそうな勢いで叩いているような雰囲気でお願いしました(笑)。

──確かに(笑)。「泣いてない」の車谷くんのドラムもすごい好きなんですよ。

 いいですよね! この曲ではクラップも入れてもらいました。

──doaの徳永暁人さんがアレンジを担当されていますが、どんなオーダーを?

 「泣いてない」はアルバムの並びを見た中で、こういう曲をもうちょっと入れておきたいなと思って書いた曲なんですけど、デモができたタイミングでリフ押しにしたかったので、ストレートなギターロックになるようにお願いしました。最初はもっとクレイジーな雰囲気のギターソロが入っていたんですけど、可愛いニュアンスを残したかったのでアコーディオンのソロに変えてもらったりはしたんですけど、あとは大体お任せでしたね。

──いい感じで遊び心のあるアレンジですよね。で、この「泣いてない」と次の「カルカテレパシー」はロックゾーンという感じで。

 「カルカテレパシー」はわりとデビューするタイミングからの流れで、歌が真ん中にあるものとして書いた曲で、ロックなんですけど、ギリギリのラインでJ-POPというか。ポップスのラインから離れないというところで。

──曲はキャッチーだけどちゃんとロックをした感じ?

 そうですね。これこそ生っぽさというか、セッション感というか、そこを大事にしようと思っていたので、最後はフェードアウトで終わっていくという。

──そんなロックサウンドやシンプルなバンドサウンドの楽曲が並ぶ中で、中盤では「a girl」「プリーズプリーズ」と三拍子の曲が続くという。これはタイプの違う曲を持ってこようと?

 というよりは、どちらも歌のパワーが強い曲なので。ずっとパワー感だけで攻めたいわけではなくて、生きているのと同じようにいろんな気持ちの時があるので、言葉がちゃんと染み込んでいく曲をこのくらいのタイミングで聴いてほしいなと思って2曲続けました。

──でも、同じ三拍子でも色合いが全然違うという。

 そうですね。「a girl」に関しては不穏なイメージマックスというか(笑)。時代感も中世ヨーロッパとかの、薔薇が舞っているようなイメージで書いているので曲のタイプが全然違いますね。「プリーズプリーズ」は一編の詞のような、ひとつのささやかなラブソングという感じにしたかったんですよね。

──個人的には「a girl」がすごく好きで…

 えー! そうなんですか!? 「支配者」推しかと勝手に思ってました。

──おかしいですか?(笑) もともとプログレが好きなので、世界が大きく変わるようなドラマチックなところだったり、最初の蜘蛛の話じゃないですけど、物語風だけど哲学的な歌詞も興味深いというか。

 そっか~、なるほど~。嬉しいです! 「a girl」はストリングスに関しても西村広文さんとプリプロに入って工夫しながら、どれだけ世界観が出せるかというところを考えて作っていきましたね。

──あと、中盤には「昔の話」というアコギの弾き語りの曲もありますが。

 これも最後のほうで書いた曲ですね。空気が流れるように漂っている曲をひとつ入れておきたいなと思って書きました。

──タイトル通りなのですが、すごくノスタルジー感のある曲ですね。

 声のリバーブ感とかも最初から“昔の歌謡曲みたいなもので”ってお願いしていました。もうこれは何も言わずに何かを感じてもらって、気持ちを共有できたらいいなと思ってます。メロディーに頼って歌詞が引っ張られてきたような一曲です。

──公園の音とかも入っていて、歌の響き方もまた他の曲とは違いますよね。

 “歌の力が強いもの”ってばかり言っていますけど、大きい声で歌うだけじゃなくて小さい声で歌っていても、歌を通してパワーを届けられるものをと思ってるんです。かなり他の曲よりも小さい声で歌っているんですよ、実は。

──そんなアルバムの最後を締めているのが「さよならのかわりに記憶を消した」なのですが、この音世界というか、ウェットな感じはアルバムの中で異質でした。

 アレンジャーのjoe daisqueという人の作る雰囲気とか空気感を事前に知っていて、個性の強い方なので絶対にこの曲に合うと思ってたので、グランドピアノ一本で録ったものに対して“環境音的なアレンジをお願いします”って伝えてアレンジをしてもらいました。

──だからか、ピアノが泣いているような感じがしました。

 そうですね、本当に。空気感というか、グッとその世界に入り込むようなものになったらいいなと思っていたんですけど、私も予想以上にいい感じになったなと思っています。

──エンドロール的な曲ですけど、この曲に入っている波の音が1曲目の「Intro」にも入っているという。

 予期せぬところで何かとつながっていたりするっていうのは、「カルカテレパシー」でも歌っていることなんですけど、そういうニュアンスをアルバムにも残したくて、そこは同じ音を使いました。

──では、この『はなしはそれからだ』ですが、真梨恵さん自身はどのようなアルバムができたと思っていますか?

 私自身、“いいものになるといいな”と思いながら作っていたんですけど、“私が考える元気が出る素敵な音楽とは?”というところをひたむきに考えた結果、こういうものができました!っていう感じですね。メジャーになったからっていうのももちろんあるんですけど、内容がしっかりしたものを届けたいと思っているので、そういう意味ではしっかりと内容が詰まったものになっていると思います。

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[植田真梨恵]インタビュー – すごく切ない3曲だけど、その中に希望がある

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