子どもの成績がのびる魔法の言葉とは?

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子どもの成績がのびる魔法の言葉とは?

 子どもが勉強しない、成績がなかなか伸びないと悩んでいる親は多いはず。子どもの勉強に対するモチベーションを高めるにはどうすればいいのでしょうか。

 『子どもの偏差値が30アップするシンプル勉強法』(コスミック出版/刊)の著者で、小中高生対象の個別指導塾「ITTO/みやび個別指導学院」を経営する喜多野正之さんは、子どもとのコミュニケーションを重視した学習指導を行います。
 問題の解き方も大事です。でも“成績が伸びる”瞬間は子どもの勉強に対するモチベーションが高いとき。では、どのようにすればそのような状態になるのでしょうか。
 新刊JPでは喜多野さんにお話をうかがいました。その後編です。
(インタビュー・構成:金井元貴)

■成績がのびる子に見られる“前兆”とは?

――喜多野さんの塾では他にもユニークな試みが多いのですが、その中でも気になったのが「必ずその日の問題集のノルマを達成させる」ということです。これはどのような意図でされているのですか?

喜多野:これは「期限を守る」という感覚を植え付けるためのものですね。納期を守ることは大人社会で絶対に必要なことですから、子どもの頃から身につけておかないといけないことです。
新卒の子たちを見ていると、平気で納期を破るんです。社内で簡潔する仕事ならばまだしも、外部からの案件でそれをやっているとえらいことになるぞ、と。昔だったら先生が叱り飛ばして「廊下に立ってろ」みたいなこともあったのでしょうけど、今は学校からそういうことがなくなってしまったんです。ならばうちの塾でやるしかないと。

――具体的にはどんなことを?

喜多野:もし宿題をしてこなかったら、「帰っていいよ」と普通に言い放ちます。それで帰ってしまいそうになる子もいるので、そういう子には「なんで帰ろうとするの?」と問いかけたり。メチャクチャなやり方かもしれませんけど、嫌な思いをしないとまた繰り返すんですよね。

――しかし、そういった厳しい指導をしていると、挫折する子が出てきそうです。

喜多野:いますね。それも解決方法があって、「どうすれば良かった?」と聞いていくんです。禅問答ではないですが、突き詰めて話をしていく。すると、子どもはめんどうくさくなってくるんですよ。「わかりました、次からはちゃんとやってきます」と最後には言うんです。
勉強をすれば成績は上がりますから、そうなると今度は自分が勉強する意味を考え始めるんですね。自分は何を目指しているんだろう、と。先生に言われたから勉強をするという段階から、今度は自分のための勉強になるんです。そうやってどんどん子どもは伸びていく。
それはON/OFF型のスイッチではなくて、ボリュームスイッチみたいな感じです。徐々に大きくなっていくというか。

――なるほど。ただ、挫折してしまって翌週から塾に来なくなる子はいないんですか?

喜多野:います。その時は、自社のノウハウを駆使してなんとかします(笑)。ただ、最終的に脱落する生徒は100人に1人くらいで、基本的には脱落させないようにしていますよ。

――喜多野さんがそこまで徹底して指導する理由はなんですか?

喜多野:自立をする準備をしていると思っています。社会人のなりたての頃って理不尽なこともたくさんありますし、なんでこんなこと言われるんだとか、いろいろ納得のいかないことがたくさん出てきますが、要はそれって自分が一人前じゃないないからなんですよね。
ただ、ちゃんとやることをやって結果も出てくれば自分の道を進むことができる。これが大人の階段を上っていくということだと思うので、勉強を通じてそういったことを身につけてもらえれば嬉しいです。

――厳しい指導をしていたら、親が塾に乗り込んできて…という話も聞いたことがありますが、指導方法に対するクレームはこないのですか?

喜多野:以前はありましたが、今はないですね。モンスターペアレントというのも、最初からモンスターである親って本当はいません。子ども想いのお母さんがいろいろなストレスを抱えることによってモンスター化しただけであって、モンスターになる前に封じ込めてしまえばいいんです。
実際にお話をしてみると、学校教育が不十分じゃないかとか、子どもについて相談する人がいないとか、いろんな悩みが出てきます。そういったストレスがモンスターを生み出していると考えれば、常日頃からお母さんたちと連絡をとることで和らげるのかなと。

――モンスター化する前に悩みを緩和させてあげればいい。

喜多野:そうなんですよ。「お母さん、最近どうですか?」という一言で反応は変わってきますよ。その上で、相手の子どもに対する悩みを聞いて、「お母さん大丈夫ですよ」「他のお母さんも同じことで悩んでいますよ」などと言ってあげるんです。
塾の場合、顧客の構造は二つあって、直接のお客さんが子どもたち、間接的なお客さんがお金を出す親御さんたちです。双方へのサービスが必要なのですが、どうしても生徒ばかりに力を入れて、親御さんをないがしろにしてしまいがちなんです。でも、私たちはどちらにもサービスをすることを念頭に置いています。

――生徒たちを見ていて、「この子は伸びる」という前兆があったら教えていただけますか?

喜多野:これは調子に乗る子ですね。絶対に伸びます。具体的には「お前、天才だな」ってほめてあげると満更じゃない反応をする生徒です。「お前天才だよ。こういう部分はすごく伸びると思うよ」と褒めると、調子に乗ってその部分を伸ばそうとするんですよ。

――なるほど。それは良いですね。

喜多野:「俺、先生に天才って言われた」って周囲にも言い出すと、これは確実ですね。

――自己肯定感が高まりますからね。

喜多野:だから、なんでも天才だって言ってしまいます。教室内からは「天才!」って声がよく聞こえますよ(笑)

――では逆に、勉強をし続けてもなかなか成績の上がらない子にはどのように声をかけるべきでしょうか。

喜多野:そんなときは「ドンマイ!」と言ってあげましょう。ダメだったときに、悩むと次への動き出しが遅くなってしまうんです。不安ばかりの状態になってしまうので。突き詰めて解決するならばそれでいいのですが、突き詰めても分からない問題もあると思うんですね。そのことに対して落ち込んでしまうと、何も行動できなくなってしまう。だから「ドンマイ!」なんです。「まあしょうがない、次どうしようか?」という感じにするとすごくいいですよね。

――確かに、良くないことは子どもが一番よく分かっていることですからね。

喜多野:そうなんです。だから講師は生徒に勉強することを約束させて、裏では親御さんにもちゃんと子どものフォローを入れるようにしています。「本人は猛反省していますし、次ちゃんと勉強すると言っているので、今回はお許しいただけませんか?」と(笑)
結局成績が上がるかどうかは、子どもと周囲の人たちのコミュニケーションというか、子どもの勉強に対するモチベーションを高めるかというところにあるんです。本書では、現場で実効性のあったノウハウを書いているので、どのような場面でも応用できると思いますよ。

――では、本書をどのような方に読んでほしいとお考えですか?

喜多野:まずは塾選びをされている保護者の方ですね。塾を選ぶ基準って曖昧なことが多い気がして、例えば合格実績とか口コミとか、そういうものを見て決める人もいると思うのですが、実際に選ぶときはその塾がやっていることを深く知ってもらってから選んでほしいです。そうすれば失敗のない塾選びができるように思います。
また、先ほどいったいろんなストレスを抱えているお母さんにも読んでほしいです。子どもとどう接していいのか分からなくなったときに、本書を読んでもらえれば嬉しいですね。家で勉強させるのであれば、どのようなことに気をつけるべきか書いています。

―では最後に、新刊JPの読者のみなさまにメッセージをお願いできますか?

喜多野:実はこの本、『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の著者である坪田信貴先生とは、真逆の発想になっています。と言うのも坪田先生はカリスマ塾長ですが、うちの塾にはカリスマの先生がいないんです。でも、同じこと、もしくはそれ以上のことができる自信があります。だから自分の中では『ビリギャル』のアンチテーゼ的な位置づけですね。
おそらく親御さんは「良い先生に勉強を見てほしい」と思うのでしょうけど、実は「良い先生」の定義って曖昧なんです。だから、一番軸にすべきは「自分の子どもがどうなったらいいのか」であって、その部分を真剣に考えてほしいです。塾のネームバリューや合格実績、カリスマ講師がいるとかじゃなくて、軸になるものを基準に考える。本書はその手助けになると思うので、ぜひ読んでみてください。

(了)


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