子どもを被害者にしないために 社会が担うべき役割

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子どもを被害者にしないために 社会が担うべき役割

思春期にはプライドも生まれ弱音を吐けないケースも

川崎市で中学1年生が少年3人によって殺害された事件、軽々しい理由で人を殺してしまう残忍さに憤りや悲しみが込み上げてきます。「本人のSOSが何とか大人に届いていたら…」と悔いが残る事件です。

13歳といえば、ちょうど思春期に差しかかった頃で、親から離れ、自分のことは自分で何とかしようとする傾向が強くなります。最近では、反抗期といっても比較的穏やかなので、各家庭では年頃の子どもに対して「よく話をしてくれる」「コミュニケーションが取れているから大丈夫」といった印象を持っているようですが、「親に心配をかけるようなことは言わない」という子が多いのが実態です。

被害者も、「明るくて人気者」「家族思いの優しい子」といった性格が、母親や友人たちの話からうかがえ、簡単に弱音を吐いたりしなかったのでしょう。特に男の子はプライドを強く持ち始める時期なので、なおさら周囲は把握できなかったのだろうと考えます。

子どもに対して無関心にならないように周りの大人が声かけを

加害者側の責任であることは間違いありませんが、被害者やSOSをキャッチした周りの子どもたちが頼ることができる大人はいなかったのだろうかと悔まれます。

思春期の子どもがいる家庭なら「困っている友だちはいない?」とさりげなく聞いてみてはどうでしょうか。自分のことは言えなくても、友だちのことなら言える場合があります。みんなが無関心にならないように心がけていくしかないと思います。

さらに、被害者はひとり親家庭で5人兄弟。シングルマザーはダブルワークでないと子どもを養っていけないなど、就労が長時間にわたります。母親は仕事に追われ、「息子と十分に話し合う時間が持てなかった」とコメントしています。仕方ないとはいえ、悔やんでも悔やみ切れないことでしょう。

経済的な圧迫が続くシングルマザーに支援体制を望む

シングルマザーという道をやむを得ず選んだ女性の約7割が、DVやモラハラなど何らかの暴力的な扱いを過去に受けているといいます。やっとの思いで離婚できたとしても、そのあとに経済的な圧迫が続くのは厳しすぎます。

これから離婚を考えている人には、経済的な自立を図っておくことや、感情的にならず、できるだけ養育費や慰謝料を多く受け取れるようにすること、実家など頼れるところを確保しておくことなどをアドバイスしたいと思います。

「子どもを産んだのは自分なのだから」という個人的な責任問題としてだけでなく、社会福祉の面でも児童手当の増額や保育時間延長など、それぞれが求めるものに見合った支援体制を望みます。女性は家庭や社会において、もっと大切にされるべきだと痛感します。そうでないと、被害者になるのは、いつも弱い立場の子どもたちだからです。

(北見 由紀/心理カウンセラー)

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