ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

[Hilcrhyme]インタビュー – Hilcrhymeじゃないとできないことをやっていきたい

DATE:
  • ガジェット通信を≫

デビュー5周年を終え、ネクストステージに突入したHilcrhymeから届いた新曲「YUKIDOKE」は歌モノ! 6枚目のアルバムを絶賛制作中というふたりに、新作のことや現在のモード、さらにニューアルバムの感触について語ってもらった。

──昨年はデビュー5周年という節目の年を武道館で締め括ったわけですが、どんな1年でしたか?

TOC 5年目…って感じでしたね(笑)。いろいろ思うところもあったんですけど、やっぱり武道館が一番象徴的でしたね。どう?

DJ KATSU 俺はとにかく武道館だったかな。2014年前半はツアーをやってる最中もずっと武道館のことが頭にあったし。武道館以降も年末までライヴをやってたんですけど、やっぱり“武道館以降”という感覚がありましたね。去年は5周年と初の武道館公演っていうものを軸に動いていたって感じです。

──その武道館を終えて、気持ち的にどう変わりました?

TOC 武道館はひとつの目標だったから達成感が大きかったですね。ライヴ自体も満足のいくものができたから…デビュー2年目の時に地元の朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンターでアリーナライヴをやったんですけど、その時は大舞台を持て余している感覚があったんですよ。でも、武道館はそういう感覚がまったくなったですね。あと、“武道館アーティスト”っていう言葉があるのも納得しました、それは自己意識的な話なんですけど。自分の中で“武道館のステージに立った!”っていう自負が大きいです。

DJ KATSU 5年というひとつの区切りがあって、武道館にはお祝いムードがあったというか、周りが浮かれていた感じがあったんですけど(笑)、それに自分も乗ってしまうと、武道館で燃え尽きてしまいそうな勢いだった…まぁ、ライヴ自体はいろいろ反省点もあるんですけど、ソールドアウトにもなったし、やり切ったっていうのはものすごい大きな経験だと思うし、今後の活動にも活きてくると思うから、今は6年目以降に意識が向いていますね。武道館以降、気持ちが切り替わってます。

──DJ KATSUくんの言葉通りだと思いますが、武道館でもう一度スタートラインを引き直したような印象がありますよ。武道館でも“目標としていた1日。でも、明日になれば過去になる”と言っていたし、しっかりとネクスト・ステージを見てライヴをしていたというか。

TOC そうですね。MCでも言ったんですけど、武道館とはいえ、ひとつのライヴに変わりないって。ただ、やっぱり大がかりだったから…あと、ファンの人が楽しみにしていたから、それには応えたいと思っていたんですけど、マインドとしては“いつも通り”っていう感覚で臨みました。そういう気持ちで臨めたことが、5年間やってきた成長の証かなって思います。

──では、昨年はデビュー5周年という節目の年を武道館で締め括ったわけですが、2015年は次のステップとしてどういうことをやっていきたいと思っていますか?

TOC Hilcrhymeじゃないとできないことをやっていきたい…その気持ちが前よりも強くなりましたね。3月に出る6枚目のアルバムは、そういう意識で作ってます。デビュー3年目とか4年目の頃って、ヤバイ!って焦ってたんですけど、5年が経って“そんなに切羽詰まらなくてもいい”っていう気持ちになったんですよね。

──“ヤバイ!”というのは、どういうことで?

TOC 単純にアーティスト生命が、ですね。動員とかCDのセールスは落ちてないんですけど…かと言って、劇的に上がっているわけでもないし(笑)。なので、そこで恐怖感を覚えたというか。でも、“武道館がやれたんだからすごい”ってふうに思えるようになったから、それだけ気持ちに余裕が出てきたんでしょうね。

DJ KATSU TOCが3年目ぐらいの時にヤバイ!って思うようになったって言ったけど、俺の中にも波があって…3枚目のアルバム(『RISING』)は今聴くと暗い曲が多かったり(笑)。時間的に余裕がない中で、納得がいかないことがあったり、お互いの妥協とかもあったり、いろいろ試行錯誤しながらやってきたけど、そういう経験を全てひっくるめた上で、今また新しいやり方が見えてきているんで…それはライヴも制作も。なので、今年はそれをしっかりとかたちにしていきたいと思ってます。

──2015年第一弾が今回のシングル「YUKIDOKE」になるわけですが、この制作はどのように?

DJ KATSU ラフのトラックがいっぱいあって、その中からひとつ選んで、トラックメイクでアレンジャーに入ってもらって、そこから磨き上げていったんですけど、今までだったら行けなかったレベルまで行けたんじゃないかなって思いますね。

──ストックの中から、この曲を選んだポイントというのは?

TOC DJ KATSUくんっぽかったから(笑)。あと、ラップじゃなくて歌える曲を作りたかったんですよ。それもあってああいうトラックになったというか。

──歌モノにしようと思った動機は何かあったのですか?

TOC …なんとなく(笑)。でも、その感覚って自分の中ではすごく大事なんですよ。“今、やりたいこと”ということですから。ラップはいつでもできるから、今は歌いたかったんでしょうね。

──TOCくんはソロ活動の中で、がっつりとラップをやってるからというのもあるんでしょうね。

TOC それはあると思いますね。Hilcrhymeの曲を作る上でソロのことは考えてないんですけど、無意識のうちにそういうのはあるかもしれないです。でも、次のアルバムの中では、メジャーフィールドでは使わないような言葉をすごい早いBPMに乗せているラップもあるので、そういう意味ではやりたいことがやれていて、そこにストレスは何ひとつないですね。

──ストックの中から「YUKIDOKE」の原曲を選んで、そこからブラッシュアップしていく時に、どういうことを意識していましたか? 昔みたいにふたりで作るのではなく、Jazzin’parkさんとコラボしているわけですが、今ではそういう選択肢もあるというか。

TOC そうですね。何でもかんでもふたりでやってきたんですけど、そうじゃなくてもいい…音楽に関しては“良いもの”が正義だと思ってるんですよ、俺は。自分が良いと思ってないものを、何かの形式にこだわって出すのは悪っていうか。それはライヴも同じで、お客さんが盛り上がるなら、楽しんでもらえるなら、何をやってもいいと思ってるんです。

DJ KATSU Jazzin’parkさんを選んだのはTOCなんですけど…一緒にやった「Lost love song」がすごく良かったし、評判も良かったんで、今回もアレンジを頼もうって。デビュー当時はアレンジャー兼プロデューサーとしてEQさんに入ってもらってたりしたんですけど、当時は初めてのことだらけで、自分のやりたいものが崩されていく気がして、良くなったところもいっぱいあったけど、“違うな”って思ったことも結構あったりしたんですね。今はもう5年の経験があるし、“これは違うな”ってならないようにできるとも思っていたし…結果、Jazzin’parkさんと一緒にやって良い部分がさらに良くなったし、ラフだった部分をものすごく良くしてくれて、今回のトラックは最初に想定していたものの何倍も良くなりましたね。

──ビートを強調するよりも、ピアノとかがメロディーを引き立てているトラックになってますよね。

TOC 爆音で低域を出す曲じゃないと思ったんで、ミックスの時も低域を下げてもらったから、必然的に上の周波数が押し出されたっていう感じですね。

DJ KATSU 主役がリズムじゃなくて、ピアノだしね。

──Jazzin’parkさんには、最初に何かオーダーしたり?

DJ KATSU 細かいことはあまり言わずに、まずはラフのものを送って、一回提出してもらったんですけど、その第一段階の時点で理想に近いかたちにブラッシュアップされてましたね。なので、その方向性で進めていって、仮歌も入れて…後半のアレンジとかはJazzin’parkさんの方向性が強く出てるんですけど、もろ自分の好みですごく気に入ってますね。だから、自分にとってもいい経験だったし、このやり方に可能性も感じています。

──初めてのコラボじゃないから、Jazzin’parkさんも何が求められているのかが分かっていたんでしょうね。

DJ KATSU そうですね。あと、一回、新潟に来てもらって、じっくり話し合ったり、飲みに行ったんですよ。そこからの制作だったので、かなり打ち解けていたってのもありますね。

──その話し合いでは、歌詞のテーマや曲の方向性とかを?

DJ KATSU 歌詞の内容とか具体的なことは何も決まってなかったので、どういう進行でやっていくか?とかですね。まずは自分たちの新潟のスタジオに来てもらって、そこでストックを聴きながら“この曲だったらこうするといいよね”とか話し合って、その中で“じゃあ、この曲とこの曲をやってみましょう”ってなったんです。

──曲のセレクトの段階から一緒にやったわけですね。

DJ KATSU そうです。

──ということは、TOCくんが歌詞を書いたのは最後?

TOC 全部が終わってからですね。歌詞は一番最後でした。

──歌詞は最初から“卒業”や“別れ”をテーマで書こうと思っていたのですか?

TOC 歌詞のテーマ出しは去年の早い段階でやっていて…“Hilcrhymeが歌う卒業ソングを聴いてみたい”ってスタッフから言われていたんですよ。で、今回書いてみたというか。みんなで歌えるものがいいなってのは思ってましたね。

──そのテーマがこのトラックに合うと思ったから?

TOC う~ん、トラックにどういうテーマがはまるのかっていうのは考えないようにしてるんですよ。全然違うテーマがはまる時もあるから、テーマよりも歌ってみた時に気持ちの良かった言葉を優先する時もあるし…だから、そこは感覚ですね。そういう意味では、今回の歌詞って自分の中では“卒業”っていう感じがしてないんですよ。歌ってみて気持ちのいい言葉を並べただけだったんで。まぁ、学生時代を思い出して歌詞にしたっていうのはありますけど。

──個人的な印象も卒業うんぬんよりも、友達との絆や感謝を歌ってるように思いました。

TOC うんうん。そっちのほうが大きいですね。友達と離れ離れになるのが嫌っていうか…俺、高校は親元を離れて遠くの学校に行くことが決まっていたから、中学の時の仲間にほとんど会えなくなる感じだったんで、それが歌詞に強く出ましたね。

──この曲はさっき言われたように歌モノなのですが、歌入れの時はどんな気持ちで臨みました?

TOC カラオケですね(笑)。Hilcrhymeでは歌うってことがなかったので、歌うっていうのはカラオケしかなかったんですよ。カラオケで歌うと気持ち良いじゃないですか。そういう感覚で歌ってみようって思いました。歌の上手さや技法とかはまったく分からないから、自分が気持ち良く歌うっていう。韻を踏まなくいいし。まぁ、その分、歌詞を書く時は文字の配列が難しくて苦労したんですけど(笑)。ラップだと韻を基準に作っていくんですけど、それがないんで。

──ちなみに、DJ KATSUくんの歌に対する印象は?

DJ KATSU 最初に仮歌が入ったものを聴いた時はすげぇ違和感があって全然しっくりとこなかったんですけど(笑)、本録りをして、ミックスしたものを聴き込んでからは、もうかなり気に入ってます。トラックとも合ってるし…歌詞も曲調も全部が合致していると思いますね。だから、最初に感じた違和感は歌だったからなのかなって。今まではメロディーとラップのバランスをうまくとってやってたんですけど、今回は初めて歌だけだったから。とは言っても、ちゃんと今までHilcrhymeとしてやってきた流れの中にあるものにはなってると思いますけど。

──そして、カップリングは「押韻見聞録」の続編となる「続・押韻見聞録 –未踏-」なのですが、なぜ続編を作ろうと?

TOC “続編って作ったことがないよね”って話になって、どの曲で作るかってなった時に、うちの事務所の社長が昔から好きっていうこともあって、「押韻見聞録」にしました(笑)。

──サブタイトルに“未踏”とあるし、現在展開中のツアー『Hilcrhyme TOUR 2015 「イッタコトナイ。」』に併せて作ったんじゃないんですか? 同ツアーのライヴ音源というかたちで収録されているし。

DJ KATSU もちろん、『イッタコトナイ。』のために作った曲ではあります。

TOC うんうん。歌詞も“初めての街に行って~”って内容だし。“続”だけだと味気ないんで“未踏”って付けたんですけどね(笑)。でも、“未踏”は“イッタコトナイ”ってことだけじゃなくて、“新しいところに踏み出す”っていう意味でもあります。新しいことをやりつつも今までのファンも…歌詞に《中学生だったあの子も成人》ってあるんですけど、5年前にHilcrhymeを初めて聴いた中学生が今は成人になってるんですよ。まるで成長過程を見ているみたいなところもあるから、そういうファンを置いていかないようにしたいと思ってます。

──この「続・押韻見聞録 –未踏-」もトラックはJazzin’parkさんとのコラボですね。

DJ KATSU 「YUKIDOKE」は俺のラフトラックをベースにアレンジをしてもらったんですけど、この曲はJazzin’parkさんからの提案があって、そのトラックを俺がアレンジしたんですよ。「押韻見聞録」の続編ということだったんで、和のテイストは崩さないというか、もっと小鼓の音や掛け声を入れたという感じで、結果的にいい世界観が築けましたね。

──ライヴでの反応も良さそうですね。

TOC むちゃくちゃ良いですね。「押韻見聞録」を半分くらいやってから突入するんですけど…ちゃんと説明を入れて。もともとの「押韻見聞録」とまた違ったトラックになってるし、やっぱりJazzin’parkさんの音がいいんですよ。分かりやすいっていうか。複雑な打ち込みをしてないし、ビートの裏でオイ!オイ!って騒げる。そういうのって、今までのHilcrhymeにはなかったんですよね。

──今回のシングルが布石にもなっている思いますが、最後に現在制作中のアルバムがどんなものになりそうなのかを教えてください。

TOC “再生”や“復活”がテーマになっていて…「YUKIDOKE」もそうなんですけど、90年代のJ-POPを意識して作ってたりするんですよ。うちの社長が昔からHilcrhymeにはフォークを感じるって言ってたんですけど、最近になってそれってすごい武器だと感じるようになったんです。なので、それを前面に押し出そうって。もちろん、音の部分は2015年のものだし、Jazzin’parkさんという百戦錬磨のアレンジャーも加わって、Hilcrhymeにしかできないもの…フォークを感じるし、古き良き90年代のJ-POPをリバイバルした一枚になると思います。大袈裟かもしれないですけど、この先、どうなるかなんて分からないじゃないですか。そう考えた時に、好きなことをやりたいと思ったんですよ。メジャーのレコード会社と契約しているからこそ、ちゃんと自分の好きなことをやりたいし、言いたいことを言いたいなって。なおかつ、お客さんを置き去りにしない。Hilcrhymeはそれができると思ってるんですよ。それでいて唯一無二な存在でもある…1MC1DJで「YUKIDOKE」みたいな歌モノから、「続・押韻見聞録 –未踏-」みたいなアッパーなものまでやれるっていうのは、客観的に見ても他にいないと思うんで。そういう意味でも、アルバムにはいろんなメッセージが入っているし、戦っている感覚もあるし、開拓しているっていう自負もありますね。

DJ KATSU 6年目ということで、過去の5枚のアルバムとは全然カラーが違う作品になっていると思いますね。もちろん、いい部分は残しつつなんですけど。きっとファンの人が聴いても新鮮に思えるだろうし、このアルバムで初めてHilcrhymeを聴く人は新しい音楽っていう感覚で聴けると思います。

(OKMusic)記事関連リンク
元記事を読む
Hilcrhyme、“スーパーハンコアーティスト”安東和之によるアルバムティザー映像を公開
Hilcrhyme、Right-onとHMV のコラボ企画に登場

カテゴリー : エンタメ タグ :
OKMusicの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP