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[家入レオ]インタビュー – 淡いところで表現した 少し大人になったアルバム

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19歳から20代への歩みと、二十歳を迎えて新たに開かれた扉からの大きな一歩。ここに収められた12のドラマには、表現者・家入レオのしなやかな成長がはっきりと刻み込まれている。『20』(トゥエンティ)――その歌心に、心奮える。

このアルバムを作っていて 音楽への思いが新たになった
──レオさんの今現在そのものを表す、象徴的なアルバムタイトルを掲げていますね。

 私にとって二十歳というのはとても大きな意味を持つ歳なんです。19歳の時って答えが出るものに対して、分かっているんだけれど気持ち的に整理できないことがたくさんあって、そういう時に“二十歳になれば”っていう言葉をすごく使ったんですね。それは“今頑張れば、絶対素敵な将来が来る”っていう、自分を納得させる言葉だったんですけれど。でも、実際に自分が二十歳になったら、やっぱり“19歳の明日”でしかないなって…いきなり大人にはなれないし。それでも成人として認められて責任が持てる分、楽しいこともあるだろうし、反面怖さもある中で、やっぱり素敵なものにしていきたいと思って。節目でもありますし。それで“20”という分かり易いタイトルを選びました。

──19歳からの歩みもあっての“20”ですから、意味するところは大きいですよね。シングルのリリースの流れも非常に重要でしたし。

 このアルバムを作っていて、音楽への思いがすごく新たになったというか。自分が進んでいきたい道、やっていきたい音楽っていうのがすごくはっきりと分かったんです。このアルバムは淡いアルバムになったと思うんです、自分自身では。今までは喜怒哀楽がはっきりした楽曲が多かったけれど、「Silly」以降はグレーゾーンの表現が認められた分、哀愁や切なさをテーマにして作る楽曲が多くなったんですよね。でも、その中でも基本の軸は変わっていない。そこをもっとやっていきたいな、ということも改めて思えた制作でした。

──“淡い”というのは表現方法とか伝え方ですよね、たぶん。尖ったものを尖ったかたちで表現するのではなく、何かでくるんでいるけれど中身は尖っている、とか。単に淡いのではなく。

 そうですね。陰と陽の両方あって私だと思っているんですけれど、今回は淡いところで表現したものをピックアップしたという感じです。一曲一曲への思い入れは強いですし、そこで少しずつだけど成長しているのかなと思えたし…。少し大人になったアルバムですね。

──今作を聴かせていただいて、幅が広がったのを感じました。楽曲のカラーが増えたことで、詞の世界観に新たなものが生まれていますし、ヴォーカリストとしての表現にも深みや広がりがより出てきたといいますか。

 それはすごく意識していたと思います。作り溜めてあった楽曲ではなく、リアルタイムな楽曲が中心になったことで、これからのドキドキとワクワクが込められていますし。それと、“20”というタイトルですけれど、どの楽曲も聴いている方の年齢を当てはめて聴いてもらえる、ひとりの人間として共感してもらえるところがたくさん散りばめられたんじゃないかなって思います。で、「心のカ・タ・チ ~Another Story~」は、多分おっしゃっていただいた表現の広がりを感じてもらえる一曲になったかなって。やっぱり一度発表した曲をアレンジ違いで入れるというのは、実は私からするとすごく怖いことなんです。過去のものと今のものとを聴き比べた時に、声自体の持つ厚みや温度が相当変化していないと、時をちゃんと重ねてきた表現とは感じてもらえないですから。だから、この曲は自分への挑戦状でしたし、そういうところですごく勝負した曲ですね。

──《ずっと泣くことも 出来なかったから やっと 吐き出せるかな》の一節なんて、より響いてきましたよ。

 そうなんですよ。歌詞を書いていていつも思うのは、予言みたいになる時があるなって。ほんとに言霊ってあるんだな、とか。あの頃はあの頃なりの苦しさがあったんですけど、今、ピタッとくるものがあって。言葉って、言えば言うほど強い力を発していくんだなって思いました。

──個人的には「love & hate」にもドキッとしました。ジャジーなサウンドに、ちょっと抽象的な詞世界で。

 これは自分の中でも本当に大切にしている曲なんです。人の心の本能的なところにスポットライトを当てて書いた歌ですね。愛されたいけれど、自分に自信がないから嘘をついてしまう。でも、嘘をつきながら、僕の嘘を見抜いてほしいと思っている矛盾もどこかにあって。それは架空の自分を愛されると苦しくなるから、本当はそういう嘘をついてしまう自分のことを愛してほしいという思いだったり。愛されたいがための闇から誰か救い出して、って言っているような気もするし。実際は自分の嘘にいちいち傷付いたりとか、それをただただ受け入れるしかなくて壊れそうになっている純粋で無垢な誰かを見たい気もするし…。誰もが誰かをコントロールしたいというか、“私だけがあなたのことを理解できるんだよ”“あなただけが私のことを理解できるんだよ”っていうふうにふたりの世界に閉じ込めたい時ってあると思うんですよね。そのことについて書いてみたというか…自分の中では結構新しいところにきたなって感じられる詞で、手応えもありました。

──じわじわ怖い、というか…。

 そうなんです! ほんとそういう感じで作っていって。アレンジももとはロック調だったんですけど、歌詞を書いた時に“もう少し大人なアレンジにしてもいいかも”って話してこういうサウンドに変えました。この曲は「Silly」より前があったからこそできたものですね。

──「Still」なんかは逆にものすごく真っ直ぐですね。

 あー。これは「Silly」より前の曲なんです。まだ愛で満たされると思っているから、そこに焦点を当てて。だから、《大嫌いって 思えたらな こんなに苦しくもないのに》っていうシンプルな歌詞ができたんですけど、もう今は書けないかも(苦笑)。こんなふうに“あなただけがいてくれたら大丈夫”みたいなことは言えないかな。でも、そういった意味でも音楽って面白いですね。

──やっぱりキーは「Silly」の前にできたか後にできたか、なんですね。

 はい。今回のアルバム、「Silly」をどこに置くかで一番迷ったんですよ。負の引力が強いじゃないですか。どこに置いても強いものを発しすぎて。最終的に、アルバムリリースが決まってから作った「little blue」の次に置いたんですけれど。

メロディーで選んだ言葉って 意味がなくても意味のあるもの
──「little blue」は柔らかい曲調ですよね。で、最後に《全ての希望にそっと近づいてく》って歌っているところから、次いきなり「Silly」(笑)。

 いきなり《難しいことが多すぎる愛》ですからね(笑)。「little blue」は自分の幼少期とか今までの20年間を振り返って、厳密に言葉に落とし込んでいった曲なんです。これも自分の中では大切な曲で、ライヴで歌いたい一曲ですね。《ロイスローリー》のところはメロディーが何とも言えないんですよ。歌詞はレコーディング中も細かく直していったので、完成がギリギリになってしまったんですけれど。そう、「TWO HEARTS」も一度歌入れまでいったんですけれど、分かり易すすぎるなと思って、攻めて突き詰めて。結局、ほぼ全部書き直しました。

──この曲はスクールデイズがモチーフになっていますね。

 この曲は東京に出てきてからのこと、夢を持つことについて書いた曲です。私もまだ夢を叶えたわけではないし、諦めてるわけでもないんですけど、夢って輝かしいものばかりではないっていう、ちょっと現実的な自分もいたりして。歌詞にある“君”というのは、これまで出逢った夢を追いかけている人たちのことで、そんな“君”が夢の途中で迷っているとしたら、そっと近付いてやさしく”大丈夫だよ”って励ましてあげたい、そんな気持ちで歌詞を綴っていきました。

──ちょっとひとつ抜けた感、ありますよね。

 ありますね。自分でも書いていて思いました。

──ヴォーカリストとしての面白さがすごく表われているのを感じられるのは、「lost in the dream」でした。英語の部分を言葉そのままじゃなくて音で表現していたり。

 そうなんです。《hold me, lonely, don’t leave》を“ヨーリドリドリー”って。最初はメロディーをラララで歌っていたんですけれど、“ヨーリドリドリー”って歌ってみたら“その響き、いいな”っていう話になって。一番最初にメロディーで選んだ言葉って、意味がなくても意味のあるものな気がして、そこは大事にしていきたいなと思ってるんですよ。これはもうメチャクチャ自分でも気合いを入れて臨んだ一曲ですし、自分らしい表現ができたんじゃないかと思っています。歌詞自体は映画の『カサブランカ』の主人公の男性の気持ちをもとに書いていったんですけれど。

──詞のストーリーにすごく映像感があるし、“ヨーリドリドリー”も言葉遊びで終わらせていないし。

 そう。この言葉には何かあるんですよね。響きを大切にした、固定していない感情を表す言葉ってあっていいと思うんです。歌っていてもその日によって全然違う意味になる言葉というか…言葉ですらないかもしれない。

──このフレーズは、みんなライヴで歌うでしょうね。

だと嬉しいですね。ライヴを意識した曲、やっぱり増えたと思いました。制作している中で。

──ライヴがあってこその制作ってよくおっしゃってますもんね。

 もちろん作品をリリースするのも大事ですけれど、ライヴでもらうものもすごく大きいので。“ライヴで歌いたいからリリースしたい”っていうタイプですね、私は。

──アルバムのラストに収められた「Last Song」も、すごくライヴの絵が浮かぶ一曲でした。

 これはアンコールで歌いたいなと思ったので、間奏の部分も他の楽曲より長いんですよ。“歌っていないところで泣かせる”みたいな曲にしたくて。デビューしてからいろんな心のつながりができて、それはどれも素敵なものだと思っているし、どれをとってもひとつひとつ当たり前のものではないので…支えてくださっている、心のつながりのある全ての人に聴いてもらいたいな、と思っています。最初に書いたきっかけは、13歳の時から私を見守ってくれている人…“愛とか恋とかいうものではないつながりがある”っていうことを初めて信じられた人に対して詞を書きたいな、と思ったことだったんです。

──しみじみ感動できるナンバーでした。ただ、通常盤を聴くとこの後にボーナストラックで「Silly」のアナザーバージョンが流れてきて、またズシーンとくるという。

 あー! そこはもう1回落ちてもらおうと(笑)。そうなんですよねー。「Silly」はもっと違う聴き方、もっと違う表現の仕方があるんじゃないかな、と思っていて。シングルバージョンだと抜いて歌っているので。客観的に歌っているというか。客観的に歌えるっていうのはもちろん、自分が絶対に伝えたい思いが確かなものであるからこそなんですけど。だけど、もし「Silly」を感情で歌えたらどうなるんだろう?っていうことにもすごく興味があったんです。ここではニュアンスの微妙なさじ加減をすごく考えて歌いました。アレンジも新しくして、ティンパニーとかを入れてみたり。このかたちで1回生で歌ってみたいな、って思っています。

──そして、初夏にはツアーも決定していますが。

 日比谷野外大音楽堂からスタートなので、すごく楽しみです。ここで新しい何かを掴んで、また新しい何かが始まりそうな気がしています。

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