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小藪千豊「いい年こいた美魔女をチヤホヤする国に未来ない」

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 安倍政権が進める「女性が輝く社会」には、諸手を挙げて賛成。でも、ちょっと、男としては息苦しい世の中になってきたなと……。吉本新喜劇・座長の小藪千豊が、“怒られるのを承知で”美魔女について、意見した。

 * * *
 いい年こいてキレイで若い見た目の女性を「美魔女」と呼んでチヤホヤする風潮はおかしい。ボクも嫁はんもブサイクやからあまり説得力ないかもしれないけど、「キレイなのがそんなに最高なんかい!」と言いたい。

 ただキレイな人を持ち上げるようなテレビを見せられても、少ない給料の中でやりくりして子育てしてる若いお母さんは、メイクもできんし、エステにも通えず、服買うこともなかなかできん。なのに、自分より年いったオバハンがキレイにしてイキってるのを見たら、ストレスがたまる一方でかわいそう。

 キレイやったらアカンというわけではなく、それはそれでいい。だけど、みんながみんなキレイにならなアカンわけではない。週に何回もエステに通って高い化粧品買ってせっせとシワを伸ばすよりも、それこそ中身が素敵なオバハンはいくらでもいる。

 もっといえば、よく女性の意見を代表してコメントする人がいるけど、あれだってだいたいが成功したキャリア女性の話。髪の毛ザンバラで、自転車の前と後ろに子どもを乗せてるようなガチのお母さんの意見ではない。

 だいたい世の中のほとんどはキレイでも何でもないオバハンに育てられている。オバハンが産んだオバハンがまたオバハンを産む歴史を歩んできたんやから、誰しも根っ子にはオバハンへのリスペクトが絶対あるはず。

 だから、いろんなことを我慢して子どもを育て上げたオバハンを見て、男が「女はエライな」と思う、そんなオバハンを賛辞する方向に持っていかなアカンとつくづく思う。「美魔女=絶対の正義」みたいな風潮が強まりすぎて、普通のオバハンが「私らアカンのかな」となったらどうなるか。

 たとえば学生街で食堂をやっているオバハンがそれまで週6で営業して学生たちの腹を満たしていたのに、ある日突然「美」に目覚めて「じゃ、私ちょっとエステに行くわ」とお店を休んだら、お腹を空かせた学生たちは困るやろ。

 しかもシャネルやエルメスで身を固めた人に「サバの味噌煮です」って飯を出されたらどうする? 割烹着を着たオバハンが出す方が絶対うまいのに。あるいはすべてを子どもに捧げていたお母さんがいきなり、自分をキレイにするために家事をほったらかして、子どもを置き去りにするようになったらいかがなものか。
 
 美魔女もええけど、キレイじゃなくても素敵なオバハンはいくらでもいる。なのに、キレイなだけで褒めるのは、もうヤメにした方がええちゃうんかな。それがひいては日本のためになるということにそろそろ気づくべき。女の人が美だの恋だのに脳の過半数が奪われている国家というのは未来がないと思います。

※SAPIO2015年4月号


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