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研修に「アメトーーク!」 講師全員が“蛍原”になる風変わりな塾

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 子どもが勉強しない、成績がなかなか伸びないと悩んでいる親は多いはず。子どもの勉強に対するモチベーションを高めるにはどうすればいいのでしょうか。

 『子どもの偏差値が30アップするシンプル勉強法』(コスミック出版/刊)の著者で、小中高生対象の個別指導塾「ITTO/みやび個別指導学院」を経営する喜多野正之さんは、子どもとのコミュニケーションを重視した学習指導を行います。
 問題の解き方も大事です。でも“成績が伸びる”瞬間は子どもの勉強に対するモチベーションが高いとき。では、どのようにすればそのような状態になるのでしょうか。
 新刊JPでは喜多野さんにお話をうかがいました。
(インタビュー・構成:金井元貴)

■「勉強するのが嫌」のハードルを超える方法とは?

――本書は勉強法のテクニカルな部分とともに、教育におけるコミュニケーションの重要性を訴えています。こうした部分は親子の関係性が影響を及ぼすものだと思いますが、塾を経営されている中で、現代の親子の関係性にどのような特徴があると思いますか?

喜多野さん(以下敬称略):保護者の方と塾生の関係性を見ると、二極化してきているように思います。一方は過保護、過干渉、もう一方は無関心、無反応です。また、衝動的に動く親御さんも少なくなくて、子どもが振り回されているのも気になります。

――衝動的に動く親御さんとは?

喜多野:例えば、最初は「こういう風にビシビシ指導してあげてください」と私たちにリクエストしてくださる親御さんがいらっしゃいます。非常に子ども想いだと思うのですが、少し具合が悪くなると真逆の指導を要求してくることがあるんです。「そんなに厳しく指導しないで下さい」など「さっきと言っていること違うぞ」みたいな。
大人ならば話し合いをして、折り合いをつけることもできますが、子どもは大人に「こうやれ」と指示されたら言いなりになります。そうなると、自分で考えて行動できない人間になってしまうんですね。

――なるほど。

喜多野:せっかく自分で考えて行動を起こしても、親が「ダメ!」と言ってしまえば、それに従わざるをえません。だから、子どもは「やってもどうせ止められる」とか、「無駄だ」と考えてしまうようになってしまうんですね。ちょっと気の毒だなと思います。

――過保護な親と無関心な親ですと、子どもの成績に差は出てくるものですか?

喜多野:比較をすると、過保護な親のほうが若干成績は良いケースがあります。良い子を演じられる子どもは良い成績を取れることがあるんですね。もちろん悪くなるケースもあるのですが。
本当に無反応・無関心な親を持つ子どもは、どちらかというと成績が悪くなるケースが多いです。勉強しなくても注意してくれる人がいないのですから。

――喜多野さんが経営されている塾では個別指導を掲げていらっしゃいますが、学習指導をする上で気を付けていることはなんですか?

喜多野:基本的に塾は学校の補完機関の役割を果たす場所だと思います。昔は学校と同じスクール形式で、テーブルを並べて大人数で授業をするスタイルが一般的でしたが、これは学校で教えていることよりもさらに進んだ内容を教えてくれる場だったからなんですね。
今は少人数教育のほうが多くなっていますが、それは受験の多様化が影響を与えていると思います。AO入試や指定校推薦などは勉強の仕方が全く違いますから。そうなると、その生徒にあった学習指導が塾に求められてくるので、私たち塾経営者は多様化するニーズのキャッチアップをする必要があります。

――私も少人数指導の塾に通っていましたが、先生とコミュニケーションが取りやすくて楽しかったです。先生には特に大学生が多かったので、プライベートなことも含めていろいろ相談しました。

喜多野:講師の年齢が近いと話しやすくなりますよね。でも、私の会社の社員は20代から上は40代までいるのですが、大切にしていることは「勉強したくない」という気持ちを共有できるかどうかなんです。やらなきゃいけないことは分かっている、だけれども勉強ってできればやりたくないものじゃないですか。その心理的なハードルはコミュニケーションによってクリアできると思っていて、「勉強は嫌だけど塾は好き」と思ってもらったり、先生に会いに来てもらうくらいの感覚からスタートして、勉強の本質に近づいていくように促せればいいのかなと。年齢が近いのも武器にはなるけれど、ベテランの先生は引き出しが多いので、若い先生にはない良さがあります。

――大人ですから、子どもを叱れる部分もたくさんありますよね。

喜多野:そういう部分もありますね。「勉強したくない気持ちもよく分かるよ」というところから入っていく、と。だから優秀な人、勉強が大好きな人はあまり採用したくないんです。

――それは意外です。

喜多野:勉強が嫌だと言っている子どもの気持ちが分からないと、歩み寄りができないんです。「なんでこんなの分からないの?」みたいなことになってしまう。そういった感情は生徒には敏感に伝わってしまうので、よけいに亀裂が入るんですよ。
ただ、勉強のことはできるけれど勉強以外はからっきしダメという人は大丈夫です。

――それはなぜですか?

喜多野:逆に勉強以外のことを子どもから教えてもらうんです。「最近、『妖怪ウォッチ』って流行ってるけどどういうものなの?」と子どもに聞いて、「え!?先生『妖怪ウォッチ』も知らないの?」みたいな。そうなると、生徒が先生になれる。自分の好きなものや得意なものを話すのは楽しいじゃないですか。
先生と生徒の関係はどうしても一方通行になりがちです。だから、私たちはコミュニケーションを取るために生徒の得意なことを聞いて、生徒に話してもらうようにするんです。そこで「この2ページを解いたら話をしようか」と言うと、2ページ分問題を解くことがゴールではなく通過点になるので、自分で問題を解きはじめる。実はうちの会社の研修材料にテレビ番組の「アメトーーク!」を使っているんですよ。

――それはすごくユニークですね! でもどうして「アメトーーク!」なんですか?

喜多野:雨上がり決死隊の蛍原さんが芸人さんに対して「なになに?」「それ、どういうこと?」と何でも聞くんですね。そうすると、ひな壇の芸人さんたちが「蛍原さん、知らないですか!?」って答える。その蛍原ポジションを、講師たちに研修で学んでもらうんです。
信頼関係を築く上で、相手の話を聞くことが絶対に必要です。そこで相手の得意分野を話してもらう。得意なものや好きなものがない子はいないですから。そこをちゃんと引き出して教えてもらうという関係作りは徹底しています。

――つまり、勉強においては先生の方が上だけど、それ以外は上下関係なく。

喜多野:逆に生徒が先生になることもありますね(笑)。

(後編に続く)


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