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大手ゼネコンの「除染手当ピンハネ疑惑」を下請け業者が告発

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 東日本大震災から4年が経ったいま再び「除染」が問題になっている。政府は、現在の年間追加被曝線量が20ミリシーベルト以上の地域についてはその面積をできるだけ縮小することを目指し、20ミリシーベルト未満の地域では、年間1ミリシーベルト以下にすることを目標としている。

 本誌はこの「目標」自体が非合理的であり、「除染利権」ともいうべき構図があることを繰り返し指摘してきた。今回明らかになった問題は、まさにその構図が根っこにある。

 手元に、本来は表に出ないはずの資料がある。大手ゼネコン、安藤ハザマと下請け業者の間で作成した除染事業の見積もりを作るための単価を記した書類だ。〈堆積物の除去〉と題されたページには、こんな数字が並ぶ。

〈土木一般世話役 19.2人 単価1万7300円 金額33万2160円〉
〈普通作業員 91.8人 単価1万3000円 金額119万3400円〉
〈除染手当て 147.3日 単価1万円 147万3000円〉

 ゼネコンはこのように作業内容を積み上げ、環境省に費用を請求する。この資料は、元請けゼネコン(安藤ハザマ)と下請け業者の間で「除染手当」の支払いをめぐって起きたトラブルの中で出てきたものである。

 問題となっているのは、福島第一原発北側の浪江町の2013年度除染作業だ。

 安藤ハザマを中心とするJV(ジョイントベンチャー)が環境省から約49億円で受注し、安藤ハザマから1次下請けのO社(東京都)が受注、さらに2次下請けとして海渡建設(横浜市)が入った。実際に現場で除染にあたったのは、海渡建設が集めた作業員である。同社の清藤寛之・代表が告発する。

「除染作業は昨年4月に終了しましたが、我が社に支払われるはずの除染手当を現段階でも受け取っていません。そもそも契約が固まる前に見切り発車で作業を始めるよう要請され、人員を集めて作業にあたりました。現場作業員には我が社が立て替える形で除染手当を支払いましたが、我が社はその分を受け取っていないので、倒産寸前の状況に陥っている」

 除染手当は正式には「特殊勤務手当」と呼び、環境省が発注する除染特別地域(福島第一原発から20キロ圏内を中心とする区域)で除染にあたる作業員に支払われる。簡単にいえば、被曝の危険に晒されながらの作業に対する特別な上積み報酬である。その額は1人1日あたり1万円(一部区域では6600円)となっており、環境省は「労賃とは別に、作業員本人に支払われなければならない」と定めている。

 安藤ハザマは前述の見積もり書のように除染手当を含めて環境省に請求しているが、いずれかの段階でピンハネされ、2次下請けには支払われていないという証言だ。

 清藤代表によれば、海渡建設が立て替えた除染手当の総額は762万5000円にのぼるという。

「週6日、約3か月間にわたって1日18~20人、少ない日でも7人ほどが働きました。雨や雪などで作業しない日もあり、また半日作業(4時間未満)だと6000円になるので、それを計算すると762万5000円になります。

 直接契約した(1次下請けの)O社や安藤ハザマに求めても支払ってもらえず、環境省やゼネコンを所管する国交省にも相談しましたが、『民間同士の問題』として取り合ってくれませんでした」

 作業に取りかかる直前の昨年1月にO社から海渡建設にFAXで送付されてきた「土木工事見積条件書」には、特記事項として「特殊作業手当は別途計上し、施行単価中に含めてはならない」「人員数については、業務完了後に実績にて精算する」と記されていた。

「それが、いつの間にか我が社に支払われた額の中に含まれているという話になっていました。『(除染手当は)業務完了後に実績にて精算する』という規定は反故にされたのです」(清藤代表)

 O社から海渡建設に支払われた額は除染手当の総額(762万5000円)すら下回っており、「支払い金額に含まれている」という主張には無理がある。

 環境省も逃げることはできない。過去にも複数の業者で除染手当の未払いが発覚し、同省はきちんと手当を支払うよう指導する姿勢を打ち出しているからだ。

※週刊ポスト2015年3月20日号


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