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「誤嚥性肺炎」予防へ「嚥下食」に期待高まる

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高齢者の肺炎の70%以上が誤嚥に関係している

「高齢化先進国」といわれる我が国では、総人口に占める65歳以上の割合が増加しているのはもちろんのこと、深刻なのが75歳以上の後期高齢者の急増で、今後、さらに増加が進むものと予測されています。

これに伴い喫緊の課題となっているのが、高齢者の施設入所者の4割以上が抱えている「嚥下(えんげ)障害」への対応です。老化による生理的な変化や脳血管障害患者などでは、咳反射や嚥下反射の機能低下によって嚥下障害が起こります。それによって、知らない間に細菌が唾液と共に肺に流れ込み、肺炎を引き起こすことがあります。これが「誤嚥性肺炎」です。高齢者の肺炎の70%以上が誤嚥に関係しているといわれています。

嚥下機能の低下した高齢者にとって「嚥下食」は重要な働きを持つ

食事をすることは私たちの本能でもあり、それによって栄養分を吸収し、必要なエネルギーを作り出して「生きる喜び」を実感できます。それは「口から食べる」ことによって、初めて機能します。

嚥下機能の低下した高齢者にとって、「口から食べる」能力を使い栄養摂取を図りながら機能回復のためのリハビリテーションへと導く「嚥下食」は、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の低下を防ぎ、生きる喜びと意欲をもたらす重要な働きを持つと考えられています。

きざみ食は嚥下食として不適切。嚥下困難の程度に応じた食性を

我が国では、長年にわたって「きざみ食」が高齢者のための食事として扱われてきましたが、近年、嚥下食に関する研究が進むにつれて安全上の危険性が指摘されるようになり、嚥下食として使用することは不適切であるとの認識が定着しつつあります。

嚥下食も、嚥下困難の程度に応じた食性が求められます。中等症以上では、ゼリー食が中心となり、健康な人が食べるゼリーよりも少し軟らかめのものとなります。中等症では、ピューレ状のものが基本。やわらかく調理したものをミキサーやフードプロセッサーなどでペースト状にします。

中等症~軽症では、普通食への移行食であり、介護食(高齢者向けの食事)に近いものになります。介護食では、歯を失ったり唾液の分泌が少なくなったりして咀嚼(そしゃく)する力が低下していますので、咀嚼しやすい食事が中心となります。具体的には、「一口で食べやすい大きさにする」「野菜や芋類は隠し包丁を入れる」「長時間火を通して軟らかくする」「肉は薄切りを用いる」「麺類は短く切る」といった工夫が必要です。

これからますます進む超高齢化社会において、嚥下障害を有する高齢者にとって嚥下食の普及は「福音」となるかもしれません。

(佐藤 浩明/消化器内科専門医)

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