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ライバルは「ディズニーランド」 アメ横の老舗菓子屋が儲かる理由

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 安売りをしなくとも、リピーター率は9割。驚異の数字を誇るお店がある。それも利幅が薄い菓子を専門的に扱っているのだから驚きだ。

 その店こそが、上野のアメヤ横丁に本店を構えるお菓子専門店「二木の菓子」である。
 一体どうしてこんなにも人気なのか?
 『なぜ20円のチョコでビルが建つのか?』(二木英一/著、秀和システム/刊)の中で、専門取締役が驚きの販促方法を明かしているので、ご紹介しよう。

■大人が楽しむお菓子の世界
 「二木の菓子」に行ってみると、店内はお菓子で溢れていて、何時間そこにいても飽きない楽しさがある。昔なつかしい駄菓子から、見たこともないような海外のお菓子まで、ありとあらゆる商品が陳列されている。まさに、“お菓子のアミューズメントパーク”といったところだろう。

 店内にある商品にはメジャーなものよりも、むしろマイナーなものが多い。名前は知らないけれど、工夫が凝らされたお菓子は「おいしそう」「食べてみたい」という衝動にプラスして、「実はこの間、こんなお菓子見つけさぁ」「これ知っている?」と、ちょっと誰かに自慢したくなる。そして、「ちょっと買って行こうかな」と手をのばしてしまう。
 この店では、「買う」ことが、単なる「消費」にとどまらず、エンターテインメントそのものになるのだ。

 ただ、冒頭にも述べたように、お菓子は利幅が薄い商売。4トントラックいっぱいのお菓子を売りきっても、儲けは10万円に満たないという。
 それでも「二木の菓子」の業績は好調で、都内近郊に10店舗以上の支店を持ち、オリジナルブランドのお菓子「ふたつ木」まで生産。東京スカイツリーのショッピングモール「ソラマチ」にも出店している。
 単なる「お菓子問屋」ではない、「二木の菓子」の戦略には、商売人の「知恵」が隠されているのだと著者は語る。

■店内を彩るPOPたちの秘密
 「二木の菓子」の知恵のひとつが、オリジナルのPOPだ。どれもが秀逸で、お客に語りかける手紙風のものから、お菓子メーカーからの熱血メッセージまであり、客は店内にいるだけでワクワクしてくる。

 例えば伊勢神宮に行った直後に恋人からプロポーズを受けた女性従業員がそのパワーを少しでもおすそ分けしようと、自分で探し、仕入れて店内に並べた商品には、伊勢にあやかりたい!」というコピーとともに、その人の経験談が書かれている。
 これを目にした客は「結婚にあこがれる女性の力になれる商品、伊勢神宮や神様にあやかれる商品」という認識で購入し、これに買った人の成功体験が加わると、その商品の存在はたちまちクチコミで広がる。そして、「二木の菓子に行って、あの飴を買いたい」という人が増えることになる。
 本当に食べてほしいお菓子、お勧めしたいお菓子…従業員のメッセージがこめられたPOPは客の目を釘付けにする。一人ひとりが販促力を持つことが、客を惹き付ける要因になっているのだ。

 「二木の菓子」のお菓子の売り方の特徴は、大手にはできない非効率な手法や他の店では取り組まないやり方が多いことだ。目先の成果に囚われず、「お客様の数」より「お客様の感情」を優先すること、チラシやクーポンなどで安易に安売りしないこと、さらに「商品を育てる」という考え方など、ページをめくるたびにとても新鮮な印象を受ける。
 このような突き抜けた独自の戦略が「二木の菓子」に成功をもたらしているのであり、本書を開くと目から鱗が落ちるような知恵が詰まっているのだ。

■ライバルはディズニーランド!?
 本書の中で印象的なのが、「ライバルはディズニーランド」という言葉だ。
 ディズニーランドといえば、(ディズニーシーを含めて)日本一の集客を誇るテーマパークでリピーターも多い。サービスやホスピタリティはディズニーランドに学ぶという鉄則もあるくらいだ。
 スタッフ全員がゲストへ感動に与えるために努力しているディズニーランドは、キャスト各々が、その場の状況に応じたベストなサービスを自分の判断で行う。「二木の菓子」では、そんな柔軟性やおもてなしの心を従業員も持ち、客に感動してもらい、再びお店に来たいと思わせるサービスを提供しようとしているのだ。
 大手はどうしても効率化に走りがちだが、それとは逆で勝負をする。中小企業ならではともいえる戦略だ。

 こうした環境をつくりやすいのが中小規模の小売店の強みであり、大手のスーパーマーケットでは効率化が進みすぎて上手くいかないだろう。
 「弱者だからこそできる、最強の仕掛け」が詰まった一冊だ。
(新刊JP編集部)


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