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世界最低水準!日本「6%」の不安

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日本6.0%、韓国18.0%、アメリカ85.0%、オーストラリア235.4%――これが何を指す数字かお分かりになるだろうか? 答えは「一次エネルギーの自給率」である。IEAの資料によると、日本はOECD加盟34か国のうち、下から2番目の水準。簡単にいえば、日本は一次エネルギーの94%を輸入に頼っていることになる。「資源の乏しい国ゆえ、日本のエネルギー自給率は低い」と知っている人でも、そんなに低かったのか!と改めて驚かされる数字ではないだろうか。(なにせお隣の韓国の1/3に過ぎないのだから)

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ちなみに「エネルギー自給率」とは、その国の経済活動や暮らしに必要なエネルギーのうち、自国内で確保できる割合を指す。化石燃料の乏しい日本で「自給」できるエネルギーといえば、水力や太陽光、地熱、原子力(※)などのみ。それらを全部ひっくるめても6%しか自国で賄えないのだから、よく懸念される食料自給率どころの話ではない。食料自給率は約4割(カロリーベース)に及んでおり、エネルギー自給率に比べればはるかにマシだ。庶民感覚としても、「こんな状態で大丈夫なの?」と心配になってしまう。

だが、日本のエネルギー自給率は昔からこんなに低かったわけではない。2010年には20%ほどあったが、東日本大震災に伴う原発停止により一気に落ち込んでしまったのだ。やむを得ない事態とはいえ、これは危機的な状況である。

別にエネルギー自給率が低くても生活への影響はない。どのみち日本は資源を輸入せざるを得ないのだから、輸入元と良好な関係を維持すべく外交努力を重ねれば良い――そう主張する人もいるが、これは理想論に過ぎるだろう。いくら日本が「平和」を求めても、世界各地で脅威が顕在化しているからだ。とりわけ火種として不安視されているのが中東情勢である。相次ぐイスラム過激派のテロは、今や世界共通のリスク要因だ。

遠く離れた中東情勢はピンときにくいが、日本は原油の約8割、天然ガスの約3割をこの地域からの輸入に頼っている。中東情勢の不安定さは、即、日本のエネルギー供給のリスクとなる。その脅威の最たるものが「ホルムズ海峡のシーレーン(海上航路)」だ。

日本に石油を運ぶタンカーの8割はここを通っており、その数は年間3000隻を超す。単純計算すると、毎日10隻近い石油タンカーがホルムズ海峡を通過していることになる。このシーレーンの“安全”が保たれているからこそ、我々の暮らしは成り立っているといっても過言ではない。

万が一、中東で紛争が起きたり、ホルムズ海峡がテロの標的になったりすれば、まるで“断水”のように石油の供給がストップする恐れがある。集団的自衛権をめぐる議論のなかで、「シーレーンの機雷除去」という想定が浮上したのも、そうした危機感を背景にしたものだ。

「でも、日本は有事に備えて石油や天然ガスを備蓄しているから、しばらくは持ちこたえられる。中東で何かあれば世界中が混乱するから、国際社会が歯止めをかけるはず」と楽観視する人もいるが、これも誤解に基づいている。石油の国家備蓄は約3ヶ月分、民間備蓄も約2か月分に過ぎない。

さらに問題なのはLNG(液化天然ガス)で、こちらの備蓄量は13日分のみ。LNGは性質上、備蓄に向かないからだ。日本は現在、LNGへの依存度を高めており、電力構成比に占める割合は4割を超える。世界情勢が平和なら良いが、各地で紛争の火種がくすぶる今、脆弱な基盤の上に成り立っていると言わざるを得ない。

加えてもうひとつ、化石燃料はいずれ枯渇するといわれている。可採埋蔵量は原油が約40年分、天然ガスが約60年分、石炭が約130年分、ウランが約100年分とされ、アジア圏の人口増・経済成長と共に、資源獲得競争の激化が予測されている。世界情勢が「平和」であり続けても、一次エネルギーの94%を輸入に頼る状況がリスキーなことには変わりない。

こうした危機感を背景に、世界各国はエネルギー自給率の向上に取り組んでいる。エネルギー環境は国ごとに大きく異なるが、供給源を他国に頼って良しとする国は世界中どこにもない。

ロシアからの天然ガスに依存していた欧州諸国も、かつて痛い目にあった教訓から、依存度を下げつつある。日本と同じく資源のないフランスが原子力を重視しているのは、まさにそうしたリスクを避けるためだ。アジア新興国が原発導入に積極姿勢を示しているのも、自国の責任でエネルギー需要の高まりに対応していくためである。

福島の事故を経験した日本からすると、なぜ?と首をかしげたくもなるが、それが世界の趨勢であり、「化石燃料頼み」では立ち行かなくなることは、もはや世界の常識と言っても良い。現在、発電電力量の約9割を化石燃料に頼っている日本にとっては、死活問題といえよう。

ならば自然エネルギーで…と言いたいところだが、現時点での技術力では、エネルギー需要を満たす基幹電源になりえないことは多くの専門家が指摘している通り。今後の研究開発に期待しつつも、まだ時間がかかることは間違いない。

では、薄氷を踏むような「海外からの化石燃料頼み」の状況を脱し、エネルギー自給率を高めるにはどうすれば良いか? まずは現在のエネルギー供給が脆弱な基盤の上に成り立っていることを、われわれ自身が認識することが第一歩だろう。日本の莫大な赤字財政と同様、問題の先送りは次世代にツケをまわすことに他ならない。いつまでも目を背けてはいられない問題である。

※原子力発電に使うウラン燃料は海外から輸入しているが、備蓄が容易であることに加え、使用済燃料を再処理して再利用できるため、「準国産エネルギー」と位置付けられており、「エネルギー自給率」に含まれる。原子力発電を除くと、エネルギー自給率は5%となる。
(吉田光雄)
(R25編集部)

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