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就活の「解禁破り」が横行 企業の採用担当者は「そんなに悪いことなのか?」

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全国の大学などで構成する「就職問題懇談会」(座長:濵口道成・名大学長)が、2016年卒の大学生の採用について、企業が「解禁破り」を行っていないか実態調査に乗り出すと読売新聞が報じている。「悪質な事例」は公表し、注意喚起する方針だ。

16年卒予定の学生を対象とした会社説明会は昨年より3か月遅い3月1日、面接などの選考は4か月遅い8月1日に解禁とされている。しかし実際にはインターンシップなどと称した1日イベントで企業が学生と接触し、内定を出す会社もある。
「すでに選考済み」約半数。内々定を得た学生も

就活時期の後ろ倒しは、もともと「大学生が学業に専念する期間を確保するため」という名目で見直された。懇談会でも昨年9月に「企業等の協力を得て取り組むキャリア教育としての学内行事実施に関する申合せ」を発表し、大学が企業の「青田買い」に協力しないよう呼びかけを行っていた。

ところがフタを開けてみると、有名大学のキャンパス内で大手有名企業が「会社説明会」や「業界説明会」を次々と開催し、接点を持った学生に内々定が出された。OBOGによる水面下での接触も行われたという。

今年1月下旬、都内の就活生276人に日経HRが調査したところ、すでに「選考を受けた」学生が45.3%、内々定を得た学生が2人いた。こんな茶番のような状況に、大手以外の会社からは憤りの声も聞かれる。

「後ろ倒しは、一部の超有名企業が、普通の企業や学生に『おあずけ』をさせているだけだ」

しかし他の会社も、黙って指をくわえているわけにはいかない。「このままではいい学生が確保できない」と中堅以下の大学まで範囲を拡げて「説明会」を行っている。現役採用担当者の河合浩司氏も、実際の選考はすでに佳境に入っていると指摘する。

「就活生は『就職がしたい』、企業は『人を採用したい』――。両者の利害は一致しているのですから、早期に活動して『何がそんなに問題なのだろう?』と思ってしまいます。大学1、2年で内定を出したって問題はない。実態を踏まえず『3月解禁』などとのんびりしたことを報じるメディアの方が罪じゃないですか」

むしろ「学業に専念したい」学生を邪魔するのでは

確かに懇談会の「申合せ」も、経団連が加盟企業に向けて出した「採用選考に関する指針」も強い拘束力はなく、破っても処分されるものではない。しかし青田買いで大学生の「学業専念」を妨げるおそれはないのか。

これについて河合氏は、「そもそも学業に専念したくて大学生になった人は、どれくらいおられるのでしょうね」と冷ややかな反応だ。

「学業に専念する人は、就活の時期に関係なく少数派でしょう。多くの学生にとって大学は、自分の一生を左右する就職への重要なステップであることに疑問の余地はない。なぜそこまで画一的なルール縛りに固執するのでしょうね。さまざまな経験を積みながら、さまざまなタイミングで企業と接点を持てばいい」

上位校に通う文系・理系の学生で勉学にも意欲がある人も、早々と就活を終えることでたっぷりと学びに専念できるはずだと河合氏は言う。

「特に実験などに時間を要する理系の学生からは、4年の夏休みを就活に邪魔されるのは死活問題だと聞いています。後ろ倒しはむしろ彼らの邪魔をしており、『青田買い』や教授の紹介で早期に就職先を決めるのは必要なことでは」

Fラン学生は「せめて読み書きを訓練しておいて」

学業志向の学生は、「Fラン」などと呼ばれる下位校にも皆無といってよい。しかし河合氏は、そのような大学こそ「学生を社会人として送り出す前に、彼らにもっと教育を施して欲しい」と切望する。

「私の知っている中小企業で、就活生に国語や数学(中1レベル)を課しているところがありますが、偏差値50を下回る大学の学生の学力は壊滅的だそうです。文章を書かせれば主語と述語が噛み合わず、簡単な掛け算も間違える。このままでは文書作成や粗利計算も任せられません。大学は、彼らが理解できない経営論やマクロ経済学ではなく、せめて『読み・書き・ソロバン』を早めに訓練しておいてほしいものです」

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