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ミステリー小説界期待の新星がハマった作家

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 ミステリー作家の新たな登竜門として2014年に設立された「新潮ミステリー大賞」(主催/新潮社、後援/東映)の初代受賞作品『サナキの森』が書籍化され、新潮社から発売された。

 『サナキの森』は、80年前に岩手県遠野市で起きた事件を巡るミステリーだ。仕事を辞めたインドア系の主人公・紅が、売れない小説家だった祖父の本に挟まっていたメッセージを頼りに遠野に向かい、そこに書かれていた依頼を果たそうとするが、その地でかつて起きた怪死事件と祖父の小説作品の間の奇妙な符合に気づき、真相を探る。
 今回は作者の彩藤アザミさんにインタビュー、この作品の成り立ちと今後の抱負についてお話を伺った。その後編をお届けする。

―対極的な文体を使い分けていることなどから、かなり幅広い読書をされてきた方なのではないかと思いました。好きな作家や好きな本について教えていただけますか。

彩藤:特定の作家さんが好きというよりは、広く浅くという読書でした。推理小説も好きですし、漫画も読みます。ただ、小説なら昭和初期のものや明治時代の作品など、古いものが好きです。図書館で本を借りる時も、あえて一番出版年の古いものを選んでいましたし。

―『サナキの森』の本編はライトノベル風の文体で書かれていますが、ライトノベルは読みましたか?

彩藤:中学生くらいの時に西尾維新先生にはまったことがありました。ちょうどその頃に西尾先生がデビューされたんです。

―本格的に本を読み始めたのはそのくらいからですか?

彩藤:そうですね。それまではすごく明るい子どもだったんですけど、中学生になると急に人と話すのが苦手になってしまって、いつも隅っこで本を読んでいた記憶があります。友達も他のクラスに一人か二人のみという感じで。

―「小説を書きたい」とか「小説家になろう」という思いは当時から持っていたのでしょうか。

彩藤:当時はどちらかというと漫画家になりたかったです。でも、高校一年生くらいで漫画よりもデザインの方が楽しくなってしまって、大学は美術系の学部に進みました。
小説は大学3年生くらいの時に思い立って書きました。誰かに読んでほしいという思いがあって賞に応募したんですけど、周りの人には見せられなかったですね。
大学時代はそれしか書かなかったのですが、卒業してから「何とか作家になれないものかな」と思ってまた書くようになりました。

―物語の舞台になっている岩手のご出身で現在は神奈川にお住まいとのことですが、大学卒業を機に都心に出てこられたのでしょうか。

彩藤:いえ、卒業後も岩手で働いていたのですが、専門学校に入り直そうと思ってこっちに出てきたんです。それで物件を探している時に、最終選考に残ったという電話がかかってきました。でも、まさか選ばれるわけがないし、と思ってそのまま進学の準備を続けていたんですけど、そのまま受賞しましたということだったので、急きょ色々なことを変更して……。

―せっかくのチャンスですからね。

彩藤:そうですね。専門学校の方はしばらく延期です。また何年かしてそういう気持ちが残っていたら行きたいなとは思いますが、今は小説に打ち込んでみようと思います。やっと出版できたわけですから、こちらの道に全力を尽くしたいです。

―デビューしたことで、小説を書くうえで何か変わったことはありますか?

彩藤:編集者さんをはじめ、人に相談できるようになったことが大きいです。思いついたアイデアを編集者さんに見せてアドバイスをもらって、それを元にまた考え直すということができるようになりました。これまで、小説を書いていることを人に言うのが恥ずかしくて、誰にも言わずにこそこそと書いていたので、大きな変化ですよね。

―今後の抱負をお聞かせいだければと思います。

彩藤:デビュー作だけで消えないように、とにかく次の作品を書くことです。「小説新潮」の2月号に「片翅の蝶」という短編が掲載されたのですが、長編の2作目も書かないといけません。こちらは今構想を練っているところです。

―やはり、ミステリー小説になるのでしょうか。

彩藤:はい、ミステリーです。この賞でデビューしたからには、しばらくはミステリー小説を書いていけたらと思っています。

―最後になりますが、読者の方々にメッセージをいただければと思います。

彩藤:『サナキの森』には大どんでん返しもないですし、派手なトリックもないのですが、「フェアに書く」ことを心がけて書きました。
「フェア」というのは、作中の事件が解決される前に、証拠が全部出ていて、伏線が張ってあるということ。読みながら推理して、論理的に解くことができるということです。
推理小説を読んでいると、あまり伏線を張っていないのに、唐突に「この人が真犯人でした」となって、作者が読者を騙すことが目的になっているようなものもあります。
自分の作品はそういう風にならないようにと心がけていきますので、推理しながら読んでいただけたらいいなと思っています。
(新刊JP編集部)


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