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任侠映画の乱造 社会にヤクザ礼賛の空気形成する援護射撃に

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 昨年末、相次いで亡くなった高倉健と菅原文太は、「ヤクザ映画」の二大スターとして当時の若者に絶大な影響を与えた。一方、そうした映画はモデルとなるヤクザ側にとって、自分たちの存在感を高める絶好の舞台でもあった。フリーライターの鈴木智彦氏が、映画がヤクザのイメージに与えた影響についてリポートする。

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 ヤクザ映画は、暴力団の映し鏡だ。

 昭和30年代、実際の暴力団が高倉健の演じた侠気溢れる男伊達の集団だったというわけではない。ただ、スクリーンでドスを振るい、悪逆非道のくそヤクザを叩き斬る健さんは、紛れもなく理想のヤクザ像として存在していた。現実の任侠が権謀術数のヘドロ沼で、カタギの生き血を吸う吸血鬼であったにせよ、ヤクザの頭は任侠や侠客を確実に意識していた。

 実際、団塊の世代から上の現役暴力団幹部にインタビューすると「任侠映画に憧れた」と答える人はかなりいる。昭和38年、暴力団員総数は現在のおよそ3倍、18万4100人というピークを記録するが、若者たちが暴力団という職業を志向したのは、稼げる仕事だったことに加え、かっこいいヒーローと認識されていたからだろう。

 極限までヤクザを美化した任侠映画の乱造は、映画会社にすれば観客動員数が稼げるからだったに違いない。が、プロパガンダと呼ぶには大げさにせよ、社会にヤクザ礼賛の空気を形成する援護射撃にはなった。

※SAPIO2015年3月号


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