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清涼飲料業界に「別格」旋風、キリンがつかんだ消費者心理

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たった2週間で年内目標の8割を販売。「別格」が大ヒット

「ニッポンを別格に」や「素材からケタ違い」というキャッチコピーで販売している、キリンビバレッジのプレミアム飲料ブランド「別格」。品質の高い素材を厳選して使用し、製法にとことんこだわった「別格」ブランドは、「世界一おいしい飲み物をつくる会社になる」という同社のスローガンを体現するような商品で、コーヒー、緑茶、ジンジャーエール、ウーロン茶の4種類が販売されています。

500mlペットボトルの平均単価が150円前後の中、375mlで200円(税別)という高価格であるにも関わらず、昨年11月に発売し、たった2週間で年内目標の8割を販売してしまうほど勢いのある商品です。

「消費の二極化」に目をつけ「プレミアム商品市場」を独占

同社の調査によると、「味がおいしければ多少価格が高くても気にならない」と約5割の人が答えており、それを裏付けするように「消費の二極化」が進み、消費税増税により低価格を求める消費者が増える一方で、価格が高めでも高品質なものを欲する消費者も増えています。

昨年は、高品質な商品を求める消費者のニーズを受けて、スイーツや食パン、ビールなど各業界でプレミアム商品が次々と登場し「プレミアム商品市場」が活性化しましたが、清涼飲料業界では目立った商品は販売されていませんでした。

清涼飲料業界は各社、一定の価格帯で勝負していましたが、同社は清涼飲料業界でのプレミアム商品市場の開拓を試み、満を持してプレミアムブランド「別格」を発売したのです。つまり、「消費者の需要があるけれど、供給はできていなかった」プレミアム商品を投入したことで、清涼飲料業界の「プレミアム商品市場」を独占できたということです。

インパクトの強いブランド名が消費者の興味を刺激

それだけでもヒットの理由になりますが、他にも消費者心理をつかむための戦略がありました。

1つ目は、カテゴリーを横断するブランドにしたことです。通常、清涼飲料のブランドはコーヒー、緑茶、炭酸飲料といったように、それぞれのカテゴリーの中で存在するものでしたが、「別格」はそのカテゴリーを横断するブランドとして発表することで、「新しい商品が出た」ではなく「新しいブランドができた」と広く認識してもらいやすくする狙いがあります。

2つ目は、インパクトの強いネーミングにしたことです。一般的に「特別である」という意味で利用する「別格」というブランド名が、「一度飲んでみたい!」という消費者の興味を刺激します。

一口飲めばわかる美味しさをとことん追求した商品なので、味には自信があります。ですから、まず「一口飲んでもらう」というハードルをクリアすることを重要視し、インパクトの強い、興味を惹かれるネーミングにしたのでしょう。

金屏風をイメージさせるデザインが商品価値を高めた

3つ目は、プレミアム感のあるデザインにしたことです。品質が高くても、デザインが安っぽいと、その商品価値も下がってしまうものです。プレミアム感のある金屏風をイメージさせるデザインにすることが商品価値を高め、消費者はプレミアム飲料であることを納得させられます。また、そのプレミアムなデザインを生かし、「別格」ブランドの4種類の飲料を一か所にまとめてディスプレイすることで、その存在感もアピールできます。

ヒットの背景には他にも、高級ホテルのウェルカムドリンクへの採用や、外食大手のメニューへの導入など、プレミアム商品ならではの販路が拡大したこともあったようですが、やはり消費者心理をつかむ戦略が功を奏したと言えると思います。

清涼飲料のプレミアム化と、カテゴリーを横断するブランド化というキリンビバレッジの2つの新しい試みが、今後どのような展開をみせるのか?次の一手に注目です。

(伊藤 伸朗/集客・顧客情報活用コンサルタント)

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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