あなたの住みたい家は大丈夫? 災害リスクを回避するためには

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あなたの住みたい家は大丈夫?災害リスクを回避するためには(写真:iStock / thinkstock)

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、広範囲にわたる液状化や崖崩れなどで、住宅地にも多大な被害をおよぼした。また、昨年8月に起きた広島市の大規模な土砂災害では、死者74人という大きな災害となった。相次ぐゲリラ豪雨の影響もあり、その後も各地で土砂災害の発生が後を絶たない。家を選ぶときに、災害のリスクを回避するにはどうすればいいのか。「土砂災害警戒区域」かどうかが大きな目安になる

昨年8月20日に発生した広島市の土砂災害では133軒の家屋が全壊するなど、住宅地に大規模な被害が広がった。この災害で問題視されたのは、災害の危険のある場所に住宅が建てられていることだった。災害の恐れのある場所には家を建てないという、ごく当たり前とも思える対策がなぜ事前に打てなかったのか。

日本には災害の危険のある場所が多数あり、さまざまな法律で住宅建築を規制する網がかけられている。土砂災害については土砂災害防止法という法律があり、災害のおそれがある区域を都道府県が「土砂災害警戒区域」に指定することになっている。さらに著しい危害が生じるおそれがある区域は「土砂災害特別警戒区域」に指定し、住宅地の開発や建物の構造などを厳しく規制している。災害リスクがあるのに警戒区域に指定されていないケースもある

買おうとしている家や土地のある場所がもしこれらの区域に指定されていれば、契約時に不動産会社から重要事項説明として説明があるはずだ。また自治体や国土交通省ではホームページなどで指定区域を公表しているので、自分で調べることもできる。

だが、問題なのは災害のリスクがあるにもかかわらず、警戒区域に指定されていないケースが少なくないことだ。広島市のケースでも、土砂災害が発生した166カ所のうち、警戒区域に指定されていたのは40カ所にすぎなかったという。指定が行き届いていない背景には、指定されることで土地の資産価値が損なわれることを嫌う地元の住民感情や、行政による必要な調査などをするための人手が不足していることなどが挙げられる。地盤品質判定士のいる調査会社に依頼するのが確実

では家や土地が「土砂災害警戒区域」や「土砂災害特別警戒区域」に指定されていなかった場合はどうすればよいかというと、地盤調査会社に調査を依頼する方法がある。通常、地盤調査会社が調べるのは家の敷地に関する地盤沈下などのリスクに限られるが、土砂災害のリスクについても調べてもらえるケースがあるという。

「土砂災害のリスクを判定するには広域的な調査が必要なので、敷地の地盤調査だけでは分かりません。従来、ほとんどの宅地地盤調査会社は敷地内および敷地周囲の狭い範囲の調査を主として行っておりましたが、東日本大震災で広範囲の地形・地質・地盤条件を原因とする液状化や盛土崩壊・崖崩れなどの災害が発生したため、より広範囲を対象とした調査が必要という機運がうまれました。そこで地盤工学会や地盤調査会社の団体など7つの学協会が参画して、2013年2月に地盤品質判定士協議会を設立して、地盤を多方面に評価(品質判定)できる専門家として地盤品質判定士の資格が創設されました」と、地盤調査会社・サムシング調査部部長の渋谷朋樹さんは話してくれた。

例えばサムシングに依頼すると、通常の地盤調査のオプション対応として、液状化や土砂災害リスクの調査も実施してくれる。費用は通常の地盤調査と資料調査等を合わせて10万円程度から可能だという。なお、通常の地盤調査で地盤沈下や液状化の「リスクあり」と判定された場合は地盤改良などで対応すればよいが、土砂災害については自分の土地だけで解決できる問題ではない。「行政に働きかけて崖崩れ対策など土砂災害防止の処置をとってもらう必要がある」(渋谷さん)のだ。もしそれが難しい場合は、その土地の購入そのものを見合わせなければならないだろう。まずは自分で調べて現地を確認することが第一歩

地盤品質判定士は資格制度ができてまだ日が浅いため、すべての地盤調査会社が同様の対応をしてくれるわけではない。だが土砂災害のリスクについては、住宅や土地の購入検討者が自分である程度調べることが可能だという。

「土砂災害のリスクが高いのは、谷などの窪地になっている地形やその延長上に位置する土地などがあげられます。等高線が見られる地形図や、グーグルの航空写真などで広域的な地形を調べ、現地に行ってみるとある程度は分かります。ただし宅地造成されていて元の地形が分かりにくいケースもあるので、その場合は不動産会社などに頼んで造成前の地形や造成工事の内容などについて説明してもらうといいでしょう」(渋谷さん)

家や土地を買うときは、最低限、自治体が作成するハザードマップや地形図、グーグルマップなどを確認し、実際に現地を見て確認することが求められる。それでも不安がある場合は、地盤品質判定士を擁する地盤調査会社に調査を依頼するのが有効だろう。費用はかかるが、大切な家やわが身を守るために必要なコストと考えたい。
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/02/20/78353/

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