太陽光発電買い取り新ルール発表。住宅用の現状と今後を考える

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太陽光発電買い取り新ルール発表。住宅用の現状と今後を考える(写真撮影:藤本 健)

家を建てたら太陽光発電を設置しよう……、そう思っている方は少なくないだろう。しかし、2014年11月に九州電力や東北電力など5社が太陽光発電の新規の申し込みを保留する、というニュースが流れ、やや混乱した状況になっている。これはどういうことなのか、また一般の住宅に設置しようという人にとっても関係のある話なのだろうか? そもそも、住宅に設置する太陽光発電とはどんなものなのかを整理するとともに、現状と今後について考えてみよう。太陽光発電の仕組みと電力会社との契約

最近、住宅の屋根にソーラーパネルを乗せている家が増えているが、これは太陽電池ともよばれるもので、太陽の光を浴びることで電気をつくり出す装置だ。1畳の大きさのパネルで200W程度を発電できるため、屋根いっぱいに敷き詰めれば、家庭用の電力の大半をまかなえるといわれている。ただし夜間や雨の日は発電できないし、「太陽電池」といっても電気を貯めることはできない。かといって別途バッテリーを用意して充電できるわけでもない。では、どうしているかというと、電力会社と売買電の契約を行うことで、うまく都合をつけているのだ。

【画像1】住宅用の太陽光発電の仕組み(出典:JPEAホームページより)

【画像1】住宅用の太陽光発電の仕組み(出典:JPEAホームページより)

このイラストを見ると分かるとおり、発電した電気をパワーコンディショナという機械を通すことで一般に家庭で使われる100Vの交流に変換される。その電気はまず家庭で消費された上で、余った場合は電力会社へ売電されるのだ。

一方、夜間など発電していないときや、発電量が消費量に満たない場合は、電力会社から買う形になる。この際、とくに操作は必要なく、自動的に売買電が行われるので、利用者は何も意識せずとも普通に電気が使える仕組みになっているのだ。

また、震災などで停電が起こった際は日中に限るものの、電力を得ることができるというのは、大きな安心となるため、いざというときのために設置をする人も増えてきている。

ここで特徴的なのは、売電単価が買電単価よりも高く設定されているということ。住宅用のシステムの設置には100万円以上かかるケースが多く、なかなか普及が進まなかったが、国として自然エネルギーを促進させるという考えから、そうした制度が導入されたのだ。その結果、現在では10年程度で初期コストを回収すると言われている。住宅用の電力は買ってもらえるはずだったが…

売買電の制度は、実は設置容量が10kW未満のシステムと10kW以上のシステムで、制度内容に違いがあり、やや複雑だ。太陽光発電の業界団体であるJPEAによると、2014年度の新築住宅への設置の全国平均が4.26kWということからも分かるとおり、住宅用の多くは10kW未満であり、前述のとおり、家庭で使って余った電力を売る、「余剰電力買取」と呼ばれる構成となる。

それに対し、10kW以上は、発電した電気を全部売れる「全量買取」となっている。10kW以上ともなると、大きな敷地を利用して発電する必要があるが、事業目的で設置されるケースが大半であり、大規模なメガソーラー発電所と言われるものも数多くある。売電単価が高かったこともあり、各地で設置希望者が殺到するという現象が生じた。とくに九州に集中した結果、太陽光発電が需要を上回る可能性などが出てきて、今回の混乱を引き起こしてしまったのだ。

それでも当初は「住宅用を主とする10kW未満のシステムは例外なく、電力の買い取りを行う」としていたため、問題はなかったのだが、2015年4月以降は少し状況が変わりそうだ。

東京電力、中部電力、関西電力を除く7社は住宅用であっても、『出力制御』を行えるようにルール変更を行う、というのだ。つまり、太陽光発電による電力供給が、想定以上に大きくなると思われる場合は出力を止め、その間買い取りを行わないということだ。4月以降の売電単価や買い取り制度の動きにはよく注意を

10kW未満については、10kW以上の出力制御を先に行うよう、優先的に扱うとされているほか、1年間で最大360時間まで止められる360時間ルールといったものが規定されたのだが、2015年1月現在、どのようにして制御するのか、そのための機器にどんなものが必要で、それを誰が負担するのか……といった指針までは発表されていない。

なお、今回発表された新ルールが適用されるのは、2015年4月1日以降に新規で申し込む場合となっており、2015年3月末までの申し込み分はこれまでどおりのルールで買い取りされる方針だ。

2015年4月以降の売電単価がいくらになるかもまだ発表されていないが、これから自宅に太陽光発電の設置を考えている人は、売電単価とともに、今後の買い取り制度の動きにもよく注意しておいてほしい。対応は各電力会社ごとに違いがあるし、しばらくは状況が流動的なので、まずは太陽光発電の設置業者などとよく話をしつつ、タイミングを見計らうのがよさそうだ。

また設置する際には、ぜひ複数業者に見積もりをとり、各業者の提案内容を見極めてから決めることをお勧めしたい。●経済産業省、電気事業者による再生可能エネルギー買取制度の新ルールを発表(SUUMOジャーナル)
HP:http://suumo.jp/journal/2015/01/24/77020/
●JPEA太陽光発電協会
HP:http://www.jpea.gr.jp/
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/02/19/78121/

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