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他人ごとでは済まされない!高齢者虐待をめぐる法律

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 新潟県南魚沼市にある特別養護老人ホームで、20代の男性職員が昨年末、入所者の90歳の女性を介護した際に両脚骨折の重症を負わせたという事件がありました。職員は昨年12月31日夜、大声を上げた女性の顔を手で押さえて内出血させ、体の向きを変えさせた際に両太ももの骨を折りました。職員は勤務時間後に女性の声に気付いたといい、施設の調査に対して「早く終わらせたくて手荒に介助してしまった」と話しているそうです。同市が1月に高齢者虐待防止法に基づく虐待行為と認定し、施設は職員を諭旨解雇しました。
 今回は、あまり耳慣れない「高齢者虐待防止法」について見てみたいと思います。

 近年、介護保険制度の普及・活用が進む一方で、高齢者に対する身体的・心理的虐待、介護や世話の放棄・放任といった問題が家庭や介護施設の中で表面化し、社会問題となっています。こうした中、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)が成立し、平成18年に施行されました。

 法律の中でいう「高齢者」とは65歳以上とされています(法2条1項)。そして、虐待についても、世話をしている家族、親族、同居人による虐待と、介護施設従事者等による虐待に区別して規定しています。
 また、法律のいう虐待とは、
(1)身体的虐待
(2)介護・世話の放棄・放任
(3)心理的虐待
(4)性的虐待
(5)経済的虐待
を指します。食事を無理やり口に入れることは身体的虐待に、高齢者が話しかけているのに意図的に無視するといった行為は心理的虐待に、さらに、人前で排泄させたり、おむつを交換するという行為は性的虐待にあたる場合があります。本人の財産を本人に無断で売却したり本人の年金等を無断で使用することは経済的虐待に該当します。

 法は、家庭において虐待を受けている高齢者を発見した場合には、市町村への通報義務を定めています(法7条)。通報を受けた市町村は、虐待によって生命や身体に重大な危険が認められる場合には、一時的に保護するために、措置を講じたり、成年後見開始の審判の請求をすることができ(法9条)、高齢者が避難できるような場所の確保をしたり(法10条)、高齢者がいる場所に立入検査をすることができます(法11条)。
 介護事業を行う者は、従業者に対して研修を実施し、高齢者虐待の防止のための措置を講じること(法20条)、虐待を受けている高齢者を発見した場合の通報(法21条)が義務付けられ、通報を受けた市町村は当該高齢者の保護をすることになっています(法24条)。

 高齢者虐待は、家庭内や介護施設など閉ざされた環境の中で起こる上に、虐待をしている側にその意識がなかったり、また虐待をされている側も意思疎通が図れないような状況であったりする場合もあるため、非常に発見がしにくくなっています。虐待をされている場合のサインとして、通常の行動が不自然に変化する、人目を避けたがる、眠ることができない・眠ることへの恐怖といった睡眠に関する訴えがある、等の行動があるといわれています。
 都道府県によってはホームページで詳細なパンフレットを掲載していますので、身近に虐待が疑われる高齢者を見つけた場合は、確認されることをお勧めいたします。

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他人ごとでは済まされない!高齢者虐待をめぐる法律

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