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マネージャーや事務所すらも把握できなかったアイドルの秘密

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 出版界の最重要人物にフォーカスする『ベストセラーズインタビュー』!
 昨日からお送りしている第66回は、公認会計士でありながら作家としてベストセラーを連発、ビジネス書から小説まで幅広い作品を執筆し支持を集めている山田真哉さんが登場。新作『あいるさん、これは経費ですか?』(KADOKAWA/刊)では、芸能人や作家たちの「お金」事情はどうなっているのか…?誰もが気になるところを小説として描いています!

 超人気アイドルグループの元センターがひた隠しにする真実とは? タレントと事務所がお金でもめるのはどういうとき? 芸能人の裏側をえぐる衝撃の作品についてお話をうかがいました。今回は後編をお伝えします!

■税理士だけが知っている、事務所もマネージャーも知らないアイドルの秘密

――本のネタバレになってしまいますが、一曲目の「職業・アイドル」では、超人気アイドルが実は結婚をしていて、完全に計算して「アイドル」を演じていたというエピソードが披露されます。実際に、その人のお金まわりをみるわけですから、どんな生活をおくっているか分かるところもあると思うんですね。アイドルに詳しい山田さんとして、夢が壊れることはないのですか?

山田:そうですね…。確かにアイドルは好きですけれど、夢が壊れるというより感心することのほうが多いですよ。あ、この人はこんなにしたたかに計算しているんだとか。
僕が見る限り、芸能界で成功するアイドルは2種類ありまして、一つはすごく計算している人。つまりは完全に自分のキャラクターを演じている人です。もし彼氏がいて同棲していても、表には全く出ません。もう一つはナチュラルな人。テレビに出ているまんまの人です。
大半の人はどこかで演じたり、計算したりするのでしょうけど、それを我慢している人は途中で挫折してしまうことが多いんです。でも計算している人は計算することすら楽しんでいます。
だから、売れているアイドルのブログを読んでいて少し「我慢している」感じが出てくると、心配になりますね。ただ、そういうことはファンの方々のほうがよく理解していると思います。

――それはとても分かります。

山田:また、顧客なのでネット上での噂もチェックしているのですが、まったく当たっていないときと、当たっているときがあります。だから、いくら信憑性があってもネット上の噂を鵜呑みにしてはいけませんよ。もちろん、当たっているときもあって、それは怖いのですが。
一番幸せなアイドルファンというのは、計算され尽くされた完璧なアイドルか、裏表がないナチュラルなアイドルを応援する、なんでしょうね。

――確かにそういうアイドルはファンを裏切るような行動を見せませんからね。

山田:そうなんですよね。でも、この作品で書かれているような、「本当は結婚しているけれど事務所もマネージャーも知らない」という話も近いのは実際にありました。税理士だけが知っている事実です。お金の動きを見れば分かってしまう。僕が言えるのはここまでです(笑)

――それは聞きたくない事実でした…。

山田:本当に計算されているということですね。

――では、山田さんが影響を受けた3冊をご紹介いただけますか?

山田:3冊ですね。まずは田中芳樹先生の『アルスラーン戦記』という小説を挙げたいと思います。田中先生の『銀河英雄伝説』は僕にとってのナンバーワンの作品なんですが、作家として影響を受けているのは、やはり『アルスラーン戦記』です。
冒険活劇で、キャラクターがすごく立っているので、キャラクター小説として素晴らしい作品だと思います。また、中世ペルシアが作品の下敷きになっていて、歴史的な合戦とか、中国の歴史なども織り交ぜられていて、「リアルを下敷きにしたフィクション」の書き方をこの小説から教わりました。
次にあげるのは『銀河旋律』です。これは演劇集団キャラメルボックスさんの戯曲なのですが、とても短い話でページ数も少ない中に、物語の喜怒哀楽が詰まっています。僕自身は小説では短編やショートショートしか書かないのですが、この『銀河旋律』は飽きさせない、面白いという短編の醍醐味が詰まっています。

――最後の一冊はいかがですか?

山田:悩んだのですが、川原泉さんの『川原泉傑作集 ワタシの川原泉IV』にします。この方は少女漫画のジャンルに入るのですが、哲学的だったり理系的だったりという要素が漫画に含まれていて、すごく独特なんです。デビュー作品が「たじろぎの因数分解」ですからね(笑)

――星雲賞も取っていらっしゃいますね。

山田:星雲賞コミック部門を受賞した『ブレーメンII』は一応SF作品ですね。旅情系SFとでも申しましょうか。僕は川原さんの作品をほぼ全て揃えているのですが、どれか一つの作品にはしぼれないので、最近出版された『川原泉傑作集 ワタシの川原泉IV』をここでは挙げたいと思います。
あ、哲学的とか理系的とか言いましたけれど、まったく難しくないですよ。笑いの要素が最もふんだんに入っています。僕も本を書くときに笑いの要素を入れようと努力しているのですが、川原さんの漫画はその点でも素晴らしいです。

――では最後に、読者の皆さまにメッセージをお願いできますか?

山田:『あいるさん、これは経費ですか?』の第1話と、3月に出る第2巻『結婚指輪は経費ですか?』の第4話が個人的に面白いので、そこだけでいいので読んでほしいです。その2本は、僕が今まで書いてきた作品の中でも一番好きです。
この2つの話を読んでもらうために、ずっと会計士を頑張ってきたといっても過言ではありません(笑)。第1巻第1話の最後の5行と、第2巻第4話のあいるさんの決めゼリフ。これを書くためにずっと仕事してきたと、書いていて思いました。僕は本業は会計士ですが、魂は作家志望なんだなと思った瞬間です。
ぜひ、その部分を楽しみに読んでみてほしいですね。

■取材後記
 この『あいるさん、これは経費ですか?』は、芸能界や出版業界と縁の深い山田真哉さんだからこそ書くことができる一冊。アイドル戦国時代と呼ばれる今、「あなたはそれでもアイドルを応援し続けますか?」と問いかけるような第1話、出版不況の「なれの果て」が浮き彫りになる第3話など、輝かしい世界の裏をえぐる“お金”のエピソードは誰もが引き込まれるはず。3月に発売予定というシリーズ第2巻も楽しみです。
(新刊JP編集部/金井元貴)

■山田真哉さんプロフィール
 作家、公認会計士・税理士。日本最大級の芸能界専門会計事務所である一般財団法人芸能文化会計財団で理事長を務める。1976年、神戸市生まれ。大阪大学文学部史学科卒。東進ハイスクールを退職後、公認会計士試験に合格。中央青山監査法人/プライスウォーターハウスクーパースを経て、2004年、独立。著書に『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』『女子大生会計士の事件簿』他。


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