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「ゆとり世代」親子独立じわり増加

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今のご時世、若い世代の起業はもはや特別なことではないが、ここ数年「親子がパートナー(共同経営者)となって独立する」ケースが広がりつつある。独立・開業の情報誌『アントレ』の調査によれば、「親子独立」の割合は2010年に21.7%だったが、2013年には29.1%と3年間で7.4ポイント増加。「複数人で独立するケース」の3割を占めるに至っているという(2014年10月「独立・開業者に関する調査」より)。

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「最近、独立・開業に関するイベントでも、親子とみられる二人連れの来場者を目にする機会が増えてきました。その多くが、20代の子世代と50歳前後の親世代という組み合わせです。従来も“夫婦で開業”というケースは多かったのですが、『家族としての信頼をベースに親子で協働する』という独立のスタイルが増えているようです」(リクルートキャリア『アントレ』編集長・菊池保人氏)

今の20代といえば1990年前後生まれの、いわゆる「ゆとり世代」。日本の経済成長を知らずに育ち、「大企業に入れば一生安泰」という感覚はハナから持ち合わせていない。「親子独立」増加の背景には、そんな世代特有の価値観も関係していると菊池さんは考察する。

「彼らは親の姿を通じて、いわば“サラリーマン人生の悲哀”を知った世代。一生懸命働いても給与は上がらない、終身雇用の崩壊、長引く不況、それに伴うリストラ…といった不遇を間近に見てきたことで、『会社』という共同体への信頼感は極めて低いんです。一方で、その反動もあってか『家族』という共同体への信頼感は非常に高い。『最終的に信頼できるのは家族だけ』という感覚です。父との関係も、昔の若者のように『反発心』を抱えている人は少なく、むしろ『尊敬している』という人が多い。一番身近で信頼できる親とともに独立を果たすのは、子世代にとって自然な流れというべきでしょう」(同)

そうした価値観を反映しているのが、独立・開業にあたっての親子の関係性の変化だと菊池さんは指摘する。以前なら、親子で独立する場合は「上下関係(親が上・子が下)」が一般的だったが、最近の「親子独立」では、相互に支え合う「水平協働」が主流だという。

「以前、“雇われない生き方”に憧れつつも踏み切れずにいた技術職の父親が、息子さんに誘われて墓石清掃業の会社を開業したケースを取材したことがあります。息子さんにしてみれば、親が会社に人生を費やしていることが歯がゆく、『親父を一番わかっているのは自分』という思いがあったそうです。家族なら言いたいことが言い合えるし、上下関係や命令もなく、ケンカしながらやっていける点も魅力のようです」(同)

このほか、福祉関連の仕事をしていた51歳の父親が、20代のフリーターの息子2人と一緒に飲食店を開いたケースでも、「家族なら言いたいことが言える」「家族と一緒のほうが仕事をしやすい」ことが息子たちの背中を押すポイントになったという。幸いにして経営は軌道に乗り、今は1人1店舗ずつ独立しているそうだ。

もちろん、親子で独立・開業したからといって成功するかどうかは別の話。ただ、ゆとり世代にとってみれば、就職しても雇用不安のリスクがある以上、“独立・開業なんてリスキー”という感覚はない。「仮に高い収入は望めなくても、ブラック企業と呼ばれるような環境で過酷なサービス残業を強いられるくらいなら、家族と一緒に働くほうがはるかに安心」と語る20代の声には頷かされる。「独立・開業」というと「仕事が無くなる不安」「収入の不安定さ」「開業当初は休みなんてない」…といったネガティブイメージを持つ人もいるが、どれをとっても、就職であれ独立・開業であれ、ついてまわるリスクであることには変わりないというわけだ。

折しも、2014年2月には日本政策金融公庫の「新創業金融資制度」が拡充し、無担保・無保証の融資限度額が3000万円に増えた。こうした支援制度も追い風となり、独立への機運は今後さらに高まることが予想されている。その一歩をともに踏み出すパートナーは、意外と身近なところにいるのかもしれない。
(榎並紀行/やじろべえ)
(R25編集部)

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