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「もうけすぎ批判」から考える企業経営のあり方

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企業経営において「もうかれば良い」という時代は過ぎ去った

アベノミクスによる円安の追い風もあり、トヨタ自動車と日産自動車が相次いで業績予想の上方修正を発表しました。もちろん、外部環境の影響だけではなく、企業努力による結果だと思いますが、その一方で、トヨタ自動車に対して「もうけすぎ」という指摘も起こっています。

それを考慮してか、トヨタの佐々木卓夫常務役員は決算会見で、平成26年度下期に続いて27年度上期も取引先企業に対する部品購入価格の値下げ要求を見送る方針を述べ、取引先や従業員に利益を還元する考えを示しました。これは一例ですが、企業経営において「もうかれば良い」という時代は過ぎ去ったといえるでしょう。

我が社は何のために存在するのか?

ずいぶん前からCSR(企業の社会的責任)が企業経営の重要課題となり、もう一歩踏み込んだCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)という概念も浸透してきています。「競争戦略」で知られるマイケル・ポーター氏によると、CSRが環境対策やコンプライアンス、慈善活動などによる社会貢献活動であるのに対して、CSVは事業そのものによって社会的課題の解決に貢献するという、より根本的な社会貢献活動と位置づけられます。

これからの企業経営においては、企業の「あり方」、つまり「我が社は何のために存在するのか?」という問いをいかに考え、それによって企業活動全体を再構築していく必要が高まっていくでしょう。少なくとも、これまで一般的に認知されていた、企業が事業を継続することによる納税や雇用などでの社会貢献だけでは、社会に対しての責任を全うできなくなっていることは明らかです。

社会の一員としてサプライチェーンの末端にまで配慮した経営を

組織論の世界的権威であるリンダ・グラットン氏は「未来企業」(プレジデント社)の中で、「我が社は何のために存在するのか?」という問いに対する答えに、一つの道筋を示してくれています。

それは、企業が社会の一員であることを深く自覚して、サプライチェーンの末端に至るまで、あらゆるステークホルダーに配慮した経営を実践する、ということです。いかに経営の生産性を高めることが必要でも、それがサプライチェーンの末端にある貧しい国や地域の非人道的な労働によって実現されているとしたら、それが本当に企業のあるべき姿なのか考え直さなければならないでしょう。

これからの企業には、「社会の一員である」ということの強烈な自覚のもとに、自らが与えるあらゆる影響について責任をとることが求められていくことでしょう。

(福留 幸輔/組織・人事コンサルタント)

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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