「明らかに事実と異なる」 BPOがテレビ朝日『報道ステーション』川内原発報道を放送倫理違反と判断

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2014年9月10日放送のテレビ朝日『報道ステーション』で、鹿児島県薩摩川内市久見崎町にある九州電力の川内原子力発電所をめぐる原子力規制委員会の記者会見での質疑応答の内容を誤って伝えたことについて、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は2015年2月9日に記者会見を開いて意見を公表。「竜巻と火山の質問を取り違えて田中俊一委員長の発言をVTRで使用したことは、明らかに事実と異なる」として、「客観性と正確性を欠き、放送倫理に違反している」と指摘しています。

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問題となった放送については、原子力規制庁から出された抗議を受けてテレビ朝日が社内調査をした結果、事実誤認と不適切な編集が判明。テレビ朝日は原子力規制委に「あってはならない重大なミスであり、不適切な編集」と謝罪し、2014年9月12日放送の『報道ステーション』で約5分間にわたって経過を説明し、古舘伊知郎キャスターが「これはもう一切の言い訳などできない誤りです」と認めています。田中俊一委員長の原発とは関係のない「答える必要がない」という発言が回答になるよう編集されていたことが厳しく非難されていました。

BPOの委員会では、担当ディレクターらの故意や恣意的・作為的な編集は確認されず、過失であったと判断。「さまざまな理由が重なったにせよ、やむを得なかったと斟酌(しんしゃく)すべき事情は見当たらない」と断じながらも、「局側の事後の対応については迅速で、適切だったと認められる。再発防止策はかなり具体的であり、実践的である。本件放送の誤りを手痛い教訓として生かそうとする真摯な姿勢がくみ取れる」とテレビ朝日側の対応を評価。
「委員会が常に懸念しているのは、審議入りと委員会決定が放送の現場にある種の萎縮作用を及ぼすことである」といい、「地震や津波だけではなく、火山などのさまざまなリスクに対する原子力規制委の審査基準は適切か、国や地方自治体、電力会社の備えは万全かと、疑問や懸念を投げかけることはテレビ報道、ひいてはジャーナリズム全体の重要な役割のひとつではないか」と一定の理解とも取れる文言が続いています。

ネット上では、今回のBPOの発表について、

また『報ステ』か
酷すぎる
いつものことじゃん

といった声がある一方、

なぜ『報道ステーション』ばかり狙われるのか?
バッシングがすごい
番組に応援の電話やメールを

といったツイートも投稿されている模様。

いずれにしても、これまで以上に厳しい視線が番組に注がれるのは間違いないのではないでしょうか。

第21号 BPO 放送倫理・番組向上機構
http://www.bpo.gr.jp/?p=7987&meta_key=2014 [リンク]

テレビ朝日 報道ステーション
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/ [リンク]

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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