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「大学入試」に悩むのは受験生よりも大学教授?

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 1月17日、18日に行なわれた大学入試センター試験。毎年多くの受験生とその家族に悲喜交々のドラマを引き起こす一大イベントだが、見直しが入っており、2018年には廃止の可能性もあるという。G型、L型といった大学別の新たな教育方針も発表され、これからの大学入試に注目が集まっている。

 『大学入試 担当教員のぶっちゃけ話』(櫻田大造/著、中央公論新社/刊)は、現役大学教員が明かす“受験の真相”だ。大学「全入時代」と呼ばれるようになって久しい。多くの人が、何かしらの形で経験したことのある「大学入試」。AO入試、帰国子女枠、推薦入試、センター出願・・・受験生やその親にとっては頭が痛くなるほど多く種類の入試が出てきているが、大学教員から見た大学受験はどうなっているのだろうか?

■そもそも、日本の受験制度は変?
 日本の大学入試の特徴は、入試の種類と数の多さ、それに各大学・学部独自の筆記試験の存在だ。
 世界ナンバーワンの大学大国アメリカには、各大学が各自の個別筆記試験という方式で入試をすることは基本ない。そもそも入試業務は「職員」の管轄であって「教員」が関与する事項ではないのである。筆記型個別大学入試は全世界的に見てもレアで、日本とフィンランドくらいにしか存在しないとのこと。イギリスやフランスの難関大学では面接を中心にした個別試験を課すところもあるが、多くが高校の課程修了を見極める「共通テスト」を利用している。この日本の「ガラパゴス化した受験制度」が、第一志望校だけでなく「滑り止め」となる大学の入試対策にも取り組まねばならないために受験生の負担を増やしているのである。

■入試が大学教授最大の業務?
 でも、日本の受験制度に一番苦しめられているのは大学の教授たちかもしれない。試験監督に当たってしまえば寒い中ミスを出さないよう作業しなければならないし、試験が終わった後には大量の採点業務が待っている。なによりも大変なのが入試問題作成業務だろう。教育や研究と異なり「匿名」が基本の問題作成。どんな良問を作っても対価は得られず、しかも「高校の学習指導要領の範囲を超えない」、「新規の問題でなければならない」、といった要求に答えなければならないため、作成には何ヶ月もの時間が費やされる。
 だが、多大な労力をかけて作成した入試問題でも、肝心の受験生が少なくては意味がない。そのため、職員だけでなく教員も入学受験生確保のための“営業活動”に駆り出している大学もあるという。オープンキャンパスへの参加や体験授業だけでなく、大学アピールのために高校訪問を義務付けられることも。ところが、有名大学でない場合には高校に赴いても「大学教授がそこまでしないと志願者が来ないのか」と高校の先生に哀れまれる・・・。少子化の現在、大学と受験生を送り出す高校との力関係が完全に逆転しているのである。入試の作成や採点だけでなく、こういった“営業活動”も、日本の大学にかなり独特な入試関連雑務となって教授の肩に重くのしかかっている。

 本書ではそんな日本の「入試のドタバタ」が、大学教員の櫻田氏によって生き生きと(?)描かれている。更に、アメリカの入試・大学制度についても詳しく書かれており、日本だけでなく世界に目を向けたい人も楽しめる。入試の改善案も提示されており、かつて受験生だった人も、これから受験生の親になる人も、手にとって欲しい一冊だ。
(新刊JP編集部)


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