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クラブ・ジャズ・シーンの重鎮、沖野修也自叙伝『職業、DJ、25年』

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クラブ・ジャズ系DJのベテラン、沖野修也による、そのDJとしての半生を自ら振り返った自叙伝『職業、DJ、25年』が刊行された。

Kyoto Jazz Massiveとしての活動などでも知られる、DJ、沖野修也。いわゆる1980年代から1990年代初頭にかけてUKで起こった、レア・グルーヴ〜アシッド・ジャズに感銘を受け、ここ日本でもそうしたシーンを作り出すことに尽力したDJでもあり、また渋谷の老舗クラブ〈THE ROOM〉の経営者でもある。アーティスト、プロモーター、フェスの発起人などなど、現在では本著も含めて、著述活動などいわゆる音楽活動以外にもさまざまな活動を行っている。

本著はYMOからはじまる自身の音楽体験からはじまり、ロンドンで目撃したレア・グルーヴ〜アシッド・ジャズの衝撃、さらには黎明期の京都のクラブの立ち上げへの参加、はたまた東京での活動開始、〈THE ROOM〉の立ち上げ、大沢伸一率いるモンド・グロッソとの出会いなどなど、文字通り25年の彼のキャリアが自身の洒脱な筆で語られていく。

本著で興味深いのは、やはり、その時代に生きた人間にしか描けないシーンの記憶だ。特にシーンの黎明期の話は、やはりどんなジャンルの話でもおもしろい。ある種の勘違いすらも特徴に変えてしまう熱意というのは、そうしたタイミングでしか発揮されないことが多い。本著で書かれていることがそう、というわけではないが、やはりそれにも似たシーンの熱量を伝えてくる。

〈THE ROOM〉の誕生譚、さらには日本のシーンにクラブ・ジャズがもたらされ、それがある種の「遊び」から、音楽ビジネスのなかでどのような足取りで定着していったのかが、垣間見れる部分が非常におもしろい(例えば彼がマネージメントを務めた初期モンド・グロッソ周辺の話など)。DJカルチャーをその立ち位置の中心としながらも、そこから出て行くるさまざまな美意識、アイディアをひとつ音楽ビジネスへと結びつけていく。まるでさまざまなレコードを選び、ミックスしていくように、さまざまな活動が次から次へと出てくる。本著からは、もちろんそこには彼の音楽や文化への愛情があればこそ、ということも同時に伝わって来る。
(河村)

・『職業、DJ、25年 沖野修也自伝』DU BOOKS公式ページ
http://diskunion.net/dubooks/ct/detail/DUBK095

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