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虐待受けた子の支援、一元化で「顔の見える連携」を

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虐待が確認された場合、複数の公的機関が連携して動くことは重要

児童相談所に寄せられる虐待相談件数については、統計を取り始めた平成2年以降、増加の一途をたどっており、平成24年度においては66,401件に上りました。これはあくまで表面化した件数であって、実際にはこれ以上の虐待案件が潜在しているといわれています。

子どもの虐待が確認された場合(虐待の疑いも含む)、子どもの福祉という観点から児童相談所が介入し、ここに医療機関や児童委員(民生委員)、学校などが加わることもあります。また、生命に危険が及ぶ可能性があり、場合によっては刑事事件へと結びつくこともあって、警察や検察といった行政機関も介入することがあります。

このように、子どもの命や生活を守るため、複数の公的機関が連携して動くことは重要です。しかし、このとき、注意しなければならない点が少なくとも2つあります。

連携の仕方を誤ると、子どもの心をより傷つけてしまう

1つ目は、連携する上で互いの守備範囲(できること、できないこと)と役割分担を明確化しておくこと。他の専門家と仕事をする際、互いの守備範囲について誤って捉えていたり、「連携する相手はこちらの守備範囲を知っているだろう」という思い込みがあるなど、コミュニケーション・エラーが意外と多いものです。その結果、対応が遅れたり空回りしてしまうと、結果として子どもたちへの支援が不十分になることがあります。

2つ目は事情聴取の仕方。虐待を受けた子どもたちは、誰にも話したくない心の傷を抱えています。その辛い体験を、面識のない複数の大人たちにバラバラに幾度も話さなければならないという状況は、子ども自身に相当のストレスを与え、心の痛みがより一層深くなる恐れがあります。つまり、児童虐待については、連携の仕方を誤ると、子どもの心をより傷つけてしまうこともありえるのです。

ワンストップで対応できる支援者同士の「顔の見える連携」が必要

このような中、NPO法人「子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク」(事務局・神奈川県伊勢原市)が聞き取り調査を一度で済む方式を構築しました。待合室には遊べるスペースや人形を並べるなど、子どもが緊張しないように配慮。面接室や、そこでの様子を観察できるモニタールーム、子どもの負担なく性被害の有無などを検査できる診察室など設備を整えるそうです。

現在、さまざまな問題に対する対応は、専門家が一同に介するワンストップ型が広まっています。子どもの虐待に関してもワンストップに近い形で対応し、そこで支援者同士が互いの守備範囲と役割分担を明確化する「顔の見える連携」が、今後ますます求められていくでしょう。

(中原 崇/社会福祉士)

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