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部下が土日に「イラストレーターの副業」をしていた! どうやったら止めさせられるか

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Aさんは、都内中堅商社の営業部長。偶然手にした雑誌で、部下のBさんの名前を見つけました。ある地方自治体が募集しているキャラクターコンテストで、Bさんの作品が見事入賞していたのです。

賞金は5万円。Bさんに確認したところ、それが確かに自分であると悪びれずに明かしたうえ、「実は土日のプライベートの時間を使って、雑誌のカットなどを描くイラストレーターの仕事をしているんですよ」というのです。
すべての情熱は「会社の成長に傾けてもらわないと困る」

しかしその会社では「副業禁止」が暗黙の了解になっており、以前副業が発覚した社員がオーナー社長に叱責され、退職勧奨されることもありました。そのとき社長は、社員に向かってこう言っていました。

「会社は給料も賞与もできるだけ出してるんだから、社員だって持ちうるすべての情熱を会社の成長に傾けてもらわないと困る!」

Aさんもその当時のことを伝えたところ、Bさんは就業規則には副業禁止なんて書いてないと反論してきました。服務規律には、

「社員が他の会社への就職、役員への就任、あるいは自ら事業を営む計画がある場合は、事前に会社に報告を行い、会社の許可を得なければならない」

という規定はあるが、Bさんは業務委託で仕事を受けているので雇用でも役員でもなく、会社から禁止される筋合いなどないというのです。

そんな屁理屈が通れば、以前退職させられた人が不公平だし、副業をさせていることが社長にバレれば自分の身も危なくなる。このような場合、どうしても禁止させることはできないのか。職場の法律問題に詳しいアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞いてみた。
イラストレーターは「個人事業主としての仕事」になる

――副業禁止の規定があるにもかかわらず、部下が勝手に副業をしているとなると、上司としては放っておけないですよね。一方、Bさんも、絵を書く仕事を休みの日に少しだけしているに過ぎないので、全面的に禁止されるのはかわいそうな気もします。とても難しい問題ですね。

まず、公務員は法律で兼業が禁止されていますが、民間の会社の従業員の副業を禁止する法律はありません。したがって従業員の副業は、就業規則で定めないかぎり、禁止はできないことになります。

もっとも、多くの会社では就業規則で副業禁止を定めているので、そのような定めがある会社では従業員は基本的には副業ができないことになります。しかし、従業員が勤務時間外の時間をどのように過ごすかは従業員の自由ですので、就業規則で副業を全面的に禁止することはできません。

裁判例も、会社の企業秩序に影響せず労務提供に格別の支障をきたさない副業は制限禁止の対象とはならないと考えており、これは副業が認められる場合があることを示しています。

今回のご相談では、服務規律に「自ら事業を営む計画がある場合」は「事前に会社に報告を行い、会社の許可を得なければならない」と副業を制限する規定があるということですが、服務規律は就業規則の中の規定ですので、就業規則に規定があるということになります。

にもかかわらず、Bさんは無許可で土日のプライベートな時間を使って、雑誌のカットなどを描くイラストレーターの仕事をしていることになります。これは、個人事業主としてのお仕事なので、自ら事業を営む場合にあたるため、会社の許可が規則上は必要です。
会社に影響を及ぼさない限り認めざるを得ない

しかし、Bさんはあくまで、土日のプライベートな時間に、会社の仕事と競合しない仕事をしているにすぎませんから、Bさんの副業が会社の秩序に影響を与えたり、Bさんの会社業務に影響を及ぼしたりしているわけではありません。したがって、会社は、Bさんの副業を認めざるを得ない可能性が高いでしょう。

今回は無理にBさんの副業を禁止するのではなく、もし今後、副業のせいで本業に支障が出てきてしまうようであれば、注意をしていくという方法が一番かもしれませんね。

【取材協力弁護士 プロフィール】

岩沙 好幸(いわさ よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物好きでフクロウを飼育中。近著に『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。『弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ』も更新中。頼れる労働トラブル解決なら≪http://www.adire-roudou.jp/

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