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フランスの休暇の多さの秘密とその代償

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 グルメ、ファッション、芸術の国、フランス。
 華やかなイメージのあるフランスだが、日本人が思い描いているものとは違った一面を持っている。最近は風刺画と「表現の自由」を巡る一連の騒動で私たち日本人も注目したが、そもそも日本の価値観でフランスを見ても理解できない部分がある。

 『フランス人の不思議な頭の中』(山口昌子/著、角川学芸出版/刊)は、大手新聞者のパリ支局長を21年間務めた著者だからこそわかる、日本人の知らないフランス人の国民性や社会の暗黙のルールを解説する一冊だ。

■移民大国とアイデンティティー
 まず、知っておくべきことは、フランスは移民大国だということ。「人はフランス人に生まれない。フランス人になるのだ」ともいえるほどだという。日本国籍は原則として両親が日本人の場合、自動的に「日本人」になる。一方、フランスの国籍法は生地主義の原則に基づくので両親が外国人でも、フランスで生まれた者は自動的にフランス人として登録されるが、教育などによってフランス人に形成されるのだ。
 この国籍法の基本精神はフランス共和国憲法の第一条に謳われている「フランスは出身、人種または宗教の区別なしにすべての市民の法律の前の平等を保障する」というフランス革命に端を発する理念と同じだ。そして、フランス人になるということは、「自由、平等、博愛」の理念というアイデンティティーを抱いて「フランス人」になるということにほかならない。

■フランス人はどうしてあんなに休めるの?
 フランス人は1年中、バカンスの話をしていると言っても過言ではない。有給休暇5週間に加えて「週35時間労働制」に「日曜日」の就業は法律で禁止されているからだ。とはいえ、困ったことも起きる。夏の長期バカンスの前にはすべてを片付ける必要があるからだ。
 何かを修理する必要があるなら、6月前に終えていないと秋まで数カ月待つことになるという。ガラスが割れたり、水道管が詰まって水漏れしたら、緊急に処置すると通常の数倍の工事費を支払うはめになる。さらに、どこか体の調子が悪かったらさっさと手術に踏み切った方がいいと著者。夏季には公立病院の外科医も街の歯医者も眼科医も不在となり、残っているのは新米医師だったりするからだ。
 日曜日のパリで、鉄鋼の鎧戸が下りたデパートや有名ブランドのブティックの前で観光客が茫然としている姿は珍しくない。キリスト教徒の多いフランスでは「日曜日」は安息日でお休みが長年の習慣であり、例外措置はあるが、法律でも「日曜日」に働くことは禁止されているのだ。

 本書を読むと、フランス紙襲撃テロ事件がなぜ起こったのか。フランスメディアの対応やその後の市民によるデモなど事件の背景が見えてくるはずだ。
 花の都パリに憧れて、何も知らずにフランス旅行に行くと、フランスが嫌になって帰ってくるという人も以外に多いという。国が違えば感性も国民性も違うのは当然だ。そういった国民性や歴史、習慣などを知った上で、フランスに行ってみると、また違った見方もできるはずだ。
 フランス人の考え方、フランスという国を知ることができる1冊だ。
(新刊JP編集部)


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