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山村の人々に学生が聞き書きした記録が電子書籍『ブックパス』で無料配信。今年は被災地の漁村での聞き書きの旅を実施

向かい合ってじっくりと話を聞き、その成果を地域の人々と共有する。農山漁村と都会の学生をつなぐ「コトバのたび」。昨年の新潟県北部の山村に続き、今年2~3月には、宮城県の2つの漁村で聞き書きを行う予定だ。KDDIは、聞き書きと、その成果の発表をサポートすることにした。

地域とつながる学生を増やしたいとの思いから始まった聞き書きの旅

棚田での稲作、山仕事、冬の豪雪、山村ならではの生活、そして地域の将来……。東京に住む大学生たちが、新潟県北部にある村上市高根地区に暮らす人たちに聞き書きをしてまとめた冊子『コトバのたびプロジェクトvol.1 新潟県村上市高根~棚田と林業の集落~』には、生活やなりわいの話から、山深い地ならではの不思議な話、そして、なかなか聞くことのできない心の内までが綴られている。KDDIの提供する電子書籍サービス・ブックパスでの無料配信も始まった『コトバのたびプロジェクトvol.1 新潟県村上市高根~棚田と林業の集落~』。聞き書きをしたのは、認定NPO法人「共存の森のネットワーク」が実施した「コトバのたび」プロジェクトに参加した大学生。2度にわたって高根地区を訪れ、5人の方にお話を伺った。

山村の人々に学生が聞き書きした記録が電子書籍『ブックパス』で無料配信。今年は被災地の漁村での聞き書きの旅を実施
山村の人々に学生が聞き書きした記録が電子書籍『ブックパス』で無料配信。今年は被災地の漁村での聞き書きの旅を実施
新潟県北部にある村上市高根地区に暮らす人たちとの聞き書きの様子

山村の人々に学生が聞き書きした記録が電子書籍『ブックパス』で無料配信。今年は被災地の漁村での聞き書きの旅を実施

共存の森ネットワーク理事を務める大学3年生の工藤大貴さん

共存の森ネットワークは、高校生を対象にした、ある活動がきっかけになって生まれた。それが、2002年に始まり、現在では農林水産省、文部科学省、環境省などを含む多団体による実行委員会が実施している「聞き書き甲子園」だ。全国の高校生100人が、きこりや漁師など、農山漁村の名手・名人から話を聞いてまとめる。共存の森ネットワークは、第1回に参加した高校生たちが、もっと自然に向き合ってきた人の話を聞きたい、もっと地域に入っていろいろなことを体験したいという思いで立ち上げた認定NPOで、現在では、全国6地区7地域の農山漁村で地域の人の話を聞き、里山・里海の保全や地域づくりの活動を実施しているほか、聞き書き甲子園の運営と参加する高校生のサポートも担っている。

「コトバのたび」は、共存の森ネットワーク理事を務める大学3年生の工藤大貴さんの立案で始まった。工藤さん自身、高校3年生のときに聞き書き甲子園に参加し、北海道の中頓別町できこりの方からの聞き書きを行っている。「共存の森ネットワークの活動で、地域の方と一緒に活動したり、聞き書き甲子園に参加する高校生たちのサポートをする中で、大学生も聞き書きをして高校生には出せない価値を作り出せるんじゃないかと思いました。それに、じっくりと何時間もかけて話を聞いて、それを全部書き起こして編集する中で、その人の人生と向き合うことになります。忘れられないような相手ができ、その人の住む地域に何度も通う若者が増えることを目指して、コトバのたびは始まりました」と、工藤さんは説明する。

聞き書きと朗読会を通して、地域の人々の思いを共有する

コトバのたびの初めての舞台となった高根地区は、村上駅からバスで40分ほど、朝日連峰の懐へ入っていったところにある170戸ほどの集落。もともと共存の森ネットワークが地域交流をしている場所のひとつだ。「ほんとうに山あいのどん詰まりにあるんですが、いまだに三世代同居もかなり多く、二十代くらいの若い人たちも地域のために何かするという意識も強い地域です」(工藤さん)。毎月のように高根に通ってきた工藤さんは、地域の人たちは学生に対してはこれからこの村をどうしていくかというような話を熱心にしてくれるのに、住人同士は遠慮があったりして、将来の話は共有されていない部分があると感じていたという。そこで学生たちで話を聞き書きして、みんなの前で朗読すれば、地域の人たちの思いが共有されるのではないかと考えた。

そして2013年6月と8月に、11人の学生が2~3人ずつグループになって話を伺った。聞き書きをする時間以外は、草取りや地域の活動に参加。東京育ちの学生が多かったため、こんな場所に来るのは初めてと楽しんでいたという。そして10月には、地域の方々に集まってもらって、学生それぞれが、聞き書きした話をまとめて朗読した。工藤さんは前区長さんから話を聞いた。

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