74%が災害危険地に居住、日本人が持つべき防災意識

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74%が災害危険地に居住、日本人が持つべき防災意識

日本は「自然災害の宝庫」

日本は地球規模から見ても位置や地形、国土の成り立ちから、「自然災害の宝庫」ともいうべき国です。防風や豪雨を伴う「台風」の通り道であり、四つのプレートが重なる位置で「地震」が多発し、火山の隆起によって形成されたといわれるほど「火山」の多い国です。つまり、異常な自然現象が起きるべくして起こる国です。

また、国土の大半を山岳地帯が占め、平野が少なく、人の住める場所が少ないのも特徴です。自然災害とは「防風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火、その他の異常な自然現象による被害」と定義されていますが、異常な自然現象が発生しやすい国に多くの人が暮らしているため、それだけ災害による被害も増加します。そして、幾度となく繰り返されてきた復興への道のりが、日本人の国民性を形成してきたのかもしれません。

自身の居住する地域の歴史と現状を知ることが大切

先日、国土交通省がまとめた推計で、国民の74%が災害危険地に居住しているとの発表がありました。これは、人口の増加に伴い、災害危険地を居住スペースに変えてきた証ともいえます。日本では自然災害の危険性と生活の利便性を天秤にかけながら、山を切り開き、海を埋め立て、居住スペースを広げてきました。結果として、自然災害の危険性に目を閉ざして暮らしているのではないでしょうか。昨今、豪雨による土砂災害や火山の噴火、各地での豪雪など、大規模な自然災害が連続して発生しており、被災の不安から危機管理に対する意識が高まっています。

では、自身の居住する地域に、どのような災害が、どの程度の規模で考えられるのでしょうか。全国の自治体では、過去に発生した災害データを基にした「ハザードマップ」を作成しています。また、過去の文献や資料を紐解くのも良い方法です。そのほか、古い地名からも、その土地で発生した災害を想像することができます。

未曾有の被害を出した「東日本大震災」ですが、津波の恐ろしさを伝承した「津波てんでんこ」のような言い伝えが、居住する地域にあるかもしれません。過去に発生した災害は、大抵繰り返し発生しています。まずは、自身の居住する地域の歴史と現状を知ることが大切です。

自然災害の危険度は防災意識で変わる

1995年(平成7年)に発生した「阪神淡路大震災」以降、全国各地で耐震補強など地震対策が急ピッチで進められました。しかし、災害は地震だけでなく、異常気象による風水害、それに伴う土砂崩れ、火山の噴火などが相次いで発生しています。

近年では防災対策の考え方が変わり、災害発生後の復旧・再発防止の対策ではなく、事前の予防と人的被害の回避・軽減を主体とした、「備える対策」に変化しています。各自治体では、命と暮らしを守るためのハード整備に重点が置かれ、災害への備えとして、水や食料だけでなく、自助・共助・公助の精神を含み、家庭・地域・企業・各種団体などへの働き掛けも盛んに行われています。

また、災害からの復旧・復興が、技術立国日本の原点になったとの見方もあります。自然災害への対策は命を守ることが目的ですが、地域によって発生する災害の種類も、命を守る方法も異なります。まずは、地域の特性や自治体の取り組みを知り、被災時の行動を具体的に考え、防災意識を家族や地域住民と共有することが命を守る最善の対策です。

自然災害の宝庫である日本に住んでいる限り、どこに住んでいても危険度はさほど変わりません。しかし、自然の怖さと命を守る対策を知らないことで、危険度は一気に高まります。つまり、自然災害の危険度は、住む場所ではなく、自身の防災意識の在り方で変わるのです。

(神田 正範/防犯・防災コンサルタント)

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