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NHK大河『花燃ゆ』 大コケの背景に作品巡る政治的配慮あり

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 NHKの大河ドラマ『花燃ゆ』が視聴率歴代ワースト3位という不名誉な記録とともにスタートした。大コケの背景には作品を巡る”政治的配慮”があると指摘するのは、本作決定時からその経緯に疑問を呈してきたジャーナリストの鵜飼克郎氏である。籾井勝人会長のもと、安倍ポチ路線を突き進むNHKに公共放送を名乗る資格はあるのか。

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 幕末の長州藩士で維新志士の理論的指導者であった吉田松陰の妹・杉文の生涯を描く新大河ドラマ『花燃ゆ』が出鼻をくじかれた。
 
 1月4日放送の初回視聴率は関東地区で16.7%。1989年の『春日局』(初回14.3%)、1977年の『花神』(同16.5%)に次ぐ史上3番目の低さとなり、第2回も視聴率13.4%とまったく振るわなかった。
 
 井上真央演じる主人公・文は松陰の末妹で、松下村塾の塾生である久坂玄瑞と結婚した女性だ。久坂の死後、群馬県令を後に務める楫取素彦と再婚したが、歴史上の人物としては無名で、作品化されたことはほとんどない。当然ながら人気作家による原作もなく、オリジナル脚本で制作される。視聴率を稼ぐには不利な条件ばかりが揃っていた。
 
 関係者の間では、そんな大コケ濃厚の大河ドラマが制作された背景に「NHKの安倍政権への阿りがある」と当初からいわれていた。安倍首相の地元・山口が大河の舞台となるよう無理に決まった作品だという“疑惑”である。
 
 制作発表までの経緯は異例続きだった。まず目に付くのが、制作発表の「遅れ」だ。通常、大河ドラマは放送開始2年前の5~8月に発表される。
 
 たとえば来年放送予定の戦国武将・真田幸村の生涯を描く『真田丸』の制作発表は昨年5月12日に行なわれた。2012年放送の『平清盛』が2010年8月4日、2013年放送の『八重の桜』は2011年6月22日に発表されている。「キャスト調整に手間取って発表が遅れた」(NHK関係者)とされる昨年放送の『軍師官兵衛』は、発表が2012年10月10日にずれ込んだが、これでも異例の遅さである。

 それに対し、『花燃ゆ』の制作発表はさらに遅く2013年12月3日だった。他の年より数か月~半年も遅れたのはなぜなのか。
 
 筆者が『花燃ゆ』制作発表直後(2013年12月)に舞台となる山口県萩市を取材すると、さらに奇妙な経緯が浮き彫りになった。当時、萩市の商工観光部観光課課長はこう証言した。
 
「NHKのチーフ・プロデューサーがこちらに来たのは9月のことです。脚本家2人を連れて、『山口県に何か大河ドラマの題材がありませんか』などと聞かれ、市内の案内も頼まれました」
 
 例年なら制作発表が終わっている時期にもかかわらず、題材も主人公も未定。しかも舞台となる「場所」だけが決まっていたような言い方だ。
 
「最初男性の主人公候補を提案したが、NHK側からは『女性で誰かいないか』といわれ、伊藤博文夫人などの話をしました。その後、10月になって『吉田松陰ではどうか』と聞かれ、妻や3人の妹について説明した。『女性でいろいろ面白い話がありますね』という反応でしたね。まさか2015年の放送とは思わず、もっと先の大河のリサーチかと思っていました」(同前)
 
 2009年放送『天地人』のチーフ・プロデューサーは雑誌インタビューに〈2006年あたりからこの大河ドラマ48作目の題材を考えはじめていたのですが、当初、局内で「直江兼続でいきたい」と話したとき、みんな知らないわけですよ〉(『時代劇マガジン』2009年1月号)と答えていることからもわかるように、放送の数年前から作品の構想が立てられることも通例で、「主人公を誰にするか」は最重要視されるといわれてきた。

「舞台は山口県であること」が重視された形跡がある『花燃ゆ』は不自然きわまりない。それも、安倍政権発足直後に決まった方針と推測され、それ以外に「山口」である必要性は見当たらないのである。

●取材・文/鵜飼克郎(ジャーナリスト)

※週刊ポスト2015年1月30日号


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