「研修の手厚さ」は就職先選びの決め手にならない 経営者のホンネは「福利厚生の一環」

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「研修の手厚さ」は就職先選びの決め手にならない 経営者のホンネは「福利厚生の一環」

会社選びの基準として「研修制度が充実していること」と答える就活生も珍しくはありません。この答えを聞くたびに「見てくれだけのくだらない会社に捕まらないようにね」と心配してしまいます。

合同説明会に行くと、研修制度をアピールする企業は多数あります。しかし入社数年目の社員が、カンペを見ながら必死でスピーチをするのを聞いていると、「自分自身が成長した話なのに、なぜカンペ?」と思わず首を傾げたくなります。(文:河合浩司)
「社員満足度」はあがっても成長は期待できない

そもそも研修だけで、人が成長することはまずありません。研修会社の営業マンの方々は非常に熱心に語りますが、少なくとも私はそんな事例を見たことはありません。

確かに専門的な技術の訓練や、知識の習得などは効果があるでしょう。慣れない仕事に入る前に、マニュアルの徹底を図るような業務研修も意味があります。

しかし、いわゆる新入社員研修やマネージャー研修、幹部研修など数日間行われる座学の集合研修を充実させたところで、人が大きく成長するわけではありません。

期待できる効果といえば、一時的な多少のモチベーションアップと、日常業務とは違うことをする気分転換くらいなもの。わざわざ研修に頼らずとも、自分でできることばかりです。

研修について何人かの経営者に話を聞いたことがあるのですが、共通する見解は「ほとんど福利厚生の一環だね」という答えでした。成長など端から期待していないのです。

ホントのところは、「会社のカネで研修を受けさせてもらえた」という社員満足度を高めるために実施しているそうです。私も人事担当者として研修効果に注目して人を見ることが多々ありますが、成長は期待できないと感じています。

もちろん「充実の研修体制」という文言があると、就活生が安心することは理解できます。しかし研修の効果はこの程度なので、企業選びの基準として考えることはおすすめしません。
人を成長させるのは「日々の仕事」の成功や失敗

成長といえば、面接時の質問で驚いたものがあります。それは、

「入社したら、どのような成長をさせてもらえますか?」

といった問いです。仕事を単なる給与を得る手段としてではなく、自らの成長の機会と考えることは素晴らしいのですが、「依存心が強い子だな」と感じたのも事実です。人は「日々の仕事」の成功や失敗を通じて、大きく成長するからです。

自分が成長するか否かは、仕事に向かう姿勢で決まります。また、「自分が大きく成長できる仕事に就きたい」としても、その機会を得られるかどうかは日々の仕事の結果次第です。

どれほど素晴らしい機会があったとしても本人に活かす気がなければ伸びませんし、そのような機会に備えて職場以外で自己研鑽することでも大きな差がついたりします。

就活生のみなさんは会社説明会に行ったら、研修制度よりも「社員が本当に成長しているかどうか」をよく見てください。そして、社員と話す機会があったら「ご自身は入社後どのような成長を遂げることができたと思いますか?」と聞いてみてください。

人が育つ土壌がある企業の社員さんは、きっと具体的に答えてくれるはずです。

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