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最新炊飯器の開発者 原点回帰で釜炊き修業し「釜仙人」に

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 特別な料理やちょっと豪華な食事もいいものだが、ふと食べたくなるのはふっくらと炊き上がった「おいしいごはん」。世界的な和食ブームで、日本国内に限らず米が食べられる機会は増えているが、おいしいごはんへのこだわりは、やはり“日本人が1番強い”と感じる人が多いのではないだろうか。

 米を主食とする食文化を背景に、日本では炊飯のための道具がガスや電気の普及以降、大きな進化を遂げてきた。海外メーカーが参入していない稀有な分野として、秋葉原の電気店街などを中心に、外国人観光客が複数台の炊飯器をお土産として購入する姿も定番化している。

「炊飯器も少子高齢化を反映して“高額・高機能・小容量”が、ここ10年ほどのトレンドとなっています。小さなお子さんのいる家庭などでは、ごはん以外の調理にも使いたいというニーズがあるため、3~5万円台のミドルグレード機種では多機能な“調理もできる炊飯器”が引き続き人気。一方、10万円を越えるトップグレード機種では、炊飯機能に特化した単機能型が主流となり、独居世帯や子供の手が離れた40代以上の世代などで人気です。

 さらに、震災以降のおうちごはん傾向を受け、炊きたてごはんにこだわって食事のたびに炊飯をする“都度炊き”層、毎日違った銘柄米を食べたい“銘柄炊き”層などのニーズも反映した高機能商品が次々と市場に登場しています」と語るのは、家電コーディネーターの戸井田園子さん。

 各メーカーそれぞれに特色を出しながらも、「おいしいごはん」にこだわった機種をトップグレードに次々と投入してきているという。こうしたトレンドを受けて、最新機種ではどのような機能が注目なのか、大手国内家電メーカーにおいて最初に炊飯器を製品化・販売した東芝で話を聞いた。

「戦後の女性の社会進出やライフスタイルの変化を受け、日本の家電は“家事労働の軽減”を最大のテーマに飛躍的に進化してきました。東芝では、洗濯、掃除、炊飯という3大家事のなかでも、火加減・水加減などの技術や家庭ごとに異なる好みなどで、主婦の負担が大きかった炊飯に注目。かまどを徹底的に研究し、自動でかまど炊きごはんを実現する電気釜を目指し、1955年にスイッチ一つで誰でも美味しくごはんが炊ける、国産電機釜第1号機を発売。大ヒットとなりました」(東芝ホームテクノ・家電事業統括部・家電商品企画部・川元順子さん)。

 その後も同社は、ごはんがこびりつかない「フッ素内釜搭載電気釜」(1968年)、外釜と内釜の間を従来の水を入れるものから、高温の空気に変え、保温機能も付いた「かまど炊き第1号機」(1978年)、マイコン制御の導入で炊飯に最適な火加減と予約炊きなどを可能にした「マイコン釜」(1982年)など、数々のヒット製品を世に送り出してきた。

 近年では、世界初の真空吸水で芯までふっくら炊ける「真空圧力IH保温釜」(2006年)、さらにかまど炊きに近づいた「鍛造かまど丸釜」(2012年)そして、1号機の発売から60年目にあたる今年登場した最新機種「備長炭かまど本羽釜」では、これまでこだわり続けてきたかまど炊きに、さらに近づく炊き上がりを実現したという。

 この“かまど炊きに近づいた”が、どう解説されるのか? と思ったところで、「突然ですが、見ていただきたいものがあります」と屋外に連れ出された。そこにあったのは、存在感を放つ大きな釜……驚く記者の目の前で、“リアルかまど炊き”がスタートする。

「今回の東芝の最新炊飯器は、内釜にはかまどで実際に使われる“羽釜”の形を、炊き方にはかまど炊きと同じような炊き方を実現しました。このかまどで炊いたごはんと、最新機種で炊いたごはんをぜひ食べ比べてください」と解説してくれたのは、家電商品企画部・調理機器グループ長で、日本各地の“かまど炊き名人”の指南を受け「釜仙人」の称号を得た守道信昭さん。最先端の炊飯を追求する中で、原点回帰・温故知新を実践するべく、“かまど炊き修業”をしたという。

「この最新機種で特に注力したのが炊飯器の内釜です。かまど炊きのおいしさのポイントはいくつかありますが、かまど用の羽釜ならではの高さとすぼまり、平らな羽根、釜底の丸みによって、大火力による連続加熱・連続沸騰を実現。ごはんの旨みとなる“おねば”をたっぷり引き出し、ごはんの甘みを約10%アップすることに成功しました」(守道さん)

 確かに「備長炭かまど本羽釜」の内釜を手に取ると、かまどの羽釜にそっくり。対流を起こす丸み、熱を閉じ込める羽根、強い沸騰を継続できる上部のスペース、さらにずっしりとした質感まで再現されている。では、味の再現はどうなのだろうか?

 どちらで炊いたものかわからないように盛り付けられた、かまど炊きのごはんと「備長炭かまど本羽釜」で炊いたごはんを試食。まず見た目はどちらもふっくらとつややかで、一口ほおばると旨みと甘みがたっぷりで極上の味わいだ。かまど炊きがどちらか当てて欲しいと促されたが、甲乙つけがたい記者は、なんとハズレ。しかし、炊きたてでは優劣のつかなかった双方のごはんを冷めた状態で比較してみると、「備長炭かまど本羽釜」のごはんは、もっちりとした食感を保っているのが印象的だった。

「当社が実施してきたアンケートデータによると、お子さんが小さい時には多機能、育ち盛りの高校生になったら大容量、ひとり暮らしを始めたら小容量、ゆとりができたら高機能の上位機種へ……というように、ライフスタイルが変わるたびに炊飯器を見直す方が多いようです。また“がんばっている自分へのごほうびに、ごはんはおいしいものを!”と、おいしいごはんへのこだわりは、男性の方が強い傾向もあるようです」(守道さん)

 ここまで炊飯器の選択肢が多様化してくると、消費者としては「どうやったら、賢く選べるのか?」も気になるポイントだが、前出・家電コーディネーターの戸井田さんは、こうアドバイスする。

「炊飯器の進化は著しく、どのメーカーのものも以前に比べるととてもおいしく炊けるようになってきています。冷めてもおいしくなったこともポイントで、お弁当などでその差が実感できます。ただ、各メーカーによっておいしさの目標や技術が違うので、好みに合ったものを見つけられるといいでしょう。

 失敗しないためには、試食して買うことがベスト。大型量販店なら週末には試食を実施していることが多いですし、各メーカーの味の特性は踏襲されている場合が多いので、自宅の炊飯器で炊いたごはんを友人と持ち寄って、試食会をするのもオススメ。また、悩んだ時には、実家の炊飯器と同じメーカーを選ぶのも手ですね」


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