PC長時間使用で白内障リスク増?予防策は

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PC長時間使用で白内障リスク増?予防策は

座っている時間が7時間以上の人の白内障リスクが高い研究報告も

中国台湾省研究機構が発表した最近の研究報告によると、毎日座っている時間が7時間以上の人の白内障罹患リスクは、3時間未満の人より20%高いそうです。

また、中国台湾・東森新聞報道によると、毎日、長時間座っている人のほとんどはサラリーマンで、PC、携帯、タブレットPCなどの使用時間が長く、スクリーンから放出する熱エネルギーと放射エネルギーが目の中の透明の水晶体を濁らせ、若年性白内障に罹る恐れがある、とされています。

一般に白内障は、酸化ストレスや紫外線が大きな原因

白内障とは、さまざまな原因により、水晶体という眼のレンズが濁った状態です。濁ると、見え方が悪くなります。前述のPCなどと白内障の因果関係は、日本国内ではまだ証明されておらず、今後の研究課題といえるでしょう。一般に白内障は、加齢(エイジング)によるものですが、酸化ストレスや紫外線が大きな原因です。よって、以下の予防法が現時点では有効です。

1、体内での酸化ストレスの産生を予防:まずは、禁煙。そして、糖尿病、高血圧、高脂血症、心血管系疾患などの疾病予防し、白内障の原因となる薬物を摂取しないようにするために心身の健康を保ちましょう。

2、酸化ストレスを消去する抗酸化物を摂取して、体内の抗酸化力を高める:抗酸化効果の高いビタミンを多く含む野菜や果物を毎日摂取。食事で十分に摂取できない人は、マルチビタミンやルテインなども白内障予防に有効との報告があります。

3、眼部の紫外線被ばくを避ける:紫外線対策は、夏場だけではなく1年を通して必要です。つばの長い帽子や、サイドからの紫外線対策効果が高いサングラスによる眼部紫外線予防は重要です。

4、眼部の外傷を避ける:眼の打撲や怪我でも白内障につながります。

有効な治療法は白内障手術のみ。過去20年で急速に進歩・発展

上記の予防策を講じても、残念ながら濁った水晶体を透明にするのは現時点では難しく、生活に支障が出るほど濁ってしまったら、有効な治療法はただ一つ、白内障手術です。白内障手術は、過去20年で急速に進歩・発展し、現在、全身でなく局所麻酔で行われ、痛みはほとんどありません。手術中には医師の話も聞こえますし、会話もできます。手術時間は白内障の程度によって異なりますが、通常30分程度です。最近の手術法は超音波乳化吸引法という方法が一般的で、2~3mmくらいの傷から超音波の力で水晶体の濁った中身だけを吸い出し、残った薄い膜(水晶体嚢)の中眼内レンズが挿入されます。

病院に着いたら、まず目薬や飲み薬を渡されます。その一部は、気分を楽にする目的のものや、あるいは細菌を殺す抗生物質であったりします。さらに、手術をするために瞳孔を開く目薬が一般に使用されます。手術は手術用顕微鏡で行われるために、手術中に顕微鏡の光の動きなど自覚することはありますが、それ以上の細かいものは見えません。目は開瞼器(かいけんき)という瞼(まぶた)を自動的に開く器具で開かれていますので、目を開けようとしたり、つむろうとしたりする必要はありません。

手術が終わると、医師は通常、数日間、目に眼帯をするようすすめます。手術後、そのまま病室へ歩いていくことができます。条件が整えば、日帰り手術も行われており、手術後しばらく休養して家の人などと一緒に家路につくことも可能です。そして、術後数か月は医師が処方した点眼をしなければなりません。また、手術後しばらくは目をこすらないよう注意する必要があります。通常の日常生活はすぐ再開できますが、過激なスポーツや運転などは医師と相談して行ってください。

(田川 考作/眼科医)

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