“カイモクジショウ”は世界を震撼させるのか?ーーOTOTOY密着レポート第3回

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“カイモクジショウ”は世界を震撼させるのか?ーーOTOTOY密着レポート第3回

日夜、圧倒的パフォーマンスとその轟音サウンドで、観るものの目を丸くさせているカイモクジショウ。彼らは昨年11月に待望の1stアルバム『JIDOU』をリリースし、勢いそのままに初となるワンマン・ライヴを敢行。それ以降もまったく休むことなく、自身の音楽を全国各地に届けようとしている。これまでOTOTOYでは、彼らのありのままの姿に迫るため、ライヴを中心とした密着取材を行ってきた。前回は彼らの新作に軸を置いたレポートをお届けしたが、今回は早くもバンドの“これから”を見据えるカイモクジショウの姿をお伝えしたい。

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カイモクジショウは、目先のことよりも、さらにずっと先のことを見つめて活動しているバンドだ。1stアルバム・リリースの1ヶ月以上前からすでに次回作を作り始めているということだったし、初めてバンドと出会ったときから、世界を舞台に活動していく展望を彼らは話してくれた。10月下旬、ワンマン・ライヴを目前に控えたカイモクジショウのステージを見届けるため、三軒茶屋HEAVEN’S DOORへと向かった。この日は、カイモクジショウがとても大きなところを目指しているということを確かに感じさせる一夜となった。

この日のライヴも、いつも通り彼らのカオスな世界観を十分に提示するパフォーマンスを見せつける。しかし珍しいことに楽曲の途中、何度か演奏が乱れる部分も見られた。ライヴ終了後、ドラムの上田哲也はライヴの内容に納得がいかず、メンバー2人に対して大きないらだちを見せた。ライヴのあとメンバー3人そろって話を訊く予定であったのだが、「今日はできそうにない」と言われてしまったほどで、仕方なくメンバーひとりひとりに話を訊いてまわることに。

カイモクジショウはライヴ、楽曲制作においてまでアドリブ、即興に重きを置いている。そのことに関して上田は「あれに反応できないようじゃダメ」とこの日のバンドのパフォーマンスについて語った。ギターの高橋裕樹の元に向かうと、この日から新たに使うことになった機材がうまく動かなかったという不運があったものの、上田の指摘を受け止めており「自分の実力不足です」と話してくれた。上田の怒りは決して、自己中心的なものではなく「これじゃあ世界でやっていけない」と言っていたのが印象的だったが、バンドのこれからを心から考えてのものだと僕には見えた。そしてメンバー全員が同じ目標を持って、高いレベルやステージを真剣に目指して活動していることがはっきりと伝わってきた。

2週間後、カイモクジショウにとっての初ワンマンの日を迎える。オープニング・アクトとして登場したチャンバラ・パフォーマンス・グループ「刃喰い」が見事な殺陣を披露し、スッと観客の神経を研ぎ澄ませる。その後ステージに現れたカイモクジショウは、少し前にバンドに問題があったことをまったく感じさせないパフォーマンスを約2時間にわたって披露してみせた。白い衣装をまとったヴォーカル西田夏海が、その見た目通り少女のような美しい歌声を聞かせたかと思えば、突如叫び声をあげ、右へ左へと脈略なく動き回る。演奏陣だってもちろん負けていない。高橋は幽玄なギター・サウンドをループさせ、いくつものフレーズを重ね、歪ませ、重層的なサウンドスケープを描いてみせる。上田は、音を浴びせるような力強いドラム・プレイでもって、1曲のなかで目まぐるしく姿を変えていく楽曲の行く先を導く。

途中のMCで、2014年クラウドファンディングによって、オーストラリア・ツアーを実現したことに触れ、感謝を告げる。続いて、ワンマン当日にフランスの16歳の少女からFacebookを通じて届いていたメッセージを紹介し、「こういうことがあるからバンドはやめられない」とにこやかに話していたのが印象的だった。そして「実は次回作を作っておりまして…。そのなかから」と新曲を演奏。披露された楽曲は、いままでのカイモクジショウにはあまり見られなかったタイプのもので、バンドが新たな面を取り入れながら着実に前に進んでいることを感じさせた。新作『JIDOU』収録曲はもちろん、過去の作品の楽曲にカヴァー曲まで、どっぷりと会場をカイモクジショウの世界に染めた。ライヴ終演後、会場の出口にたって満面の笑みを浮かべ、観客と話をする3人の姿を見れば、この日のライヴの成功は明らかだった。

途中のMCでも触れていたように、すでに沖縄でのライヴが発表されていたりと、今年は新たな試みとして、これまで訪れたことのなかった全国各地でライヴを行っていくというカイモクジショウ。2015年はツアーを組み、全国をまわる構想もあるようだ。初めて出会ったとき彼らは、現在主にライヴを行っている東京から、関東、日本全土、と次第に輪を広げて行き、最終的にはアジアから世界へと活躍の場を広げていくという構想を明かしてくれた。その未来を実現させるため、カイモクジショウは今年、その第一歩を踏みだそうとしている。とにかく一度、彼らの音楽を聴いてみてほしい。普通のバンドではない“何か”がきっと感じられるはずだ。そうなったら最後、彼らのライヴに足を運ばずにはいられない。(鶯巣大介)

カイモクジショウ / BALANCEhttp://youtu.be/J1MThRMhnKU

・カイモクジショウ オフィシャル・サイト
http://kaimokujisho.com
・カイモクジショウの作品はOTOTOYで配信中
http://kaimokujisho.com
・“カイモクジショウ”は世界を震撼させるのか?ーーOTOTOY密着レポート第1回
http://ototoy.jp/news/80236
・“カイモクジショウ”は世界を震撼させるのか?ーーOTOTOY密着レポート第2回
http://ototoy.jp/feature/2014102903

・ライヴ情報

1月24日(土)三軒茶屋HEAVEN’S DOOR
1月25日(日)越谷EASYGOINGS
1月30日(金)新宿Wild Side Tokyo
1月31日(土)新松戸FIREBIRD

2月14日(土)両国SUNRIZE
2月21日(土)宜野湾HumanStage
2月22日(日)沖縄Cyber-Box
2月27日(金)三軒茶屋HEAVEN’S DOOR

3月03日(火)立川BABEL

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