BABYMETALのステージを押し上げる グループ初のライブ盤『LIVE AT BUDOKAN ~RED NIGHT~』が露わにしたものとは…?

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BABYMETALのステージを押し上げる グループ初のライブ盤『LIVE AT BUDOKAN ~RED NIGHT~』が露わにしたものとは…?

 2014年、欧米での成功から逆輸入という経路もありつつ、大ブレイクを果たしたBABYMETAL。だが、やはり去年の段階では日本のKawaii(アイドル)文化とメタルの融合というコンセプトの新奇性が話題を先行していた感は否めなかった。

 だが、これが世に出たあとではその議論も新たな段階に入るのではないか。2014年3月に行われた日本武道館での公演の模様を収録したベビメタ初のライブ盤『LIVE AT BUDOKAN ~RED NIGHT~』。本作を聴く限り、そこにいるのはケレン味を押し出した“アイドル”では到底なく、鉄壁のバンドを率いた若く才気溢れるシンガー/パフォーマーの姿だ。BABYMETALおよび神バンドの、パフォーマーとしての有無を言わせない説得力が露わになった作品と言える。

 ケレン味を感じないのは、ライブというサウンドの選択肢が限定されるシチュエーションのもと、楽曲の骨格が露わになった影響もある。サウンド面で特に違いを感じるのはギターで、シングルや昨年のアルバム『BABYMETAL』では、いくぶん輪郭がぼやけていた印象もあったが、本作ではゴツゴツした音の輪郭がクリアになっている。生演奏のダイナミズムを活かしたドラムも良いし、ベビメタ・メンバーのヴォーカル、特にメイン・ヴォーカルを担当するSU-METALこと中元すず香の歌唱は、不安定な部分も残しつつ、それを補って余りある迫力がある。

 マスタリングを務めたのが、メタリカも手がける米国の名エンジニア、テッド・ジェンセンであることはアルバムのプロモーションでも強調されていたが、分離が良くダイナミックな音作りはやはり流石。もちろんそこには、ノラ・ジョーンズやクラプトンの『アンプラグド』も手がけたポップスのエンジニアとしてのジェンセンの経験も大きく作用しているのだろう。というか、端的に良いメタル・アルバムは良いポップ・アルバムでもあり得る、という当たり前のことに気付かされる作品でもある。

 BABYMETALの躍進を支えてきたものの一つが優れたスタッフィングであることに疑いの余地はないが、ジェンセンの起用はベビメタ製作陣がプロダクトの完成度にも高い意識を保っていることの証明でもある。これだけ音もパフォーマンスも良いなら、曲さえ揃えばという条件付きだけど、アンプラグドのアルバムも聴いてみたい気がする。

 1stアルバム以来初の新曲が収録(CDは初回限定盤のみミュージック・カードが封入)されていることも話題だが、このタイミングでの新曲発表という事実ひとつとっても、制作サイドもまた本作を区切りの作品と考えていることの証明でもある。その新曲「Road of Resistance」は分厚いメタル・ギターのオーケストラによるシンフォニックなメタル・ソングで、より正統派のメタル・パフォーマーとして彼女たちを位置づける曲となりそう。サビをはじめ英詞が多く使われてることも含めて、世界進出の野望を後押しする一曲となりそうだ。

◎リリース情報
『LIVE AT BUDOKAN ~RED NIGHT~』
発売中
初回限定盤 TFCC-86502 2,484円(tax in.)
通常盤 TFCC-86503 2,160円(tax in.)
※初回限定盤のみ新曲「Road of Resistance」がダウンロードできるフォト・ミュージックカード封入

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