予算案を家計に例えると
【高橋洋一・株式会社政策工房 代表取締役会長】
政府は14日、2015年度予算の政府案を閣議決定した。新聞各紙は、いつものように予算案を家計に例えると、という記事を書いている。 政府を家計に例えることは正しいとはいえない。経済主体では、家計、企業、政府と分けるが、家計は貯蓄主体、企業は借り入れ主体が基本形だ。このため、家計の借り入れは多くない。政府は家計より企業に似ている。政府を家計に例えると、借り入れは悪ということになりかねない。しかも、政府の持つ巨額な資産が考慮されないで、負債の借り入れのみが悪者にされる。そして、お決まりの財政再建だから増税といういつものパターンになる。
なぜ新聞各紙で同じような論調なのか。これは、財務省が事前に予算案の説明資料を新聞各社に配って、それを若干修正して記事を書いているからだ。いうなれば、簡単な「アンチョコ」資料をもらって、官僚からの「レク」を受けながら、記事を書かれているのだ。 2015年度の政府予算案は総額96兆3420億円だが、歳入のうち税収は54兆5250億円、その他収入は4兆9540億円、公債金は36兆円8630億円だ。 これを1兆円を10万円に置き換えて、家計に例えると、家の支出は963万円で、お父さんの収入545万円、お母さんの収入50万円となって、借金369万円となる。こんなに借金する家計はまずないので、借金の金額で国民を驚かせることになる。 筆者は、家計に例えるのはいいと思わないが、あえていおう。実は、最近の円安で、政府の外貨準備は評価益がでている。ざっといえば、20兆円くらいだろう。これを例えでいえば、次のようになる。 お母さんがお父さんに内緒で財テクしていて、200万円も儲かっていた。しかし、知らぬはお父さんだけでその恩恵を受けられずに窮乏で、お母さんだけがほくそ笑んでいた。その200万円は、どこにいったのだろうか。
霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!
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