2015年度の税制改正、住宅に関わる贈与税・住宅ローン控除…を解説

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2015年度の税制改正、住宅に関わる贈与税・住宅ローン控除…を解説(写真:iStock / thinkstock)

自民・公明両党が2015年度の税制改正大綱をまとめ、今年の住宅税制の改正内容が明らかになった。税制は家を買う人の負担に大きく影響するものだけに、これから買う予定の人はしっかり把握しておこう。住宅取得資金の贈与税の非課税枠を今年は1000万円に拡大

今回の改正の目玉となるのは、住宅取得資金の贈与税の非課税措置の延長・拡充だ。家を買うときに親や祖父母から援助を受けると、一定額まで贈与税が非課税になるのがこの制度。昨年は非課税枠が500万円(質の高い住宅(良質な住宅用家屋)は1000万円)となっていたが、期限が2014年12月31日までの制度だったため、今年はどうなるのか注目されていたところだ。

大綱によると、2015年は非課税枠が1000万円(同1500万円)に拡大されるという。この制度は使い道が問われない年間110万円の基礎控除と併用できるので、合計すると1110万円(同1610万円)まで贈与税ゼロで援助が受けられる計算だ。昨年4月に消費税率が8%にアップして以来、都心マンションなど一部を除いて住宅市場は低迷気味となっており、大幅な減税で需要を喚起したいという狙いがある。2016年10月からは非課税枠を2500万円に大幅アップ

ただし非課税枠の大幅拡大はひとまず今年限りで、2016年1月から2016年9月(※)までは700万円(同1200万円)に縮小される。これは翌2017年4月から消費税率が10%に引き上げられる見込みとなっていることによるものだ。

注文住宅などでは請負契約を消費税率引き上げの半年前までに完了すれば、引き上げ後の引き渡しでも8%の税率が適用されるため、2016年9月までは駆け込み需要が発生すると考えられる。そこで1月から9月(※)までは非課税枠を縮小することで、需要を抑えることを意図している。

逆に消費税率の再引き上げで反動減が発生しそうな2016年10月からの1年間は、消費税率10%が適用される場合は非課税枠を2500万円(同3000万円)と大幅に拡大して需要を下支えする。その後は段階的に非課税枠を縮小して、2018年10月から2019年6月までは700万円(同1200万円)とする内容だ。●住宅取得資金の贈与税の非課税枠の延長・拡充
・2015年1月~12月:1000万円(1500万円)
・2016年1月~9月(※):700万円(1200万円)
・2016年10月~2017年9月:2500万円(3000万円)
・2017年10月~2018年9月:1000万円(1500万円)
・2018年10月~2019年6月:700万円(1200万円)
(  )内は一定基準を満たした質の高い住宅

(※)2016年10月以降の金額は2017年4月に消費税率10%が適用される場合。2017年4月に消費税10%適用がされない場合、非課税枠は2016年1月から2017年9月まで700万円(同1200万円)となる。「質の高い住宅」の範囲にバリアフリー性の基準が加わる

なお、非課税枠が一般の住宅より500万円多くなる「質の高い住宅」の基準も変更される。昨年までは省エネルギー性または耐震性の高い住宅が対象だったが、今年からはバリアフリー性の高い住宅が加わり、省エネの基準も見直される。また非課税措置の適用対象となるリフォーム工事の範囲も拡充される。●「質の高い住宅」の範囲の拡充
(現行)
1.省エネルギー性の高い住宅(省エネルギー対策等級4)
2.耐震性の高い住宅(耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物)
のいずれかの性能を満たす住宅

(拡充後)
1.省エネルギー性の高い住宅(断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上)
2.耐震性の高い住宅(耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物)
3.バリアフリー性の高い住宅(高齢者等配慮対策等級3以上)
のいずれかの性能を満たす住宅●リフォーム工事の範囲を拡充

(現行)大規模増改築、耐震リフォーム等

(拡充後)省エネ、バリアフリー、給排水管等のリフォームを追加住宅ローン控除やすまい給付金の期限を1年半延長

大綱にはこのほか、各種減税や優遇制度の延長も盛り込まれた。まず住宅ローンを借りると10年間にわたって年末ローン残高の1%が所得税や住民税から戻ってくる「住宅ローン控除」は、適用期限を1年半延長して2019年6月30日までとする。こちらは消費税率の再引き上げが1年半先延ばしになったことに伴う措置だ。同様に、比較的所得が低い人が住宅を買うと最大30万円(消費税率10%の場合は50万円に引き上げの予定)が給付される「すまい給付金」も2019年6月30日まで延長となる。

また特定の親や祖父母からの贈与について、累計で2500万円まで贈与税が非課税となり、将来の相続時に贈与額を相続財産に加算して相続税で精算する「相続時精算課税制度」について、住宅取得時の特例を2019年6月30日まで延長する。制度の対象は60歳以上の親または祖父母から20歳以上の子または孫への贈与だが、住宅取得資金については特例で親または祖父母の年齢制限がなくなる。

このほか家を買うときの登録免許税や不動産取得税の特例も延長される。新しい適用期限は登録免許税が2年延長され2017年3月31日まで、不動産取得税が3年延長され2018年3月31日までだ。

大綱に盛り込まれた内容は今後の国会審議を経て3月末までに決定される予定だが、ほぼ大綱どおりに改正されるのが通例だ。贈与税の非課税措置など昨年末で期限が切れている制度については、今年1月1日にさかのぼって適用となる。●平成27年度 税制改正大綱(自由民主党・公明党)
HP:https://www.jimin.jp/news/policy/126806.html
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/01/13/76243/

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