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大学入試改革に疑問、変えるべきは高校教育制度

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中央教育審議会が大学入試改革に関する答申を提出、課題は山積

中央教育審議会が大学入試改革に関する答申を提出しました。高校在学中の学習到達度を測る「高校基礎学力テスト」が2019年度から、また、受験生の知識の暗記量ではなく活用力を問う「大学入学希望者学力評価テスト」が大学入試センター試験に代わって2020年度から導入されます。そして、各大学の二次試験では、筆記だけでなく小論文や面接、集団討論など多様な方法で主体性や協調性を多面的に評価する、としています。

新制度では、テストが2種類になる上、年に複数回、実施されるため、増大する業務負担によるコストアップ、ひいては受検料の引き上げが想定されます。これに対して文科省は、小中学生対象の全国学力テストで民間業者に採点を委託しているように、予備校や教育関連企業などへ業務委託することでコスト削減を図ることも検討しています。この場合、作問に関しては機密管理や公正性の確保が課題となるでしょう。

また、新テストが年に複数回、実施されることから過大な対策が必要になり、学校行事や部活動に支障が出ないか、授業進度が速い私立高が有利にならないか、など懸念の声もあります。各大学の個別試験についても、面接や集団討論では客観的な評価ができず公平性に疑問が残るという指摘や、人手不足から全受験生を面接するのは不可能という大学もあるなど、一連の改革には課題も少なくありません。

現在の高校教育制度を抜本的に改革する必要がある

新たに基礎学力テストを導入する背景には、人口減少から実質、大学全入になった上、AO入試や推薦入試の普及で基礎学力に欠ける生徒が増えたという危機感があります。これを解決するには、例えば、数学Ⅰを十分に理解しないまま数学Ⅱの授業を受けてもわからないにもかかわらず、評価1さえ取らなければ4月には自動的に進級できるといったような、現在の高校教育制度を抜本的に改革する必要があるのです。

そこで、科目ごとに基礎学力の定着度を測るテストを年複数回、実施して再チャレンジ可能な制度に改め、英語検定のように、準2級は高校1年相当、2級は2年、準1級は3年などと「級」を設定すれば、各々が自分に見合った目標を定めて着実に学力の向上、定着を図ることができます。つい先日、小学1年生が高校2年生相当の数学検定2級に合格したように「飛び級」も可能である一方、基礎学力が不足していれば3年経っても合格できないという、本来当然なことも起こりえます。

わざわざコストをかけて新たなテストを創設する必要もない

そもそも大学入試に、国がここまで関与する必然性はありません。最近は、英検や数検の合格級により入試で点数加算などの優遇措置を設けている大学もあります。わざわざコストをかけて新たなテストを創設せずとも、既存の英検(年間受験者数230万人、受験会場全国400ヶ所)や数検(同31万人)など、すでに広く実施されている科目別検定試験を必要に応じて拡充すれば、高校生の基礎学力の確認は可能です。

大学側が学部ごとに教育理念や指導方針を詳細に説明し、授業やゼミを理解する最低限の基礎知識として、例えば経済学部なら英検2級と数検2級、理工学部なら理科検定準1級と数検準1級が受験の必須条件などと規定した上で、独自の選抜試験を実施すれば済む話です。

大学入試センター試験に代わって導入される各大学の個別試験前の学力評価テストについても、必要であれば高等学校卒業程度認定試験(旧大検)を利用すれば十分ではないでしょうか。

(小松 健司/個別指導塾塾長)

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