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元祖おみくじは大吉17%凶30%

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新年の初詣といえば、1年の運勢を占うおみくじがつきもの。神社や寺によってくじの内容に違いはあるけれど、多くの寺社では、良いとされる順に「大吉/末小吉/小吉/半吉/末吉/吉/凶」の7本が基本になっているようだ。

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単純にくじが同じ割合で入っていれば、7本中6本は「吉」と出るはず。ところが、なかには「凶が出やすい」と噂になっている寺社がある。そのうちのひとつ、浅草の浅草寺に問い合わせたところ、「浅草寺のおみくじに凶が多いのではなく、一部の寺社が凶を減らしているのではないか?」という。浅草寺の方に話を聞いた。

「現在、浅草寺で行っている浅草寺観音籤(かんのんせん)は『振りくじ』といい、筒のなかに1~100までの数字を記した100本の竹の棒を入れ、竹くじの番号に合わせて紙箋が授与されます。くじの配分は、凶30%/吉35%/末吉6%/半吉5%/小吉4%/末小吉3%/大吉17%。この割合は、比叡山延暦寺の良源僧正(912~985年)、通称・元三大師が授かったとされる『観音百籤(かんのんひゃくせん)』に定められた原型に近く、古来よりほぼ変わっていません」

浅草寺からお借りした浅草寺寺誌掲載の論文「浅草寺の観音籤について」(酒井忠夫・著)では、日本のおみくじのルーツを中国・南宋時代(1127~1279年)の「天竺霊籤」まで辿っている。それが日本に渡来したのは室町時代。そして鎌倉時代に元三大師崇拝の信仰と結びつき、日本風にアレンジされて江戸時代に全国に広まったというのが通説のようだ。その論文のなかに、興味深い記述があったので引用しよう。

「天竺霊籤と元三大師百籤(※観音百籤)・浅草寺観音籤との差異の著しい点は、後者即ち日本の籤(くじ)には、籤百番全部に亘って吉凶両類に別れていることである。籤各番全体の中の易占吉凶の比率は、元来は五〇対五〇である筈である。元三大師百籤は六九対三一、浅草寺観音籤は七〇対三〇である」(酒井忠夫「浅草寺の観音籤について」『浅草寺』第406号より引用)

おみくじのルーツになった「天竺霊籤」には五言四句の詩とその解説、および官僚や庶民の行事の成否についてだけが書いてあり、日本のおみくじのように吉凶をズバッと言い表すようなものではなかった。さらに、本来吉凶を占うのであれば五分五分であるはずのところ、日本のくじは吉7:凶3。浅草寺のおみくじは凶が多いどころか、吉の方を増やしてあると書かれているのだ。

なぜ吉が増えたのかについて、この論文では易経の「吉凶悔吝(きっきょうかいりん)」の思想を挙げ、失敗に気づいて後悔すれば凶は吉に転ずるし、油断しておごってしまえば吉も凶に転ずる、という解釈のもとで凶が吉に転じて増えていったのだろうと結論付けている。

「大吉が出たからといって油断をしたり高慢な態度をとったりすれば、凶に転じることもあります。また、凶が出た人もおそれることなく、辛抱強く誠実に過ごすことで、吉に転じます。凶の出た人は観音様のご加護を願い、境内の指定場所にこの観音籤を結んで、ご縁つなぎをしてください」(前出の浅草寺関係者)

つまり、凶を引いたから縁起が悪いということではなく、おみくじはあくまで訓戒として心にとどめるもの。年の初めに身を引き締めるためには、凶が出るのもあながち悪いことではないのだ。

(宇野浩志)
(R25編集部)

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