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東アフリカの未承認国家「ソマリランド」で大学院を作った25歳の日本人

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アフリカ大陸の東部に突き出たソマリアは、1980年代に激化した内戦で無政府状態が続き、日本の外務省から渡航制限も出ている国だ。その国内で1991年の旧政府崩壊をきっかけに独立を宣言し、23年間も平和を保っているのが「ソマリランド」だ。

国際的には国として認められていない未承認国家だが、政府も憲法もあり、自国通貨も発行している。2014年12月22日放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)は、「謎の国」潜入スペシャルと題して、このソマリランドを紹介していた。
テレビで入学を呼びかけると、過激派から殺害予告

街には物があふれ、内戦国家には見えないが、インフラ整備が不十分で道路は滅茶苦茶、ロバが引く水売りであふれている。路上に両替所が設けられ、銀行の前に札束が裸で積まれているほど治安も良い。

しかし国として認められていないため、海外の投資は入ってこない。遺跡があっても観光客は来ないし産業も育たず、若者の失業率は高いという。そんなソマリランドの若者たちを支援しようと、国内初となる大学院の開校に尽力したのが、若き日本人社会起業家の税所篤快(さいしょ・あつよし)さん(25歳)だ。

税所さんは早稲田大学在学中に、世界の貧困地域で教育支援を行うNGOを立ち上げ、社会起業家として注目を集めている。税所さんは「若者の失業率が7割。それがソマリランドが停滞する理由にもなっている」と決意の理由を語る。

開設するのは起業家育成に特化した大学院で、新しいビジネスとともに雇用を生み出していくのが目的だ。税所さんは国中の企業を回り支援を仰ぎ、日本でもネットを通じて109人から200万円の支援を得た。

アブディラフマン副大統領にも支援をとりつけ、地元のテレビ局を呼んで「11月開校します。一緒にイノベーションを起こそう!」と国中の若者に呼びかけた。すると翌日、税所さんのフェイスブックに過激派から、「すぐに殺さなければならない。国を出ていくよう警告する。次に会った時に殺す」という殺害予告が書き込まれた。
同じように独立に備える地域が他にも

税所さんは一時帰国したものの、2週間後に再びソマリランドを訪れ、警護つきで活動を進めた。後日犯人が捕まったとの情報が入り、11月6日の開校式に無事出席できた。

政府要人をはじめとする180人の出席者の前で、税所さんは「私たち日本人と新しいことを始めましょう」とスピーチした。なぜ国として認めないのかという疑問に、一橋大学イノベーション研究センター教授の米倉誠一郎氏は、次のように解説した。

「ここをOKというと、アフリカの中には同じような状況の国がたくさんある。それがみんな独立したいとなると、今の秩序が一挙に崩れてしまう」

米倉氏は「中国がアフリカで道路を作るなら、日本は大学院をつくろう」と税所さんに頼まれて、ソマリランドに開設する大学院の学長に就任した。税所さんは「高校時代に米倉氏の授業を受けて、世界に対して何かしよう」と思ったそうだ。

番組ではそのほか、最後の純粋な社会主義国と言われるキューバを紹介した。働く人はすべて国家公務員で、「飢えることはないし、国民は政府に満足している」と語る高齢者がいる一方で、「同じ職業で頑張る人とそうでない人がいても、給料は同じ」と不満をもらす若者も多い。
世界を見ることが日本を省みることにはなるが

米倉氏は、こうした日本に一見なんの関係もないような国々に目を向けることで、日本を再発見することにもなるし、支援することでお互い利益も生じるという。

税所さんの活動は素晴らしいし、アフリカの貧しい国の方が日本の力を効果的に活かせるかもしれない。その一方で、日本だっていろいろな問題を抱えているし、貧困による教育格差の問題も深刻になっている。

日本でお金を集めて海外で活動する彼が、いつか足下の恵まれない若者に目を向けるのだろうか。番組を見て、そんなことが気になったのも事実だ。米倉氏の言うように、世界を見ることが日本を省みることにつながるとは思うのだが。(ライター:okei)

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