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アップルが「ブラック労働」放置? 中国工場とインドネシア鉱山にBBC覆面記者が潜伏取材

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「iPhone6の生産ラインに携わる労働者を守る」――。そんなアップル社の約束は、またしても破られたのでしょうか。中国工場で働く労働者の待遇の悪さが潜伏調査で明らかにされ、リチャード・ビルトンが12月18日のBBCパノラマに寄稿しています。

アップルのサプライヤー企業のひとつ、上海郊外のペガトロン社の工場では、労働時間やIDカード、会社の寮、会議時間、若年労働者などに労働基準違反がみられ、疲れた労働者が12時間シフト中に居眠りする姿が撮影されました。アップル社はこの報道に対し、納得がいかないとしています。
アップルは反論「当社ほど尽力している企業はない」

工場へ侵入したある覆面記者は、会社に繰り返し休みを要求したにもかかわらず、18日間連続で仕事をさせられました。別の記者はシフトが最長16時間連続あり、そのストレスを次のように明かしています。

「寮に戻るたび、もう動けなかった。空腹でも、食べ物を取りに行くのもおっくうだった。ただ横になって休みたかった。夜はストレスで眠れなかった」

アップル社はインタビューを拒否しましたが、「当社ほど公正かつ安全な労働条件を確保するために尽力している企業はない」と声明を出しています。

「我々は不足に対処するために、サプライヤーと協力し、継続的かつ大幅な改善が見られている。もちろん、この改善に終わりのないことは知っている」
「労働者が休憩中に昼寝することはよくあることだが、仕事中の居眠りについてはすべての証拠を調査するだろう」

アップル社が百万人以上の労働者を対象に実施したモニター調査では、ペガトロン社のスタッフの労働時間が、週平均で55時間。この範囲なら過酷とまでは言えなさそうですが…。

中国の工場における劣悪な状況は、2010年にアップル社の最大サプライヤーのフォックスコンで14人が自殺した時点で頂点に達しました。これを受けて、アップル社は工場労働者がどのように扱われるべきかの基準を打ち出しました。
指摘を認めて解決した問題点も

しかし、パノラマの覆面記者たちは、これらの基準が日常的に破られていることを明らかにしています。残業は自主的なこととされているが、記者の誰一人として選択の余地を与えられたものはありません。

過度の超過時間に加え、ある記者は作業の前後に無給の会合に出席させられました。別の記者は、寮で労働者12人と窮屈な部屋を共有しなければなりませんでした。

アップル社は寮の過密について、現在は解決し、無給会合分の賃金は支払うようにしたうえで、このような声明を出しています。

「労働者の安全と幸福は、当社の最優先事項である。我々は非常に高い基準を設定し、経営者と労働者のために厳しい訓練を実施し、(第三者による)外部監査を行っている」

BBCはさらに、インドネシアのバンカ島のアップル・サプライチェーンへも足を伸ばし、鉱山からの違法な錫(スズ)がサプライチェーンに入っている証拠を発見しました。現地の子どもたちが非常に危険な状態で、手で錫鉱石を掘っており、土壁が崩壊すれば生き埋めになる危険がありました。

12歳のリアント君は、70フィート(約21メートル)の崖の下で父親と働いていました。彼の作業していた領域から、BBCは錫収集ギャング団を突き止めました。そのうちの1人が、サプライヤーリスト上の製錬所に錫を販売したと語りました。
「ここに留まって変化を起こす」という宣言は本気なのか

サプライヤーリスト上の製錬所の一つを経営しているヨハン・ムロッドは、輸出された錫の70%が小規模鉱山から来ていると言っています。

「製錬所では、大小規模両方の鉱山からすべてのものが出てくる。すべて混じりあっていて、何が合法で、何が違法かなんて知るすべはない」

アップル社は、何千もの鉱夫が仲介人を通して売るバンカ島の取引ルートが複雑であることを認めつつ、インドネシアの鉱山からの錫を一方的に拒否すれば「アップルにとって最も簡単な方法」「確かに批判を逃れることはできる」ものの、「それは状況を改善するために何もしない、怠惰と臆病な道でもある」といいます。

つまりアップルは「ここに留まって、変化を起こそうとすることを選んだのだ」というのですが、実態はそんなに立派なものなのか、疑う声もあるようです。それにしても、大企業への潜伏調査を敢行するBBCの取材力には、本当に感心させられます。

(参考)Apple ‘failing to protect Chinese factory workers’ (BBC)

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