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“幸せの国”ブータンでは19時まで働いたら社蓄認定される?

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 国民総生産(GNP)ならぬ、国民総幸福量(GNH)の最大化というユニークな指標を掲げているブータン。経済的には豊かでなくとも、チベット仏教を信仰し、伝統的な暮らしを大切にするブータンの人々に憧れる人も多いそうです

 そんなヒマラヤ山脈を臨む”幸せの国”のリアルな暮らしを知る一冊としておススメなのが、本書『ブータン、これでいいのだ』。著者の御手洗瑞子(みたらい・たまこ)さんは、2010年から1年間、ブータン政府のGNHコミッションに初代首相フェローとして勤務。ブータンの観光産業育成に尽力した人物です。本書には、日本人の御手洗さんが、たった1人でブータン政府の中に飛び込み経験した、笑いあり涙ありの日々が綴られています。

 なかでも、ブータン人の気質が垣間見えるのが、以下のエピソード。

 あるとき、同じ省の部下が「長官、ちょっと働き過ぎじゃないかって、みんな言ってますよ」「GNHコミッションの長官なのに、本人がワーカホリックですよ。もっと家族との時間を大切にしないと」と、GNH長官が働き過ぎている状況を心配します。

「今は人生の中でも、働きどきの時期だって位置付けているよ」と淡々と応じる長官は46歳と、今が働き盛りです。

 どうやら、長官は部下に心配されるほど、毎晩遅くまで残業が続いているもよう。”幸せの国”の省のトップの勤務時間は、いかほどなのでしょうか。好奇心に駆られた御手洗さんが「だいたい、何時から何時まで働いてるのですか?」と尋ねたところ、長官は、はにかみながらもこう回答したそうです。

「う~ん。9時から19時半くらい。でも、今は冬場だから18時ぐらいかな」

 日本人の感覚でいうと、「いや、それ普通だから」と突っ込みたくなる労働時間です。長官から「日本人的には、どう?」と意見を求められた御手洗さんも「……全然ありだと思います」と返答しています。

 実は、ブータンの公務員の勤務時間は9~17時。冬季は9時から16時。社会全体が17時には仕事が終わる仕組みなので、19時~20時まで残業、というのは「働き過ぎ」に分類されてしまうのだとか。

 また、仕事の後に飲みに行ったり外食したりする習慣もあまりなく、17時半には帰宅して家族が集まり、みんなで手分けして夕食を作り、一緒に食膳を囲むそうです。仕事が終わらなくても定時になれば帰り、家族や友人と過ごす時間を大切にするブータン人。

 現実問題として、アジアの最貧国の1つであるブータンでは若年層の失業率も高く、経済格差をはじめ課題は山積み。手放しで見習うわけにはいかないでしょう。それゆえに、プライベートを犠牲にして仕事を優先する”社畜”が当たり前に存在する私たち日本人は、”幸せな国”ブータンに憧れるのかもしれません。

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