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両親に「ありがとう」と伝えたい―話題のレシピ集著者・Mizukiさんインタビュー(3)

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 今、最も注目を集めているレシピ集の一つが、『Mizukiの♡31CAFE♡レシピ』(扶桑社刊)だ。Amazonでもクッキングレシピ部門1位を獲得し、ユーザーからの評価も上々。

 著者のMizukiさんにとって本書は初めてのレシピ集であり、彼女の起こしてきた奇跡が詰まっている。拒食症となり、体重は23kgに――これはつい5年前の話。そんなMizukiさんはどのように病気を克服し、どうして「料理」という道を歩もうとしたのか。3回にわたってMizukiさんの想いを届ける。その最終回だ。
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◇      ◇      ◇

 体重は23kgから27kgにまで回復し、退院して家に戻ったMizukiさん。しかし彼女を待ち受けていたのは、残酷な現実だった。

「家には誰もいませんでした。空き家状態になっていたんです。母はずっと私をかばってくれていましたが、父は『瑞季はおかしい』と言っていて、両親の仲が悪くなってしまって……。私には弟が2人いるのですが、母が私にずっと付き添っていてくれていたので、祖母の家に預けられていました。それからも母と2人で過ごすことになったのですが、弟たちにおかしくなった私の姿を見せたくなかったんでしょうね」

 家に帰ってから、またMizukiさんは食べなくなった。病院で食べ物を口に入れたのは、退院をするため。体重は再び23kgに落ちた。それでも医者から「瑞季ちゃんは絶対に治る!」と励まされ、投薬治療を続けた。

「思考に作用する強い薬を飲んでいました。その薬を飲んでいる間は頭が働かなくなるんです。だから、体重が増えることに対する恐怖心がなくなって、食べられるようになりました。そのうちに、体重は30kgから35kgになって、35kgから40kgに増えていくのですが、人間って不思議なもので、体重が戻ってくると、どんどんプラス思考になるんです」

 また、その中で新たな“友だち”が、Mizukiさんの家にやってくる。それが、ブログでもおなじみのうさぎの「sherry」だ。少しずつ、Mizukiさんは未来に向かって歩き出した。奇跡を起こすための一歩を。

■両親に「ありがとう」と伝えたい

 お店を出すまでの経緯は『Mizukiの♡31CAFE♡レシピ』の「My Story」の後半部分を読んでほしい。奇跡が一つ一つ起きていく、その様子が彼女の言葉でつづられている。

 今のMizukiさんの体重は当時よりも「30kgくらい増えていると思う」そうだ。でも、本当は分からない。なぜなら、また「数字」にとらわれてしまうから、体重計には乗らないようにしているのだとか。

「私の体重(23kg)くらいになってしまうと、3人に1人は死んで、3人に1人はそのまま、3人に1人は回復すると言われています。私はずっと死ぬと思っていたのですが、運が良かったのだと思います」

 壮絶な闘病を振り返り、そう語るMizukiさん。ブログには同じ病気の人からメッセージが届いたり、31CAFEには病気に悩んでいる親子が訪れることもあるという。「Mizukiさんのレシピならば娘が食べてくれる」そんな声をもある一方で、拒食症の女の子が自分を睨みつけてくることも。「すごく気持ちが分かるんです、私も同じやったから。この人は私を太らせようとしている、と思うんです」――敵だと思われても、Mizukiさんは伝えられることを伝える。それは彼女だからこそ、できることだ。

 初めてのレシピ集。どのような人に読んでほしいと思っているのか。

「この『Mizukiの♡31CAFE♡レシピ』は、簡単、時短、節約をテーマにしたレシピ集で、誰でも簡単に可愛くつくれて、美味しく食べられる料理を選びました。だから、いろいろな人に読んでほしいです。この中で一品選ぶとすると…73ページの『マフィンチョコレートショコラ』ですね。初めて人に食べてもらったお菓子です。当時とはレシピがだいぶ違うのですが、これが原点ですね。母に食べてもらって、『美味しい!』って言われて…信じられなかったですよ。
それに、私と同じ病気の人にも読んでほしい。最後の『My Story』のところを。23kgまでになって、そこから回復する。何か嘘みたいな話だけれど、奇跡は起こるんです」

 最後に今、もっとも「ありがとう」と伝えたい人を聞いた。

「やはり、母ですね。でももう一人、父にも言いたいです。実は私、父のことをあまり話さないのですが、昔からそんなに仲が良いわけではなくて、何だろう…ライバルみたいなところがあって。父の期待に応えたいという想いが子どもの頃からすごくあったんです。自分が1番をとって、父に認めてほしいというのがあったんだと思います。でも、父は優しくないわけではないんです。私が入院したとき、父が最初に泣いて『どんなにお金がかかってもいいから瑞季の命を助けてあげてくれ』と言ったと、先生が教えてくれました。
この本を出すときも、最初に報告をしたのは父です。そうしたら「あっ」ってなって、あ、嬉しがっているなって。具体的な言葉は出てこなかったのですが、嬉しいと思っているのが分かるんです。私が退院して以来、一緒に暮らしてはいないのですが、この本をきっかけに連絡をとるようになって、この間は何年かぶりに一緒にご飯を食べました。
私は何事も形にならないとダメなんです。だからこうした本ができたというのは本当に嬉しいです。でも、もしほめてくれるなら私じゃなくて、両親に言ってほしいです。『娘さん、すごいね』って言ってほしい」


 『Mizukiの♡31CAFE♡レシピ』は、Mizukiさんの半生の結晶ともいえる一冊。Mizukiさんのブログから厳選されたレシピと未掲載レシピ135品が載っている。どのレシピも実に美味しそうだ。

(文章・構成:金井元貴)


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